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竜の涙 [book] [柴田よしき]

sample2.jpg柴田よしき/祥伝社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾

前作「ふたたびの虹」から9年、ご無沙汰の第二弾

おばんざい屋の謎めいた女将が探偵役を務める連作短篇集。シリーズ第二弾はお客との心の触れ合いを中心に書かれている。

途中まで、おばんざい屋の女将としか書かれていないので第一作との関連が薄くなっていたが、後半、特に最終章の「お願いクッキー」では第三弾を予感させる結末にほっとしたり、読者をじらしてくれる作者の構成に脱帽。

高田郁の「みをつくし料理帖」といい本書といい、料理で心を温かくしてくれるシリーズ。


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私立探偵・麻生龍太郎 [book] [柴田よしき]

sample3.jpg柴田よしき/角川書店/お薦め度 ★★★★ 

私立探偵・麻生龍太郎の連作ミステリー

警察を辞め私立探偵となった麻生龍太郎

「RIKO」シリーズを知るファンにとっては、麻生龍太郎と山内練の緊張感のある、ギトギトした関係があまりにもサラッとしたものに映ってしまいます。あたかも麻生龍太郎が無許可保育園園長兼探偵の「花咲慎一郎」(シリーズ化されています)になってしまったかのように・・・

作家としてハードなものを書き続けることは結構「しんどい」のかもしれません。本シリーズの次作はあるのでしょうか


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銀の砂 [book] [柴田よしき]

柴田よしき/光文社/お薦め度★★★★

悲しい物語

売れない作家、珠美。ベストセラー作家、ふじ子。珠美は過ってふじ子の秘書。珠美は俳優、夕貴斗をふじ子に奪われた。その夕貴斗もふじ子のもとを去り、音信不通。

珠美のもとをフリーライターが訪れる。夕貴斗のことをききたい、と。いまさら・・・

夕貴斗と珠美、夕貴斗とふじ子、珠美とふじ子、三つの関係が引き起こした過去とは?

淡々とした筆の運び、悲しすぎる結末、柴田よしきの本領発揮の一冊!?


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シーセッド・ヒーセッド [book] [柴田よしき]

柴田よしき/実業之日本社/お薦め度★★★★

花咲慎一郎シリーズ最新刊。三部構成の本書。

第一部「ゴールデンフィッシュ・スランバー」、依頼人は睡眠障害の歌手・A-YAこと立花亮子。睡眠障害の原因は、彼女の過去にまつわるいまわしい事件へと繋がっていた。「ハナちゃん」は結果として、A-YAに重大な決意をさせしまっった。

第二部「イエロー・サブウエイ」、レギュラーな人、暴力団幹部の山内からの依頼は、彼の事務所の前に赤ん坊を置き去った母親探し。レギュラーな人の意外な一面を垣間見る。

第三部「ヒー・ラブズ・ユー」、ノーベル化学賞候補者・竹本の依頼内容は女の素行調査。報告は毎日依頼人に直接すること。その報告次第で調査を打ち切るかどうか決める、というもの。

理沙との関係はいっこうに進展していない。ということは、次作へ続くということ!?ハナちゃん、幸せになってよ!


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夜夢 [book] [柴田よしき]

柴田よしき/祥伝社/お薦め度 ★★★★

単なる短編集ではなく、柴田よしきらしく、謎めいた「語り部」たちを登場させ、再編集した一冊。九篇の短篇が収められている。

あとがきの中に、「・・・その共通コンセプトを恐怖ではなく、みしろ夜をして考えてみました。それは単純に、作品が夜を舞台にした物語である、ということではありません。昼、つまり、人々がごく普通に日常生活を送っている時間帯に対する「夜」。日常の普通の事柄が、歪み、その形を変化させる、閉ざされた状態。そうした背景を踏まえて綴った作品を集めてみた、ということです。・・・」

何となくですが、柴田よしきといえば、カタカナ使いのうまい作家。そんなイメージがわたしの中にあります。本書でも二篇、「フェアリーリング」、「ウォーターヒヤシンス」。最新刊も「シーセッド・ヒーセッド」・・・

カタカナ表題って、結構難しいんじゃないかと思います。軽すぎたり、暗示的じゃなかったり。「カタカナ表題の名手・柴田よしき!」健在なり。


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ふたたびの虹 [book] [柴田よしき]

柴田よしき/祥伝社/お薦め度 ★★★★★

伊坂幸太郎流に言えば、「連作短篇の形をかりた長篇小説」。

丸の内の片隅、店の名前は「ばんざい屋」、独身OLが毎日でも気軽に通える居心地の良い空間、女将の名前は吉永という姓だが、誰も名前を知らない。女将の唯一と言える趣味は、古道具集め。

旬の素材をつかった、季節感あふれる料理。それにあわせたお酒。季節を演出する設え・・・季節とそこに通う人が織り成す「こと」、
聖夜の憂鬱-十二月
桜夢-三月
愛で殺して-七月
思い出ふた色-十月
たんぽぽの言葉-四月
ふたたびの虹-六月、それから・・・
あなたといられるなら-九月

なんとも「旨い」、「巧い」、「美味い」、「上手い」。

最後の二章は。古道具屋「かほり」の店主であり、女将の親友でもある清水との在り得ない純粋想念的恋愛。こそばゆいところもあるがついつい涙してしまう。

絶品!ぜひ、続きを書いてほしいものだ。


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フォー・ユア・プレジャー [book] [柴田よしき]

柴田よしき/講談社/お薦め度 ★★★★★

花咲慎一郎シリーズ第二弾

前作のラストで「にこにこ園」、無認可保育園を4000万円で買取るはめになった「ハナちゃん」。毎月の返済は城山探偵事務所からのやばい依頼。今後の依頼人は高慢な物言いで豊満ボディなOL?一夜を過ごした相手を探してほしい、と。胸に蝶の刺青のあるイケメン。

ハナちゃんを取り巻く魅力的な女性陣は、弁護士の元妻・麦子。保険医の取り消しをされた女医・奈美。現在もっとも大切な人、地中海料理の店のマダム・理沙・・・

イケメンの捜査中、理沙が行方不明となり、依頼をそっちのけで理沙捜しに奔走する。それだけですまないのが本シリーズ。殺人事件の現場に居合わせ、24時間以内に真犯人を見つけないと人質にとられた元同僚が殺されてしまうというオマケつき。オマケのオマケは女房に脱げられたサラリーマンの世話まで・・・

子どもたちと女性陣に向けられる愛情・優しさ。その対極にある探偵稼業。両者のギャップが何とも魅力的な本書。最後にどんでん返しも用意され、シリーズ第三弾へと続く。

追伸:一年後に刊行される傑作、「ふたたびの虹」のプロットが見え隠れするのがうれしい。こちらの紹介は後日・・・


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フォー・ディア・ライフ [book] [柴田よしき]

柴田よしき/講談社/お薦め度 ★★★★★

花咲慎一郎シリーズ第一弾
「ハナちゃん」こと花咲慎一郎の人物設定、RICOも凄かったが、こちらも負けず劣らず凄い。捜査四課といえば、言わずとしれたマル暴ってヤツで、人質事件で同僚を撃ち退職、今は無認可保育園の園長。保育園の維持費補填のため探偵稼業で金を稼ぐ。

家出娘の捜索と実の父親が俺だとねじ込んで来た不良少年。殺人事件がふたつばかり。それらがいっしょくたんにハナちゃんに襲いかかる。

名うてのストーリーテラー、柴田よしきのことだから、そうそう簡単にネタ割れにならない。

表の稼業、保育園が抱える問題、人手不足、外国人を母親に持つ子ども、子どもの病気・・・、それらを支援する善意の人達。

裏の稼業、寝る間も惜しんで事件解決に奔走する、その報酬は薄利だが保育園維持のためには欠かせない、ちゃんと手数料をピンはねする城島探偵社。

「男気」と「優しさ」が魅力的なハナちゃん、エンジン全開。シリーズ第二弾へと続く!


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RIKO-女神の永遠- [book] [柴田よしき]

柴田よしき/角川書店/お薦め度 ★★★★★

成功要因1:村上緑子を”RIKO”と読ませたこと
成功要因2:RIKOの人物設定。その生い立ち、経歴、男遍歴・・・
成功要因3:警視庁本庁から新宿署へ転属。その転属原因、”不倫”

新宿鮫こと、鮫島を彷彿させる女警部補。地道な聞き取り捜査はもちろん、鮫島流の派手なアクションも辞さない根性。ヒットシリーズの要素をすべて備えている。

事件のきっかけは押収した裏ビデオ、男が男たちに輪姦されていくさまが録画されていた。捜査の進展とともに犯行の手口があきらかになる。被害者を誘拐し、ビデオに撮り、それをネタに家族に身代金を要求するというものだった。

本書で重要な役回りを演じる、不倫相手の安藤警部、緑子をレイプした高須警部補、現在の恋人鮎川慎二刑事・・・

捜査中、慎二が何者かによって殺され、緑子の壮絶な復讐戦が始まる。そんな最中もうひとつのサプライズ、緑子は妊娠していたのだった。誰の子ども・・・!?

なんともすごいプロット。ニューヒロイン、”RIKO”の誕生、第一弾!
次作へつづく・・・


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水底の森 [book] [柴田よしき]

柴田よしき/集英社/お薦め度 ★★★★★

高見風子は、小学生の時に母親と生まれ故郷を出ている。父親に追い出されたんだ。母親は浮気をしていて、風子のことも自分のタネじゃないと父親が疑った。母と娘は金沢に行き、貧乏暮らしをしていたんだが、やがて母親の姉夫婦を頼って京都に行った。きっかけは火事らしい。金沢で借りていた借家が貰い火で丸焼けになり、新しいところを借りる金が工面できなかったんだ。京都で姉夫婦と暮らし始めてすぐ、母親は病にかかって入院した。そして風子は、母の姉の夫、つまり血の繋がらない叔父から性的な嫌がらせを受けるようになった。それに耐え切れなくて彼女は高校卒業と同時に金沢に戻り、水商売に入った。働いた金は、母親の入院費と看護代の名目で、叔父にほとんど吸い取られていた。そんな中でも彼女は恋をした。普通のサラリーマンだった。結婚を考えていたらしい。だが結婚は出来なかった。店の客の無理心中に巻き込まれて死に損なって、病院から出た時には婚約者とは連絡がつかなくなっていた。その後彼女は金沢を離れて東京に出た。それから数年の足どりがまだ掴めていないが、ともかく彼女はひとりの男と結婚した。その男はなぜか、彼女が金沢で恋した男の名前をかたって暮らしていた。

重参で指名手配された女、高見風子。顔なし殺人を捜査する刑事、遠野要。いつしかふたりの逃避行が始まる。風子という女に関わる愛と憎しみの数々を辿るために・・・

はじめて手にする作家。まさしく高村薫、桐野夏生の後継者。なぜ未読だったのだろうか?何冊か読むことにしよう。


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