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暗色コメディ [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

処女長編

四つの奇妙な事件?

夫に自分と同姓同名の愛人がいると思いこむ女・自殺しようとする度に信じられない経験をして死にきれない男・あなたは交通事故で死んでいるのだと妻から諭される男・知らぬ間に妻が別人と入れ替わっていることに恐怖する男。

四つの妄想?が精神科の藤堂病院で絡みあい妄想度が増幅されて行く。

読み手にとっては難解?かもしれないが、連城にとっては至極当たり前?

物語の冒頭に幻想的な、本書の場合は妄想的な謎を起き、それが後半で一挙に解体される。それを「連城マジック」という。本作品でも物語の途中でどういう形で解体されるのか、その期待感のみ?で頁をめくる。

期待を裏切らない解体。

連城にとっての本書はコメディ!?しかも暗色の・・・そう考えると四つの妄想の増幅も納得!

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運命の八分休符 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/東京創元社/お薦め度 ★★★★

連作短編集

田沢軍平、25歳、大学はでたものの定職にはつかず、プータロー、髪は薄く、眼鏡をかけ、中肉中背、野暮というか無骨というか、まるで青田の案山子、大家からは家賃を払えと督促を受ける始末・・・

どういうわけかモテるのだから摩訶不思議!五人の美女と五つの事件を解決する素人探偵の話。

「運命の八分休符」、「邪悪な羊」、いつもの連城らしさが感じられないラノベ。これは失敗したかなと思い始めた「観客はただ一人」の後半、連城らしさが垣間見え、一安心。続く「紙の鳥は青ざめて」は薄幸の和服美人が登場、エンジン全開の連城節・・・最後の「濡れた衣装」は夜の蝶たちを描いた異色作・・・

連城の意志なのか出版社の意向なのか分からないが、軍平を主人公にした作品はこれ以外にはないとのこと。連城にこの手の作品を期待してはいない、と思うのは私だけか!?

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悲体 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/幻戯書房/お薦め度・・・

ミステリーに非ず!?

高校時代の一時期、国境にこだわりを持っていた笹木哲郎、昼休みに東京駅で山手線が止まったことで総武線に乗り換え成田へ、その足で韓国へ飛び立つ。

韓国の空港で「佐々木哲男」と書かれた名札のような紙を持った女が・・・電話で妻から離婚を切りだされたり、とミステリーっぽい展開へ!?

笹木の母親と韓国人イワモトの不倫、友人Tを差別した連城の母親への思い、物語とエッセイが交錯する。

エッセイ、私小説、があってそこに物語を紡いだのだと思うと、連城の赤裸々な母親、父親らしい男への告白は何なのか?

2013年に亡くなるまでの十数年は連城にとってたいへんな時期だったらしい。2008年の記事に「仕事しなきゃ、食べていけない」と母親の介護のため休んでいた仕事を再開・・・この時期と本書はリンクしている!?

連城ファンなれば最後までつき合うことが出来るが、そうでないならお薦め出来ない一冊!

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レジェンド2 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★

アンソロジー第二弾

本シリーズのお目当ては巻末の特別対談、今回は米澤穂信を加えた、綾辻行人、伊坂幸太郎、三人。

私に連城三紀彦を紹介してくれたのは、2014年11月21日の読売新聞、伊坂幸太郎が熱烈なファンとして「騙される幸せを体感してください」という一節。

紙上でのお薦め連城ミステリーは、[短編集]・「戻り川心中」「夕萩心中」「夜よ鼠たちのために」、[長編]・「私という名の変奏曲」「黄昏のベルリン」「造花の蜜」「人間動物園」が挙げられていました。

本書のようなアンソロジーとして文庫化されるのはファンをしてはうれしい限りです。次作も期待して待ってます。

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わずか一しずくの血 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

物語は1年前に失踪した妻からの電話で始まる。10時のニュースを見てろ、「自分が出てくるから」、と。ニュースは白骨化した左脚、左足の薬指に指輪がはめられた、が発見されたことを伝えるものだった。

夫の問い、「今どこにいるんだ?」、に妻は「温泉旅館・・・」、と。同時刻、温泉旅館では、「その男」と連れの女が家族風呂へ向かう姿を仲居が見ており、その女の左脚が消えるのは翌朝のことだった。

いきなり読者をミスリードで誘う連城、指輪をはめた左脚は妻のものではないことが判明、旅館から消えた左脚は誰のものなのか?

これをきっかけに日本各地で女性の死体の一部が発見される。それらはすべて別人のものだった。

妻に続き娘も、「その男」を見た仲居も失踪、バラバラ死体と失踪者、混迷度は益々増すばかり・・・

結末は一応連城マジックではあるが、読者としては一行で劇的な場面をつくりだす連城マジックを期待しているので、微妙なギャップが生じてしまう!?わたし的にはもう少しスッキリ騙されたかった。

連城には未刊の長編が3作あるという。そのうちの1作なのか!?


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美女 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/集英社/お薦め度 ★★★★

八編収録の短篇集

熱烈な連城ファンの伊坂幸太郎は「・・・短編集『美女』は高度に実験的な作品が並び、特に『喜劇女優』はその極北(頂点)です」と書いている。

全編を通じて男と女の憎愛劇、「戻り川心中」、「夕萩心中」、「宵待草夜情」のように哀切なレトロ浪漫と連城マジックというわけではないので読了感がイマイチかも!?

スッキリ騙してほしかったというのが本音・・・

中でも表題の「美女」は離婚話、姉のものをなんでも欲しがる妹、姉の夫との一夜の不倫、離婚話に立ち会う姉妹と飲み屋の女将・・・なかなかしゃれた話。

伊坂幸太郎絶賛の「喜劇役者」。雄一を含めた七人のドラマ。登場人物のひとりひとりが変質?して七→六→五・・・と人が消えていくドラマ。確かに実験的な仕掛けてなっているがちょっと面倒くさい感あり。スッキリ騙してよ、となってしまうかも!?

作者の短編集としては少々趣を異にする一冊。


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どこまでも殺されて [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/新潮社/お薦め度 ★★★★

「私という名の変奏曲」の同系!

既に七度も殺されながら、まだ運命は僕が殺され足りないとでも言うように、八度目の殺人事件を用意してきたのだ。

高校教師、横田のもとへ「僕は殺されようとしています。助けてください」というメッセージが届くが、発信者を特定出来ない。

生徒たち、リーダー役は女子生徒の苗場直美、の協力を得て調査に乗り出す。横田は家庭訪問と称して家庭内の状況を聞きまわり、ひとりの男子生徒を発信者と特定する。

男子生徒が書いた手記は妄想なのか、フィクションか、それとも・・・事実か。

直美らは七件の殺人事件に酷似する新聞記事を見つけ出す。事実は真逆、七度殺されたのではなく、そこには七人の被害者が居たのだった・・・

「どこまでも・・・いつまでも・・・殺そうとしている僕がいる?」

本書も一行で物語を反転させる連城マジックさく裂!


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白光 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/朝日新聞社/お薦め度 ★★★★

Who done it?

夫と娘、父の四人暮らしの平凡な家庭。父は少し痴呆症?の気が出てきたようだ。

妹の幸子はカルチャースクールに通い出し、毎週、姉の私、聡子、に娘を預けにくる。

ある夏の日、父と姪を家に残し、娘を歯医者へ連れて行き、帰ってみると、姪が殺され庭に埋められていた。

ここから「いやミス」的な展開が始まる。姉に気持ちを寄せながら、妻の男遊びを黙認してきた義弟。事件の当日、大学生とホテルにいた妹。殺された姪の父親は私の夫・・・

父は戦中、南方の島でひとりの少女を殺したことと、出兵前に妻から子どもの父親はあなたではないと告げられたことがこころの闇に巣くっていた。

かく言うわたしも、大嫌いな妹に対し、父に対し、良い子ぶる仮面をかぶっていることの闇を持っていた。

各々のこころの闇が次々に語れていく。果たしてだれが姪を殺したのだろうか?最後の一頁に背筋が寒くなるような連城マジックがさく裂する。


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恋文 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/新潮社/お薦め度 ★★★★★

1984年の直木賞受賞作

五編収録の短篇集。恋愛小説の名手、連城三紀彦の珠玉の一冊。

表題の「恋文」は、結婚10年目にして夫に家出をされた年上の妻。男として負い目のある余命いくばくもない女の看病をするために・・・結婚したいから別れてくれと突拍子もない夫の申し入れを承諾する妻。不思議なプロットだが、読んだ後に残る温かさは何だろう!?

「紅き唇」義母と一年間暮らす男、「十三年目の子守唄」泣ける物語。「ピエロ」髪結いの亭主の話。「私の叔父さん」恋愛小説の名手の極み。

うまい、心にしみる、じんわりいい気持ち、せつない・・・天才としかいいようのない描写、手にしないと後悔しますよ!


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処刑までの十章 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/光文社/お薦め度 ★★★★

闘病しながら連載した長編

結婚11年目の子どものいない靖彦と純子、靖彦は判で押したようにテレビの天気予報を見てから家を出る。しかし、その日はいつもと違った。天気予報を見ずに玄関を出た。

忽然と純子の前から姿を消す靖彦。靖彦の弟、直行とふたりで夫の行方を捜す純子。

失踪した夫探しかと思いきや、蝶、アサギバダラ、を通じて知り合った四国の荻原勝美、その四国で起きた放火殺人事件、火災の発生前に逃げ出した女、靖彦と旅館で一緒だった女・・・失踪と女が何か関係しているのか?

その一方で直行は、兄の失踪は自分と義姉を結びつけようとしたものだ、と。義姉の嘘と誘惑に翻弄される直行。

いつしか直行は義姉を疑っていることや疑いながら暗黙の了解のもと、すべてに共犯者めいた関係を築きあげてしまっていた。

四国の寺で見つかるバラバラ死体、直行の大学時代の友人で四国の新聞記者、青いコートを着た女・・・迷宮の度は増すばかり。

一行で物語を反転させる連城マジックではないが、迷宮感は半端じゃない!


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