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リンジー・フェイ ブログトップ

7は秘密 [book] [リンジー・フェイ]

sample1.jpgリンジー・フェイ/東京創元社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾

「ニューヨーク最初の警官」

絵画盗難事件を解決したティムのもとへ、誰もが目を奪われる黒人の血の混じった美しい女ルーシーが、「妹と息子がいなくなったのです・・・あなたに来てほしいんです」、と助けを求める。

奴隷捕獲人に拉致されたふたりを兄ヴァレンタインの力を借り助け出し、兄の部屋に匿った。事件は翌々日の朝起きる。兄のガウンの紐が首に巻きついたルーシーの死体を発見する。兄に嫌疑がかかることを恐れたティムは死体を移動し、捜査を開始する。

そこには黒人奴隷売買が横行する暗黒の時代が・・・

奴隷捕獲人、それを手助けする警官、ティムの元同僚の黒人青年と黒人擁護の自警団員、前作同様裏で暗躍する売春宿の女主人、民主党議員・・・時代に翻弄されながら孤軍奮闘ティムの姿が愛おしい警察小説!?

日本でいえば江戸時代、歴史小説というより時代小説、例えば葉室麟の、と言った方がいいかもしれない・・・

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ゴッサムの神々 [book] [リンジー・フェイ]

sample1.jpgリンジー・フェイ/東京創元社/お薦め度 ★★★★

MWA賞最終候補作

「ニューヨーク最初の警官」、時は1845年、日本は江戸時代、弘化二年、将軍は家慶、創設まもないNY市警の警官になったティム、火事で住む場所、仕事場、貯めていたお金も失ったうえに、顔にやけどを負ってしまう。そんなティムは兄ヴァルの計らいで警官として採用される。

ある夜、ティムは血まみれの少女に出くわす。少女の「彼、切り刻まれちゃう」の言葉通り、身体を十文字に切り裂かれた少年の死体が発見される。

少女の名前はバード?売春宿から逃げ出した「ひよっこウリ」(10~12歳程度の娼婦、男娼)。バードの嘘に翻弄されながらも、バーテンダーをしていた時にやしなった人間観察眼で嘘と真実を見極めるティム。

バードの真実の証言?から19もの子どもの遺体を発見するティム、先の遺体同様、十文字に切り裂かれていた・・・

市警を後押しする政党、アイルランドからの大量移民、宗教的な対立・・・一挙に50万人まで膨れ上がったニューヨーク、そこで起こる様々なギャップが事件に大きな影を落とす。

最新刊「ジェーン・スティールの告白」でもMWA賞最終候補になったリンジー・フェイ、シリーズ第二弾も邦訳されているのでぜひ手にしたい!

江戸はニューヨークの2倍以上の人口を有す都会?、北町、南町奉行所が事件探索にあたっていた時代、ロンドンは既に200万人超の大都会、19世紀初めには首都警察が創設されている。ニューヨーク市警の創設は急激な人口増加による治安の悪化、貧困、移民との衝突等々に起因する。

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ジェーン・スティールの告白 [book] [リンジー・フェイ]

sample5.jpgリンジー・フェイ/早川書房/お薦め度 ★★★★

MWA賞最終候補作

9歳まで叔母の屋敷で疎まれて母親と過ごしたジェーン・スティール、母親の死により寄宿学校へ送られる。そこで待ち受けていた過酷な日々、16歳で寄宿学校から逃走?24歳までロンドンの片隅で糊口を凌ぐ・・・

驚くべきことに、9歳で従兄を殺し、寄宿舎でも校長をナイフで刺殺していた・・・

かつて母と住んでいた屋敷の新しい主が出した家庭教師募集の求人広告に身分を偽って応募、採用される。死んだ母から屋敷はあなたが相続することになっていると言い聞かされていた。

さらにロンドンでも二人を殺していたジェーンだった・・・

謎めいたインド帰りの主人、ジェーンの生徒、執事?家政婦?を通じ、屋敷を乗っ取るため聞き耳を立てるジェーン・・・その一方で主人に魅かれていく自分を発見するジェーンでもあった。

「ジェーン・エア」を下敷き、大胆な試み、にした本書、「ジェーン・エア」よりミステリー要素の強い新解釈版?に仕上がっている。ヴィクトリア朝ミステリー!?

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