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それまでの明日 [book] [原尞]

sample1.jpg原尞/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

シリーズ第六弾

「このミス・・・」2019年版第一位

沢崎を訪ねたのは紳士然とした男、<ミレニアム・ファイナンス>新宿支店支店長の名刺を出し、探偵料を前払いした。依頼事項は赤坂の老舗料亭の女将の身辺調査・・・

沢崎一流の調査方法であっさりと判明。対象者の女将は亡くなっており、現在は妹が女将を継いでいた。その辺の事情も聞き出し、依頼人に連絡をとったもののつながらない。

最後の手段?として<ミレニアム・ファイナンス>へ依頼人を訪ねたところ、運悪く強盗に遭遇してしまう始末。おまけに依頼人の支店長は忽然と姿を消してしまっていた。

ローレンス・ブロックの泥棒探偵・バーニイ・シリーズを彷彿させる洒脱さはシリーズ最高!?

周回遅れの一冊でしたが、充分に愉しめました。

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愚か者死すべし [book] [原尞]

sample1.jpg原尞/早川書房/お薦め度 ★★★★

シリーズ第四弾

大みそか、沢崎を訪ねて来たのは若い女、自首したー銀行強盗ー父親の無実を証明してほしい、と。父親が移送される前に面会の時間が5分とれたということで若い女、伊吹、を新宿署まで送り届ける。

事件は新宿署の地下駐車場で起きる。二発の銃弾が・・・一発は伊吹の父親、二発目は警護の刑事に命中した!

銃弾の発射れた車に体当たり、沢崎と犯人のカーチェイス?始まる。残念ながら沢崎のポンコツ、ブルーバードでは限界が・・・

新宿署で事情聴取のあと、警察代行の功績?から事件のあらましを聞くことになる沢崎。ハリー・ボッシュなら元ロス市警の刑事だから伝手を頼れば事件のあらましにたどり着くことは可能だが、新宿署の刑事を何人か知っている程度の沢崎がなぜ事件のあらましを!?

ひょんなことから誘拐された老人と伊吹の父親の義弟を助け出したことから沢崎に探偵としての依頼が舞い込む。

銃弾に倒れた刑事が死亡、事件はあらぬ方向へ舵を切る。イントロのあらましが伏線だったことが結末で明らかになる。この辺は結構凝った構成だが、デビュー作「そして夜は甦る」同様フロシキの広げ過ぎ!?サービス精神旺盛なのはいいが・・・

前作「さらば長き眠り」でハードボイルドの構成要素、ジャズと野球の話が揃ったが、本作ではそれらについて一行も触れられていない。残念なことだ!

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さらば長き眠り [book] [原尞]

sample1.jpg原尞/早川書房/お薦め度 ★★★★

シリーズ第三弾

400日ぶりに東京に帰って来た沢崎を待っていたのは浮浪者。依頼者が訪ねてきたことを告げられ、連絡先を書き記した名刺を受け取る・・・

依頼者、魚住とコンタクトがとれないまま沢崎は動き出す。魚住はかつての高校球児、甲子園でベスト8まで進んだが八百長疑惑が持ち上がり、後に嫌疑は晴れる、そのことを苦に?義姉が自殺を図っていた。

11年前の自殺の目撃証言が覆される。義姉が住んでいたマンションに出入りしていたライダースーツの女が確認され、その人物が能楽の宗家に関係していたりと話がどんどん膨れて行く・・・

いろんな人物が関所を作り、一筋縄ではいかない物語となっている。三作の中では一番のハードボイルド作品!?

追伸:前作に続きジャズの話に、今回は野球の話も出てハードボイルドらしさが増している。ジャズと野球はハードボイルドの定番!


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私が殺した少女 [book] [原尞]

sample1.jpg原尞/早川書房/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾にして直木賞受賞作

少女誘拐事件の身代金受け渡し役に指名される沢崎、愛車のブルーバードに6000万円を積み受け渡し場所へ出かける。

次から次へ指示が出され、ファミレスを右往左往する沢崎。そこで待ち受けていた暴走族?の二人組に因縁をつけられ争いになる。その隙に頭部を殴られ身代金を奪われる。

最悪の結果を招く沢崎、その彼に少女の叔父が身内の4人の事件のかかわりを調査してほしい、と。

誘拐された少女の複雑?な姻戚関係が次第に明らかになって行く。

デビュー作「そして夜は更ける」よりいい出来映え!?ジャズにかかわる件もあり、よりハードボイルド感が増している。

我田引水的な結末はもう少し練ってもらってもよかったのでは・・・

再読でしたが十分愉しめました。

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そして夜は甦る [book] [原尞]

sample1.jpg原尞/早川書房/お薦め度 ★★★★

私立探偵・沢崎シリーズ第一弾

本書は1988年のデビュー作。

シリーズ第二弾「私が殺した少女」は直木賞受賞作、週刊文春?の「20世紀ミステリーベスト10」の14位にランクイン、わたしのbook listにもシェルフにもあるが、どんな物語だったのか全く思い出せない。11年ぶりにシリーズ第五弾、「それまでの明日」、が刊行されたのでデビュー作を手にする。

まずもってテンポがいい、ジャズピアニストだったことと関係しているのか?会話がけっこうおしゃれでいきがいい。野球の比喩が多い、シカゴを舞台にした探偵ものには必ずカブスの話が出てくる。そこは意識したのか?ジャズピアニストだったならもっとジャズの話が出てきてもいい。海外のミステリー作家はジャズがお好き。タバコの本数が多い。30年前だからしょうがないか!?

物語は失踪事件から東京都知事狙撃事件へとつながって行く。作中の知事兄弟はどうみても石原慎太郎と裕次郎をモデルにしたとしか思えない設定。石原慎太郎が都知事に就任したのは1999年、本書の11年後、そこまでお見通しだったのか?

ルポラオターの失踪から東京都知事狙撃事件まで目一杯風呂敷を広げたデビュー作。なかなかのものだ!?

巻末のあとがきに代えてー一つのハードボイルド論マーロウという男。おしゃれでウィットに富んだ一文。かっこいい!

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