風配図 WIND ROSE [book] [皆川博子]
インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー [book] [皆川博子]
アルモニカ・ディアボリカ [book] [皆川博子]
皆川博子/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
前作「開かせていただき光栄です」の続編
天使が空を舞う?10数年前に閉鎖された採石場の坑道から屍体が発見される。空を舞った天使とは別物!
盲目の治安判事、ジョン・フィールディング、が発行人を務める犯罪摘発情報新聞に広告掲載依頼が舞い込む。天使が舞った事件で発見された屍体に、<ベツレヘムの子よ、よみがえれ!>の文字と<アルモニカ・ディアボリカ>の署名があったことの情報を求めて・・・
早速、取材?捜査?に向かう面々から物語はスタートする。
物語の肝、<アルモニカ・ディアボリカ>とは<魔法のハーモニー>と呼ばれるガラスと水で奏でられる楽器。その楽器によってもたらされた禍とベツレヘムの聖マリア精神病院、別名ベトランでの悲劇が重層、読者をどんどん引き込んでいく。
前作で出奔したエドとナイジェルが絡み、物語は混迷の度を深めていく・・・
治安判事としての責務を果たさねばならんが、安らかに過ごして欲しい人々もいる。その人々を犯罪人とすることが出来るのか。狭間で揺れるフィールディング。
大岡裁き?のキーワードは「新大陸戦争」!?
御年、84歳の著者、老いて益々創作意欲旺盛、前作同様愉しめる一冊です。
開かせていただき光栄です [book] [皆川博子]
皆川博子/早川書房/お薦め度 ★★★★
本格ミステリ大賞受賞作
題名の意味するところは、解剖学が偏見をもって見られた時代、18世紀のロンドン、を舞台にしていることから由来する。
私的解剖教室を開いているダニエル先生と5人の弟子たち、とりわけ一番弟子・エドワード、二番弟子、天才細密画の書き手・ナイジェルを中心に物語は進行する。
准男爵令嬢の解剖中に、あるはずのない死体、四肢を切断された少年、顔を潰された男、が解剖学教室に出現!
弟子たちと知り合ったばかりの詩人志望の少年の才能と古詩をめぐる運命を中心に、先生思いの弟子たちの陰謀? それを冷静に分析する盲目の治安判事、当時の訴訟制度を逆手に取った手の込んだお膳立て。くるくるまわるそんな一冊