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シルバービュー荘にて [book] [ジョン・ル・カレ]

sample1.jpgジョン・ル・カレ/早川書房/お薦め度 ★★★★

遺作

ロンドンでトレイダーをしていたジュリアン、仕事をやめ書店主となったが、商売はうまくいっていない。そんな彼のもとをエドワード・エイヴォンという男が訪ねてきた。父のことをよく知っていて、地下室に興味を示し、ある提案を持ち掛けられる。

イギリスの情報機関「部」で国内保安の責任者を務めるプロクターのもとを若い女性、リリー、が母親から手紙を言付かった、と訪れる。プロクターは重大な事態が起きていることを知り、調査を開始する。

やがて、その調査はジュリアンの周辺に迫る。

一見関係ないように思える物語がいつしか交錯する。シルバービュー荘に集うエドワード、デボラ夫婦、その娘のリリー、ジュリアン。エドワードとデボラは元スパイ、死期の近いデボラからのメッセージは・・・

静のスパイ小説、家族内でもシェア出来ない過去、現在・・・最後のリリーの言葉が響く。



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スパイたちの遺産 [book] [ジョン・ル・カレ]

sample1.jpgジョン・ル・カレ/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

前日譚、後日譚

「寒い国から帰って来きたスパイ」→「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」→本書

フランスの片田舎で引退生活を送っていたピーター・ギラム、英国情報部からの呼び出しに応じ、出向く。その彼を待っていたのは、かつての作戦、<ウィンドフォール>作戦、において射殺された情報部員アレックと恋人エリザベスの息子と娘が英国情報部を相手取って訴訟を起こそうとしているというのだ。

平たく言えば、訴訟相手はギラムとスマイリー、前作の主人公、!

現情報部は<ウィングフィールド>作戦の資料は断片的にしかもっとおらず、ふたりから事情聴取するしかほかに手立てはない、しかもスマイリーの行方は知れない・・・

しかたなくギラムは隠した資料を引き渡すが・・・ここから前二作、「寒い国から・・・」、「ティンカー、テイラー・・・」、をギラムを通した前日譚、後日譚が始まる・・・

本書も「ティンカー、テイラー・・・」同様、動きの少ないスパイ小説になっているが、その構想たるや作者の集大成と言っていい!?

前二作を読了しているか否かで本書の愉しみの度合いが違ってくるので注意・・・

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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ [book] [ジョン・ル・カレ]

sample1.jpgジョン・ル・カレ/早川書房/お薦め度 ★★★★

菊池光/訳(旧訳)

「静」のスパイ小説!?

元英国諜報部員のジョン・スマイリーは密かに諜報部<サーカス>に呼び戻される。<サーカス>の中枢に潜んでいるソ連の二重スパイをあぶり出すために・・・

その二重スパイはかつてスマイリーが尋問をしたことのあるソ連諜報部カーラに操れているという。

スマイリーがまず手をつけたのは諜報部に残る膨大な記録を読みこみ、それと並行してかつての同僚から証言を求めることだった。そこから中枢部の5人をスパイとして絞り込んだ。彼らはテインカー、テイラー、ソルジャー、プアマン、ベガマン(beggar)の暗号名を持っていた。

風貌のあがらない小男にして、夫婦関係も微妙な奔放な妻を持つスマイリー、そんな小男?が緻密な情報分析を行い、対象者を観察、素顔を見極めていく件が本書の肝!?

派手なアクションがあるわけでないので少々退屈と言えば退屈?三部作の第一章ということなので続きを読んでみなくては・・・

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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ [book] [ジョン・ル・カレ]

sample1.jpgジョン・ル・カレ/早川書房/お薦め度

村上博基/訳(新訳)

「寒い国から帰って来たスパイ」、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の続編が最新刊「スパイたちの遺産」なので未読の本書を手にする。

500頁超の大作だがいつものジョン・ル・カレ?のように頁がめくれない!ついに我慢の限界を超えギブアップ!

改めてアマゾンの書評を見てみると、新訳版の評価がやけに低い!急いで旧約を手にする・・・

時間を無駄にさせてほしくなかった!


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繊細な真実 [book] [ジョン・ル・カレ]

sample1.jpgジョン・ル・カレ/早川書房/お薦め度 ★★★★

趣を異にするスパイ小説!?

然したる現場経験のない自分、外務省職員、が外務閣外大臣の目と耳になるために偽名を与えられジブラルタルに派遣される・・・<ワイルドライフ作戦>、テロリスト捕獲、と名付けられたミッションは実感のないままに成功したと告げられる。

大臣秘書官のトビー、大臣の行動に疑問を呈し、行動を逐次監察していた。そんな折、<ワイルドライフ作戦>にまつわる会話を録音するはめに。作戦には民間防衛企業の創設者が大きな関わりを持っていた。

前半はふたつの話の繋がりが掴めず、ずいぶんと戸惑う?

後半は引退したキット、外務省職員、が<ワイルドライフ作戦>に絡んだ実行部隊の兵士に出会うことをキッカケに、不審に思っていた作戦の調査に乗り出す。

いつしかトビーとキット、キットの娘が加わり、真実の解明にスクラムを組む。彼らの前に立ちふさがるイギリスの「機密保護法」。さて結末は?

スパイ小説としては趣を異にする一冊。国民の前に開示されない「繊細な真実」。なんとも恐ろしい話だ!


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誰よりも狙われた男 [book] [ジョン・ル・カレ]

sample1.jpgジョン・ル・カレ/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

諜報、インテリジェンス

ドイツに密入国したやせぎすで体じゅうに傷跡のある若者、イッサ。トルコ人の家に世話になり、慈善団体の弁護士、アナベル・リヒターの支援を受ける。イッサが持っている書付によると、銀行家のトミー・ブルーがイッサを救ってくれる、と。

イッサの父親と思しき、ソ連の赤軍大佐がブルーの父親の代に作った秘密口座の存在が浮上する。

ドイツの諜報機関からチェチェンの活動家として狙われるイッサ、ドイツだけでなくイギリスの情報部、最後にはアメリカのCIAもからみ、各国の思惑、主導権争いが激しさを増す。

イッサは秘密口座に眠る資金をイスラム学者に、チェチェンの人々のためになる組織への配分を依頼する。言い換えればテロ組織への資金提供・・・

一強他弱の一強がテロリスト、情報を力技でかっさらっていく様は現実味を帯びる。

チャールズ・カミングの出現でスパイ小説が面白い。最新情報によるとジェイソン・マシューズの「レッド・スパロー」がMWA賞処女長編賞を受賞。ますますスパイ小説から目が離せない。


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