トゥルー・クライム・ストーリー [book] [ジョセフ・ノックス]
ジョセフ・ノックス/新潮社/お薦め度 ★★★★
サスペンス・ノワール
6年前の女子大生失踪事件、ゾーイ・ノーラン、にとり憑かれるイヴリン・みっちぇrは関係者へのインタビューを通じ、未解決事件の真相を突き止め、一冊の本、トゥルー・クライム・ストリー、にしようとする。
執筆の助言をジョセフ・ノックスに求める。
ほとんどが関係者へのインタビューの文字起こし、その合間にイヴリンとノックスのやり取りが入るという特殊?な構成。イヴリンから送られてきた原稿をもとにしてノックスが事件を推理する?
事件の確固たる証拠を入手後、イヴリンは帰らぬ人に。ノックスが彼女の遺稿を完成させたが・・・
関係者のインタビューの文字起こしをしているため、視座を変えると全く異なるイメージが浮かび上がると同時に結末らしい結末のない物語になっている。ゾーイに何が起きたか解決を提示できないかぎり、結末のつけようがない。
ジョセフ・ノックスが導き出した判然としない?結末とは・・・
マンチェスター市警エイダン・ウェイツ・シリーズの著者の意欲作!?
堕落刑事 [book] [ジョセフ・ノックス]
ジョセフ・ノックス/新潮社/お薦め度 ★★★★☆
マンチェスター市警エイダン・ウェイツ・シリーズ第一弾
逆読み、第三弾→第二弾→第一弾、のデビュー作
証拠保管室からドラッグをくすね、停職処分をくらい、最後通告を待つ身のウェイツ。上司からウェイツへの提案?は麻薬密売組織”フランチャイズ”への潜入捜査、選択肢のないウェイツは”捨て駒”となる。
更におまけにが・・・組織のボスのところに身を寄せている司法大臣の十代の娘をドラッグに染まる前に救い出す任務も加わる。
ボスの屋敷で週末開かれるパーティにもぐりこみ、ボスとの距離を縮め始めたころ、大臣の娘が過剰摂取?で死亡、事態はあらぬ方向へ・・・
麻薬密売組織の抗争、大臣に寄り添う公安、組織が飼いならす警官・・・ぼろぼろになりながら任務を遂行するウェイツが健気?だ。
三作とも愉しませていただきました。
笑う死体 [book] [ジョセフ・ノックス]
ジョセフ・ノックス/新潮社/お薦め度 ★★★★☆
三部作の二
休業中のホテル、警備員が殴られ、客室で<笑う死体>が発見される。現場に駆けつけたのはレイトショー、深夜勤務、のエイダン。死体は歯も指紋もなく、末期がんを抱えていた。
更に、スラックスに縫い付けられた紙片、”タマム・シュッド”、”終わった”と記された、と預かり証”831”が・・・
第一作、私は未読、により忌み嫌われる警官を演じなければならないエイダン。負の遺産、公私とも、特に私の方は少年期の暗い過去が並行して語られる、が付きまとう汚職警官、いつ切り捨てられてもおかしくない人物設定が本シリーズの肝。
エイダンのバディの上司サティが異才?を放つ。ふたりはパートナーでありながらお互い憎しみ合っている。
警察小説+犯罪小説+謎解き小説と多才な顔を見せる本書、三部作の一、「堕落刑事」も手にしたい。
スリープウォーカー [book] [ジョセフ・ノックス]
ジョセフ・ノックス/新潮社/お薦め度 ★★★★☆
2022年版「このミス・・・」海外編第3位、三部作完結編
12年前の一家惨殺事件で終身刑を言い渡されたマーティン・ウィック、ガンの余命宣告を受け、病院へ移された。その護衛を仰せつかったエイダンとサティ、目的はもうひとつ一家惨殺事件で死体が見つかっていない長女の行方を聞き出すこと・・・
緑のトラックスーツを着た女が現れ、病室から火の手が上がる。ウィックは死に、エイダンも意識不明の重体。
エイダンとバディを組むよう命じられたのはナオミ・ブラック巡査、はみ出し者に観察者?
確かに警察小説なのだが、ノワール、エイダン自身、警察内部、事件の周辺、でもあり、謎解き要素もありと、いいとこ取りの一冊。充分に愉しめました。