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アンリアル [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/講談社/お薦め度 ★★★★

スパイ見習い!?

実習期間を残して山王署から本庁・警備部警護課第四係へ異動となった沖野修也、19歳、警護課課長からお前は出向になった。本庁には出社におよばず、国際交流二係へ出勤するように・・・

国際交流二係とは諜報、防諜を行うスパイ組織。沖野がスカウトされた「特質」は殺意や敵意を悪寒や相手の目の色を通じて感じる能力。しかもその特質いや「異能力」は、明治時代から続く遺伝子の掛け合わせの産物だという・・・

物語は4つの事件で構成され、組織、手法、国益、自分に「抗いながら」突き進み、CASE4でCASE1の伏線が回収される青春スパイ小説とでも言えばいいのかな!?

来週の予告:「キツネ狩り」/寺嶌曜を紹介します。こちらも左眼で現在、右眼で三年前が見える特質をもった警察官の話・・・



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プリンシパル [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/新潮社/お薦め度 ★★★★

クライム・ノベル

プリンシパルとは、そのバレエ団のトップの階級にいるダンサーのこと。

昭和二十年八月十五日、塩尻駅で玉音放送を聞いた教師の綾女、憎しみと血の匂いの記憶を呼び覚ます東京へと、彼女を運んでいった。

関東最大の暴力組織四代目水嶽本家に掲げられた看板は「水嶽商事株式会社」・・・兄たちが出征中のため、父が会長兼社長の肩書で代行を務めている。

兄たちが戦場から戻るまで。見せかけの会長兼社長に据えるため綾女は呼び戻されたのだった。

父の死を知った敵対する連中が水嶽本家を急襲する。そのことで綾女は腹をくくる。父親と同じが血が流れていることを思い知る。

昭和二十九年までのGHQ工作、秘密の汚れ仕事、政界工作、裏金・・・敵対する組織の弱体化工作、裏の顔・・・水嶽商事の統制のとれた商業組織への変貌、表の顔・・・裏の顔と表の顔を使い分けながら戦後の闇を生き抜くクライム・ノベル。綾女が目指すものは何か?その過程で生じた怨念、憎悪が結末で一挙に爆発する。

長浦京のファンとしては唐突な題材!?「リボルバー・リリー」のような小説が読んでみたいものだ。



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アキレウスの背中 [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/文藝春秋/お薦め度 ★★★☆

サスペンス

MIT((ミッション・インテグレイテッド・チーム)いわゆるタスクフォースに召集された警視庁捜査三課七係、下水流(おりづる)主任らが命じられたのは、ある日本人マラソン選手への脅迫、今後の協議会への参加をやめなければ、本人および家族の命にかかわることが起きる、をしている犯人の特定と逮捕。

一か月後に開催される東京WCCR(ワールド・チャンピオンズ・クラシック・レース)、世界ランキング上位の招待選手三十名と国内外の有望なランナー十名で争われる賞金レース。しかも日本政府が認可する公営ギャンブルの対象マラソンレース第一号。

下水流以下三名は嶺川選手が所属するDAINEX総合研修所へ向かう。そこでは当日、嶺川が着用するウェア、シューズの最終調整が行われていた。熾烈な企業間競争の最前線。

MITの規模は総員百数十名、三十数班のユニットに分かれていることから単なる身辺警護、逮捕ではないことは明らか。全員招集の会議にてようやく政府からの許可がおりたということで総括審議官から「本件の容疑者と思われる者たちが狙っているのは、嶺川選手個人やDAINEXという一企業を標的とする強要・恐喝ではない。連中の狙いは東京WCCRにおけて、複数の選手の走行を妨害すること、すなわち優勝及び上位入賞の阻止にある」

端的に言えば特定のメーカーのシューズを履き、ウェアを身につけた選手だけを勝たせ、世界中が見ているまさにその時、壮大なハ百長をやろうとしているわけだ。我々の目的は、それを阻止し、不届き者を残らず排除・逮捕することにある。

三十数分の一の下水流班四名が主役とはなんというタスクフォース?しかもベタな題材?長浦京とは思えない作品?ちょっと残念。今月刊行予定の「プリンシパル」の方が面白そう!?




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アンダードッグス [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/KADOKAWA/お薦め度 ★★★☆

冒険謀略アクション小説!?

元農水省官僚、古葉慶太、役所を追われ今は証券マン、上得意先とのミーティングに参加するため嫌々ながら軽井沢へ向かう。今の職場を選んだ決め手はメールのやりとりで業務が遂行出来ることだった。役所を追われたことに絡む対人恐怖症、重度の失望を何とかしなければならないという思いと意地があった。

古葉を待っていたのは香港在住のイタリア人大富豪、マッシモ・ジョルジアンニ、そこで告げられたこととは、香港の銀行から運び出されるフロッピーディスクと書類、マッシモの息子を自殺に追い込んだ、アメリカ政府は自分たちに従わないというだけで、悪と認定、ブッシュ政権とイタリア政府内の親米派によって仕掛けられた戦争の犠牲者となった、人間たちを今の地位から追い落とし、破滅させられる記録を奪い、世界に公表にするという無謀な提案だった。

考える時間は与えるが、選択肢に「No」はない!

マッシモのマニュアルを実行すべく返還前の香港、1997年、へ飛ぶ古葉、そこで待ち受けるチーム古葉の面々、次から次へと仕掛けられる攻撃、チーム古葉から離脱する者、新たに加わる者、チーム古葉を支援する?ロシア、英国、中国・・・どの情報が真でどの情報が偽なのか、誰が味方で誰が敵なのか・・・

21年後、2018年の香港、古葉の養女、瑛美が日本を追われ、中国人と一緒に行動しながら義父の足跡を追う物語が並行して語られる。

物語がスピーディーに進むのはいいのだが、誰が味方で誰が敵なのか整理がつかないまま読み進む。それに加えて主人公の古葉になかなか感情移入出来ない自分がいる。もう少し人物描写を膨らまし、敵味方を整理してくれるとより愉しめたと思う。評判が高かっただけに残念!

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マーダーズ [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/講談社/お薦め度 ★★★★

犯罪小説

ある夜、商社マンの阿久津清春はストーカーからハーフの女性を助けた?彼女とは五か月前、合コンめいた食事会で名刺交換した。柚木玲美の口から出た言葉は「私も殺す?」・・・何とも謎めいたイントロ。

清春が連側殺人犯であることを知っている玲美の依頼は母の死の真相と行方不明の姉の捜索。

もうひとりのパートナーに指名された、刑事の則本敦子、も玲美に過去の事件の証拠を握られていた。

異常な関係の三人の捜査は、いくつかの未解決事件を掘り起こしていく。呼び起こされたくない者たちが三人の前に立ちはだかる・・・

犯罪者が犯罪者を呼び起こす、法では始末しきれない断罪、どこにいきつくかわからない展開・・・長浦京から目が離せない!


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赤刃 [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/講談社/お薦め度 ★★★★

小説現代新人賞受賞作

「リボルバー・リリー」の原点ここにあり!

徳川家光の治世、江戸市中で起こる尋常じゃない辻斬り、二日に一度は死体がころがるようになった。老中・松平伊豆守は辻斬りを殲滅すべく「掃討使」を任命する。

辻斬りは元津藩士・赤迫雅峰を筆頭に六名、いずれも剣術の達人、任命された「掃討使」はことごとく斬殺か行方不明、最後の切り札は若き旗本・小瑠間逸次郎!

屈強な傭兵を集め、屋敷を守り城?に改築、戦いの火ぶたが切って落とされる。赤迫一派をひとり、またひとりと殲滅させる度に、傭兵の数を減らし、逸次郎自身も傷を負う・・・

壮絶な戦いが繰り広げられる様は、「るろうに剣心」、「無限の住人」を彷彿させる!?

大活劇を映像ではなく小説に仕立てた著者に「あっぱれ!」。


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リボルバー・リリー [book] [長浦京]

sample1.jpg長浦京/講談社/お薦め度 ★★★★☆

「このミス・・・」2016国内編6位

柳広司「ジョーカー・ゲーム」+月村了衛「槐」

関東大震災の後、慎太と喬太の兄弟はお手伝いさんと秩父へ移り住む。なぜか父と母、姉は一緒ではなかった。学校で孤立するふたり、唯一の楽しみは、謎めいた人物、国松の飼っている狼ルパの面倒をみることだった。

突然、帰って来た父に熊谷へ逃げろ、この封筒は誰にも渡すなと言い置かれる。不安にかられ隠れて父の後を追う慎太が見たものとは拷問による一家皆殺し!

熊谷に向かう慎太と喬太、国松からの指示は小曽根百合を頼れということだった。

小曾根百合ことリボルバー・リリーとは、嘗て特務機関で訓練を受け、「最も排除すべき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。慎太と百合を追うのは陸軍と賞金目当てのヤクザ!

全編、大活劇の連続、繰り返される殺戮にうんざりするのかと思いきや、手に汗握るバトルに頁をめくる手も早まる。陸軍が最後に投入した隊員数は1000人、1000人vs.2。

慎太の父は陸軍のある作戦、海外で資金運用し裏金を作る、に加担し、途中からそこで得た利益を不正蓄財していた。陸軍は不正蓄財をとり戻そうと慎太を追っていたのだ。それに手を差し伸べたのが海軍の山本五十六、海軍省までたどり着けばふたりの身柄は保障する、と・・・

何ともハチャメチャな展開だが読み出したら止まらない大々活劇小説!

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