さよなら神様 [book] [麻耶雄嵩]
麻耶雄嵩/文藝春秋/お薦め度 ★★★★
「このミス」2014年国内編2位
「犯人は〇〇だよ」 俺、桑町淳の前で神様は宣った、で始まる6編収録の連作短編集。
鈴木は神様。三度犯人を名指し二回はそれが真実か確定していないが事実は別の方向で収束しちゃった。
四回目は赤ん坊の取り違えという大技?で結果として宣託は当ってしまう。
次はクラスのマドンナが殺され、久遠小探偵団、小学5年生なんです、の紅一点が神様に犯人と名指しされ自殺?する。毎度毎度神様の宣託を仰ぐ淳は、神様の呪縛から逃れられない。
そんな中、突然神様が転校することに。神様がいることでバランスを保っていたクラスメイトは淳を悪魔狩りの標的とする。
転校、高校生になる淳。不意に神様を見たように思えた瞬間、神様の呪縛から解き放たれ、縺れた糸が解ける。「さよなら神様」。
犯人はいつも身近にいたマークの同級生!?でもだからいいか!?いやミス的な結末にぎょぎょぎょ・・・
貴族探偵対女探偵 [book] [麻耶雄嵩]
麻耶雄嵩/集英社/お薦め度 ★★★★
「貴族探偵」に続くシリーズ第二弾
「2014年本格ミステリ・ベスト10」のNo.1!
内容は表題の通り、貴族探偵と女探偵の謎解きなのだが、いつもいつも地団太を踏むのは・・・
貴族探偵は自分で謎を解くのではなく、使用人、執事、運転手、メイド・・が御前に変わって謎を解く。なんとも奇想天外なプロット。
女探偵は五編中四編で謎解きの最後で逆転負け、師匠の域に達していないことを痛感。しかし、五編目では最後に依頼主が明らかになり、修行の足らなさを思い知る女探偵だが、謎解きを果たし少々溜飲を下げる。
愉しい連作短編集だが、本書が本格ミステリのNo.1!?
隻眼の少女 [book] [麻耶雄嵩]
麻耶雄嵩/文藝春秋/お薦め度 ★★★☆
「このミス・・・」国内篇第4位
「本格ミステリー」とは、島田荘司氏いわく「魅力的な謎、幻想的・神秘的・天然、が後段で解決がなされる」。推理が中段、推理が一定の量あり、高度な倫理性が求められる。魚に例えると、頭は魅力的な謎、背骨、枝骨は様々な推理、尾は解決。
本書も「本格ミステリー」なのだろう。その証拠に「本格ミステリ10」の第1位にランキングされている。
隻眼の少女探偵・御陵(みささぎ)みかげのデビュー戦を描いた一冊なのだが、「掟破り」のプロットはいただけない。なんで本書が「このミス・・・」国内篇第4位なのか、不作の国内篇ミステリーの証!?