その雪と血を [book] [ジョー・ネスボ]
ジョー・ネスボ早川書房//お薦め度 ★★★★☆
パルプ・ノワール!
始末屋のオーラヴ、今回の仕事は不貞を働ているボスの妻、コリナ、の始末。コリナを鑑視するうち、その魅力に屈してしまう?
ボスのいない自宅で逢引する?男をつけ、妻ではなく男を射殺する。男は何とボスの息子!
ボスの追手から逃げるオーラヴとコリナ。窮地を脱する妙案は、ボス、麻薬業者、のライバル業者、<漁師>、にボスの死体を差し出すことだった。
物語のもうひとりのキーパーソン、マリア。オーラヴが助けた女であり、愛を告白したいと思っている女・・・ふたりの女の間で揺れながら物語は最終局面へ。
ジム・トンプスンばりのパルプ・ノワール。ジム・トンプソンの新作と言われればそうかと思ってしまうほどの一冊。ファンにとってはたまらない!
それにしても多芸な作家だ。
この作品は、内容的にはノワールといったところで、殺し屋の物語。
オーラヴ・ヨハンセンという殺し屋の一人称で語られる物語であるのだが、正直なところ、初っ端で彼が殺し屋をしている理由について、「おれにはできないことが四つある」と語りだしたことにはうんざりさせられた。
そんなことグチグチ言われてもと。
ただ、話が進むにつれ、意外な展開を見せ、それなりに飽きさせずに惹きつける物語となっていることに気づく。
読み通してみると、それなりに読み応えのある作品であったと。
何やら、妄想癖が強い主人公であったという感じであるが、その妄想が、物語上大きな役割を占めていることに感嘆させられる。
例えどのような人間であれ、個人的に妄想に浸ることは自由ではないかと。
そんな感想を抱かされる作品であった。
by オーウェン (2023-11-12 17:16)