黒いダイヤモンド [book] [マーティン・ウォーカー]
マーティン・ウォーカー/東京創元社/お薦め度 ★★★★
警察署長ブルーノ・シリーズ第三弾
フランスの片田舎、ワインしかり、山鴫しかり、黒いダイヤモンドことトリュフしかり、なんとも豊かなサンドニ村。
狩猟仲間のエルキュールから、トリュフ市の扱い商品の中に中国産のトリュフが混じっているので調査してほしいと依頼を受けるブルーノ。
そんな矢先、エルキュールが無残な姿で殺される。ブルーノも一緒の狩猟最中に・・・
さらにブルーノ友人のヴェトナム人夫婦がやっている料理屋台が何者かによって襲撃され、家族は雲隠れする。
エキュールの書斎で付箋をした蔵書、ファイルを読み進むうちに、彼はかって秘密警察官だったことがわかる。しかもヴェトナムにもいたことが。
フランス国内におけるヴェトナム人組織対中国人組織の抗争、元秘密警察官殺害、村長選挙の候補者たち、中国トリュフ混入事件・・・重層する事件に村で唯一の警察官が立ち向かう。おまけに自身の恋の行方も絡んで実に愉しいシリーズ第三弾、わたしのお気に入り!
葡萄色の死 [book] [マーティン・ウォーカー]
マーティン・ウォーカー/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆
警察署長ブルーノ・シリーズ第二弾
サイレンが夜の静けさを破る。地図にのっていない遺伝子組み換え作業が行われていた畑が何者かによって放火される。犯行はエコロジストか?
こんな書き出しで始まるブルーノ・シリーズ第二弾。
ワイン農家の老人とそれを手伝う大学生の養子縁組、サンドニ村に降ってわいた大規模ワインメーカーの進出話、大学生とその恋人の間に入り込むワインメーカーの御曹司、学生と老人の死・・・なんとも盛りだくさんな話。
これが一番かもしれないが、ワインに関する、美食に関する話、ブルーノの恋の行方話がミステリーに加わり癖になる、第一弾よりパワーアップされた本作品。
ブルーノ自身の真摯な態度、ブルーノを囲む心やさしき人々、すべてがゆっくり流れる村、どれをとっても魅力的。ミステリーの方は少々我田引水的な部分もあるが、そんなことは一切気にならない。
次作も期待したい。
緋色の十字章 [book] [マーティン・ウォーカー]
マーティン・ウォーカー/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆
警察署長ブルーノ・シリーズ第一弾
時間がゆっくり流れるフランス片田舎、ラスコーの洞窟壁画が位置する、そこの警察署長・ブルーノ、就任8年目にして初めての殺人事件。
被害者の老人は腹を引き裂かれ、胸にナチスの鍵十字を刻まれていた。指揮を執るのはブルーノではなく国家警察、ブルーノと村長は村をまもることを最優先に捜査に協力する。
そんな折、村の医者の息子と恋人が薬物所持で逮捕され、予審判事までが村にやってくることに。ふたつの事件の関連性は!?
ブルーノと村民、ゲストハウスの経営者、そこを訪れている歴史家、国家警察の美人刑事官・・・まわりを取り囲む人間模様がゆったりと流れる時間と相まって魅力的に映る。特に刑事官との恋愛の行方が気になる。
事件の背景にはイデオロギー的な問題が含まれているが、ラストのセリフが実にいい。次作も用意され愉しみなシリーズになりそうだ。