ミレニアム6 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]
三部作完結編
完結編の目玉のひとつは、双子の妹カミラと決着をつけ、自らの過去にどう終止符を打つのか・・・
もうひとつは、ひとりの物乞いの死体が発見される。真夏にもかかわらずダウンジャケットを着ていた。ポケットにはミカエルの電話番号を記した紙切れが・・・
法医学者の女性は、ミカエルに物乞いは殺された可能性があると告げる。調査を始めるミカエルのもとに、物乞いに絡まれたという女性評論家が浮かび上がる。物乞いは彼女に「おれ、フォンシェルを連れていった。マムサビヴを残していった。ひどい、ひどい」、と。フォンシェルとは国防大臣のことらしい・・・
ミカエルはリスベットに物乞いの資料を送り、協力を依頼する。
ふたつの事件が絡み合いながら物語は進む。ミカエルはリスベットの協力を得、事件の核心に迫って行く。一方、カミラはミカエルを餌にリスベットをおびき出そうと画策する。
身体を張ったリスベットの活劇が見もの・・・
著者のリスベットのイメージを端的に表す一行が巻末に、「天界にいる堕天使、誰にも仕えず、誰にも属さない」。
ミレニアム5 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]
三部作第二弾
前作でサヴァン症候群の少年、アウグストの命を救ったリスベットだったが、その時の行動が違法行為にあたるとして、懲役二ヶ月の実刑判決を受ける。
収監された女子刑務所では、ギャングの一味であるベニートが所内を仕切り、美貌のファリアを痛めつけていた。珍しく?看過することが出来ないリスベットは看守をも支配しているベニートに立ち向かう。
そんな折、ホルゲン、リスベットの元後見人、がリスベットを訪ねる。ホルゲンの発した、レジストリ―の人間じゃないか?に反応するリスベット・・・
リスベットはまず、刑務所の区画長の弱みを握り、インターネット接続の出来るPCから必要な情報をハッキング、ミカエルに調査を依頼する。
遺伝環境研究レジストリ―という公的機関が画策した科学実験とは?それに翻弄させられた一組の一卵性双生児。リスベットと妹のアニカも研究対象だったとは・・・
前作より更にリスベットの少女時代の謎を掘り下げ、それに絡んだ心理学者に復讐の炎を吐くリスベット。更にファリアの件でベニートは脱走、ファリアの兄弟とタッグを組み、リスペットを急襲。結末は如何に!?
「ミレニアム4」はスティーグ・ラーソンの未完の原稿があった。本書は完全にダヴィド・ラーゲルクランツの手による「5」。「ミレニアム6」ではいまだ解決を見ないアニカとの戦い、本書では触れられていない、はどうなるのだろうか?
ミレニアム4 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]
スティーグ・ラーソンの跡を継いだダヴィド・ラーゲルクランツによる三部作の一作目。昨年末に完結編、ミレニアム6、が刊行されたので手にした一冊。
スティーグ・ラーソンの手によらない続編、なかなか手が出しにくかったが、結論は愉しめた!
経営危機にある「ミレニアム」、ミカエルにもこれといったスクープがない。そんな折り、人工知能研究の世界的権威、バルデル教授が大きな問題を抱えているので会ってほしいというのだ。元アシスタントの話でリスベットが絡んでいると直感したミカエルは行動を起こす。
アメリカのNSA、国家安全保障局、はバルデル教授が犯罪組織と関係する会社から研究成果を持ち出したとして、危険が迫っているという情報を得る。
そのNSAのネットワークにリスベットが侵入していたのだ・・・
リスベットとミカエルが結果として共同戦線をはることになるのだが、なかなか全体像がつかめない。
そこでもうひとりのキーパーソン、バルデル教授の息子、サヴァン症候群の息子、アウグストが登場、特異な才能を活かし教授を殺した犯罪組織の殺し屋を暴きだしたり、リスベットも手に負えない数式を導きだしたり、「レインマン」同様の活躍を見せる。
本書のもうひとつのハイライトはリスベットの少女時代、双子の妹、父親との関係性が語られる件だ。天才ハッカーがどうして生まれたのか・・・
ついつい、キャロル・オコンネルのマロリー、ニューヨーク市警の刑事にして天才ハッカー、を思い浮かべてしまう。
物語は風呂敷を目いっぱい広げ、それを3人の主人公で終結させていく一気読みの続編。第二作、三作でリスベットの双子の妹、カミラ、がどうかかわってくるのかが愉しみだ!?
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士[book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]
スティーグ・ラーソン/早川書房/お薦め度 ★★★★★
「ミレニアム」三部作、完結!
第二部のラストで、頭を撃たれたリスベット、ミカエルの機転で救急へりで病院に搬送され緊急手術を受ける。一方、アレクサンデル・ザラチェンコもリスベットに斧で頭をかち割られ、同じ病院で手術を受ける、ふたりとも一命をとりとめる。
今回のリスベットは病院になか、動くことが出来ない。事件の核心にせまる役割は、ミカエルを中心とする「ミレニアム」メンバー、ミルトン・セキュリティーの社長、スタッフ、ストックホルム県警犯罪捜査部、公安警察憲法保証課・・・たくさんのメンバーが結果として、リスベットの疑念を晴すため奔走する。
リスベットは病室からPDAを使ってミレニアムの共同経営者、エリカ・ベルジュにつきまとうストーカーを退治するだけ・・・
リスベットの心境が吐露される、「彼女は相手がだれであれ、借りをつくるはきらいだった。まるで自分にはコントロールできないゲームの駒になったような気がした」(下巻404頁)
リスベット抜きで最終章へとつきすすむ。
三部作として十二分に楽しませてくれたシリーズです。本年度ベスト3 間違いなし!?
ミレニアム2 火と戯れる女 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]
スティーグ・ラーソン/早川書房/お薦め度 ★★★★
ミステリー三部作、第二部
ザッツ・インターテインメント!!(!?→!!)
第一部の最後に、リスベットはミカエルに別れを告げる
今回の「ミレニアム」特集は人身売買と売春、フリージャーナリスト、ダグ・スヴェンソンと恋人ミア・ベルイマンの持込み企画。
実名入りの告発記事、当事者への取材、執筆中にダグとミアが殺害される。時を同じく後見人で弁護士のビュルマン(第一部でリスベットから手荒い報復を受ける)も殺害される。
ふたつの事件の容疑者してリスベットが指名手配される。
次々に明らかにされるリスベットの過去。友人のミミが襲われるいたりリスベットはひとりで手を下すことを決意する。
ミカエルの調査とリスベットがいつしか交わるのですが、これ以上は言えません。
第三部でミカエルとリスベットはどうなるのでしょうか、楽しみです。
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]
スティーグ・ラーソン/早川書房/お薦め度 ★★★★★
ミステリー三部作、第一部
ザッツ・エンターテインメント!?
スウェーデン発のミステリー。スウェーデン発といえば、最近ヴァランダー警部・シリーズのヘニング・マンケルが絶好調。
主人公はふたり、ミカエル・ブルムクヴィストとリスベット・サランデル。ミカエルは月刊誌「ミレニアム」の発行責任者であり記者。リスベットはフリーの調査員。副題のドラゴン・タトゥーの女でもある。
名誉毀損の裁判に敗訴したミカエルに、ヴァンゲル・グループの前会長・ヘンリック・ヴァンゲルから孤島で起きた少女誘拐事件、ヘンリックの兄の孫娘、を再調査してほしいという依頼がくる。
ふとしたことからミカエルはリスベットの存在を知ることに。いつしかふたりで富豪一族の暗部に切り込んでいた。
リスベットの型破りな人物設定、いたるところにあらわれるスウェーデンらしさ・・・どれをとってもエンターテインメントな物語。
三部作の第一部としては上々の立ち上がり!