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その罪は描けない [book] [S・J・ローザン]

sample1.jpgS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

リディア&ビル・シリーズ十三弾

ビルのもとに奇妙な?依頼が・・・かつて女性を殺し、服役、刑務所で絵の才能をみとめられて仮釈放され、注目を集めている画家のサム、釈放の翌日、イベントの翌日殺された女性の犯人は自分だ。

警察に自首したけれど相手にされなかった・・・自分が犯人であることを証明してほしい、と。

連続殺人の前後に同様の事件がおき、四連続殺人か?ニューヨークのアート事情の裏側を背景に、ビルとリディアの調査は進む。

前半、ビルとサムのかみ合わない会話が続き、少々退屈?ではあるが、リディアが加わると物語は一挙に加速する。

相変わらず愉しめるシリーズ!



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南の子供たち [book] [S・J・ローザン]

sample1.jpgS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第十二弾

前作、「ゴースト・ヒーロー」、の刊行が2014年、8年ぶりのシリーズ

事件解決のためにわたしがミシシッピにいくことを母が望んでいる。

ミシシッピにいとこがいる、それだけでもビックリ、その人が父親殺しの容疑で拘置所に入れられている。即刻いとこを自由の身にするため南部へ行くことを命じられた。

頼れる相棒ビルを伴い町を訪れると、件のいとこは拘置所から脱走していた。事件の依頼人であるいとこの大叔父の家に滞在して調査を始める。

百年前に中国人がミシシッピ・デルタに移住し、中国人の経営する食料雑貨店がすでに存在し、新参の移民を受け入れていた。

本書のテーマであり、事件の背景に関与しているミシシッピをはじめとする南部に暮らす中国系アメリカ人の歴史だ。「黒人でなくたって、中国人じゃないか。白人にはなれない」「ここはミシシッピよ、黒とほかの色では大違いじゃないの・・・」

ニューヨークに暮らす中国系アメリカ人のリディアの目を通してつぶさに描かれる自分たちの歴史の一面がずしりと重たい。



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どこよりも冷たいところ [book] [S・J・ローザン]

sample99.JPGS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆ 

アンソニー賞最優秀長編賞受賞作

はじめは些細なことだった。建設現場ではそう珍しくない。工具が消えたり、配達品の数が不足したり。それからまもなくフロントローダーが盗まれた。

目を配り出したら好まざる人物がいるのに気づいた。ジョー・ロメオというやつで、レンガ工事の班長をしている。何やらうさん臭い商売に手を出してるんじゃないかと、クロウェル親子は疑っている。

わたしをレンガ工として現場に送り込んだのは、チャック・デマティスである。デマティスは元警察官で、退職して四年ほど経つ。退職した日に探偵免許を手に入れた。

クレーン操作係が失踪するという事件に続き、作業員のひとりが意識不明の重体に・・・更に死体が発見されるはめに。

こよなくピアノを愛する探偵、ビル・スミスが事件の奥底にあるものを探り始める。

物語にしても、主人公にしても、主人公を取り巻く人間関係にしても派手さがあるわけではない。その淡々とした語り口、淡々とした人物造形が心地いい一冊。不思議な探偵小説である。

2002/09

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この声が届く先 [book] [S・J・ローザン]

sample1.jpgS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度★★★★

シリーズ第十一弾

リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ、今回の主役はビル・スミス。リディア・チンが誘拐された!

正体不明の犯人のヒントにニューヨークを奔走するビル。ビルの助人としてリディアの親戚・ライナス、ライナスのガールフレンド・トレラが加わる。

ひとりの娼婦が殺され、三人の娼婦を間一髪で次々救い出すビル。敵対する売春組織の元締めらも参戦、タイムリミットは12時間・・・

ニューヨーク案内、「クィーンズ・・・郊外だから。郊外族はダサイ」、「アッパー・イーストはいまや流行おくれ・・・冴えない老いぼればかりが住む街に成り下がった」、「ミートパッキング・ディストリクト・・・あのへんは個人住宅がないし、貸し物件もない」、「ミートパッキング・ディストリクトのすぐ東のヴィレッジも流行おくれだし、建物も古い。所帯持ちや子供が多い」、「チェルシー、MPDの北、数々のギャラリー。高級クラブ。空中公園ハイライン。広いロフト。高級ブティック。話題の的」、もあり、ニューヨークファンにはたまらない。

いつもと趣を異にする第十一弾!


シャンハイ・ムーン [book] [S・J・ローザン]

sample1.jpgS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

リディア&ビル・スミスシリーズ

近代歴史ミステリーと言ってもいい壮大なスケール。第二次世界大戦前夜、ザルツブルグから上海に亡命するギルダー姉弟。船中で中国人青年・カイロンと知り合うロザリー。動乱期の中国で白人と中国人の結婚は奇異に映ったが、結婚。それを祝し、ギルダー家とチェン家の宝石を組み合わせてブローチをつくった。後に「シャンハイ・ムート」と呼ばれる。

リディアは同業の探偵・ジョエルから宝石探しの手伝いを頼まれる。中国人の役人がその宝石を横取りし、チャイナタウンで処分しようとしていると・・・

ロザリーの母親宛ての膨大な手紙を読み解きながら、ロザリー家、チェン家の物語にのめり込んでいくリディア。

「シャンハイ・ムーン」をめぐる人間模様が次第に浮き彫りになるのだが、起伏に富んだプロットは読者を飽きさせない。一気読みまちがいなしの一冊!


冬そして夜 [book] [S・J・ローザン]

sample8.jpgS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★ 

2003年度MWA最優秀長篇賞受賞作

ふたりの私立探偵、ビル・スミス&リディア・チンシリーズ

アメリカの国技「アメリカンフットボール」、日本の高校野球同様に熱狂するスポーツ、地方都市であればあるほどすべての市民の期待を一身に背負う競技。今回の舞台、ワレンズタウンもそんな熱狂的な町。

甥のゲイリーと再会したのはニューヨークの警察署、身元引受人になったものの自宅から逃げるように出て行ってしまう。なぜニューヨークに来たのか?甥を捜すため、ビルは一家が住むワレンズタウンに向かう。

アメリカンフットボールに熱狂する町が抱えるゆがみ、フットボール選手はなにをやっても許される、で起こった事件にかかわるはめになる。町の人たちにはお節介と思われるビルだが、甥のため手弁当で事件解決に挑む。

邦訳されるのが遅すぎた感はあるものの、MWA賞受賞作だけあったよくまとまった作品、一気読み間違いなし。


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