オーダーメイド殺人クラブ [book] [辻村深月]
辻村深月/集英社/お薦め度 ★★★★
直木賞ノミネート作
中2のアンは、クラスの芹香、倖と些細なことで離れたり、仲直りしたりを繰り返す少女。誰にも言えない興味は猟奇的な写真集。母親、クラスメイトとの関係に嫌気がさしていた。
隣の席の先生を父親に持つ徳川勝利、通称「ショーグンJr.」、に猟奇的な興味を見透かされる。同じ美意識?を持つショーグンJr.に「私を、殺してくれない?」と頼む。
ふたりで進める殺人の段取りが一歩一歩進んでいく。「イヤミス」かと思いきや、結末は意外や意外のスッキリ!
三度目の正直で直木賞を獲得した「鍵のない夢を見る」はノミネート作より確かに秀逸だ。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 [book] [辻村深月]
辻村深月/講談社/お薦め度 ★★★★
直木賞ノミネート作
母親を刺殺?逃走したと思われるチエミ。幼なじみのフリーライターみずほがチエミ探しの旅に出る。ミステリーっぽい設定だが・・・
チエミは地元に残り、みずほは地元を飛び出した。合コンを通じた幼なじみたちとの微妙な女関係。嫉妬、コンプレックス、格差、対立だったりが複雑に絡み合う。
チエミの親子関係はべったりしたもの、一方、みずきの親子関係は厳しい躾を介したもの。チエミの母親にみずきは好意を持ち、みずきの母親にチエミは憧れを感じていた。
第一章はみずほの視点、第二章はチエミの視点で物語は展開、チエミ事件の真相が明らかになる。最後にほっとする部分が救い!?
表題の番号?は母親の気持ち。
鍵のない夢を見る [book] [辻村深月]
辻村深月/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆
直木賞受賞作
江戸川乱歩賞の選者のひとり。本年度受賞作「道徳の時間」を一番押した張本人。
五人の女主人公の心の奥底を「覗き見る」短編集。盗み癖のある母親のDNAを引継ぐ娘、婚期を逃した女のプライド、育児ノイローゼの主婦・・・
若手作家で短編の名手というと、男性では米澤穂信、飴村行、長岡弘樹・・・何人か名前があがりますが、女性となると思い当たりません。著者は短編の名手ですね!
物語の紡ぎ方が実に巧い。何冊か読んでみたくなった作家です。