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ノースライト [book] [横山秀夫]

sample1.jpg横山秀夫/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

六年振りの新刊

一級建築士の青瀬が設計、「平成すまい200選」にも選ばれた家、そのお陰で小さな設計事務所にも問い合わせが入るようになった。そのうちのひとりから誰も住んでいないようですという話を聞き、信濃追分まで車を飛ばす青瀬・・・

施主の吉野夫婦からの希望はひとつ、「あなた自身が住みたい家を建ててください」、というものだった。吉野邸には誰の姿もなく、玄関のカギは壊され内部には靴跡が・・・電話機以外に家具もなく、青瀬と所長の岡嶋が目にしたのは、「タウトの椅子」?のみ。

吉野一家に何が起きたのか?吉野邸に残された「タウトの椅子」は本物なのか?青瀬の心は揺さぶられる。

その一方で所長の岡嶋は大きなコンペに食い込むため奔走する。そのことが政争の具となり事務所は窮地に陥る。

三つのストリーム、とりわけブルーノ・タウト、ドイツの建築家、都市計画家、の史実が物語に厚みをもたらしている。横山秀夫にしては趣を異にする最新刊!

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64(ロクヨン) [book] [横山秀夫]

sample1.jpg横山秀夫/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

沈黙の7年

「半落ち」で直木賞決別宣言、林真理子選考委員のクレーム、は2003年、2004年の「出口の見えない海」を最後に断筆宣言?

昭和64年、平成元年、のD県で起きた「翔子ちゃん誘拐事件」。時は流れ平成14年、誘拐事件は未解決のままお蔵入りの様相を呈していた。

長官の現場視察、被害者宅訪問がD県警の刑事部、警務部の全面戦争を引き起こす。組織のパワーゲーム、刑事部か警務部か?広報官として第三の道はないのか葛藤する三上義信。警務部にとって刑事は「前科」。三上は事件当時、身の資金受け渡しの追跡車の助手席にいた。

長官視察の真の狙いは、内部抗争の行きつく先は、誘拐事件の解決は・・・

序章から張り巡らされた伏線が一挙に解決する結末。本年度最高の警察小説、横山秀夫、健在なり!!!


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深追い [book] [横山秀夫]

横山秀夫/実業之日本社/お薦め度★★★★

表題のつけ方の上手さでは定評のある著者。その代表例はなんといっても「半落ち」。本書も上手い表題だ。

交通課事故係主任、秋葉巡査部長、32歳。交通事故で死亡した男の手帳にはさまっていたスナップ写真。そこに写っていた女、17年前秋葉が心を通わせた高田明子だった。しかも事故現場に落ちていたポケベル、ディスプレーに表示されたメッセージ、「コンヤハ オサシミ デス」

通夜。明子は死んだ夫に「コンヤハ カレー デス」とメッセージを発信し続けている。

さすが短編の名手、数ページでこれだけのプロットを作ってしまう。

明子への想いと事件の捜査、秋葉の心はゆれる。

携帯電話の陰に隠れ死滅したポケベルを小道具に、短編の名手が用意した結末とはいかに!?


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震度0 [book] [横山秀夫]

横山秀夫/朝日新聞社/お薦め度★★★★

阪神大震災と同時に起こる警察内部の地震とは?

N県警、本部長・警視長・キャリア。警務部長・警視正・キャリア。警備部長・ノンキャリア。刑事部長・ノンキャリア。生活安全部長・ノンキャリア。交通部長・ノンキャリア。

彼らが住まう幹部公舎。夫の序列をそのままひきずる妻たち。

阪神大震災発生の最中、警務課長が失踪した。N県警に激震が走る。

失踪を機に、幹部たちの利害、思惑が交錯する。単なる失踪劇を超えた己のキャリアを守らんがための戦いが始まる。いつもの横山節と趣を異にする。

ホステス殺し、四年前の選挙違反事件、交通事故のもみ消し・・・妻たちをも巻き込んだ心理戦、結末や如何に!

「震度0」の意味合いが結末で判明する。なんともすごい題名をつけたものだ。


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ルパンの消息 [book] [横山秀夫]

横山秀夫/光文社/お薦め度★★★★

横山秀夫の原点を見る一冊。15年前、新聞記者を辞めるきっかけとなった幻のデビュー作!?短編の名手とは趣を異にする一冊。相当加筆しているのだろうと推測、元原稿を読んでみたいものだ。

タレ込み電話、15年前の女教師の自殺事案は他殺、しかも教え子の男子生徒3人が犯人だと、女教師が死亡した時間帯に、その3人がなんでも「ルパン作戦」と称して深夜の学校に忍び込んでいたという、時効まで24時間・・・

時限爆弾ミステリーだが、驚愕の結末が用意されている。サービス精神のなせるわざ!?


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臨場 [book] [横山秀夫]

横山秀夫/幻冬舎/お薦め度 ★★★★☆

臨場:その場に出ること。その場に臨むこと。

倉石義男。五十二歳。『終身検視官』の異名をもつ捜査一課調査官である。体の線は槍のように細い。巡査を拝命以来、鑑識畑一筋。その眼力の鋭さは伝説化しているし、鑑識の総決算とでも言うべき死体の目利きにかけても歴代検視官の中で図抜けている。

しこりのように凝り固まった職人気質とやくざな物言いがたたり、組織の大外を歩いた時期もあったが、それも長い人生から見ればいっときのことで、警視に昇任して丸七年、初動捜査の要である検視官ポストを他に譲らない。

妥協を許さない検視官の目、組織を組織とも思わない物言い、検視官の職務と垣間見る個人の情・・・それらが縦横に絡み合う十八番(おはこ)の警察小説。

「検視」とは、検察官が、変死体または変死の疑いのある死体の状況を調べて行う処分。犯罪によるものかどうかを調べるのが主目的。一方「検屍(死)」は、<検察官が行う「検視」とは別>監察医などが、変死の疑いも考えられる死体に対して行う外表検査。その結果により、行政解剖・司法解剖が行われる。 倉石は検察官、ケイ・スカーペッタは監察医。


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看守眼 [book] [横山秀夫]

横山秀夫/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

県警機関紙の編集担当、山名悦子。「R警人二月号」は無事定年を迎える人たちの”御苦労様特集”が柱となっている。

「F署刑務課留置管理主任・近藤宮男」。彼の原稿が今だ未着となっていた。悦子は近藤の自宅を訪ねる。対応に出た妻、有紀子の口からでた言葉は「私、穴蔵刑事、って呼んでるの」。

近藤は三十八年の勤務のうち、二十九年を留置場の看守として過ごし、若い頃から一貫して刑事志望だった。一年前の「死体なき殺人事件」を捜査しているのだという。妻の言葉を借りれば「だから、穴蔵刑事が穴蔵から出てきちゃったってわけ。定年でね」。

近藤は証拠不十分で釈放された容疑者の男を追っていた。看守として長年培った「看守眼」がそうさせるのだった・・・

表題の「看守眼」がいいですね。


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影踏み [book] [横山秀夫]

横山秀夫/祥伝社/お薦め度 ★★★★☆

"ノビカベ”が捕まった-深夜、寝静まった民家を狙い現金を盗み出す「ノビ」と呼ばれる忍び込みのプロ、住所不定無職、真壁修一(32)が雁谷暑に逮捕された。取調べに対して決して口終わらない、その高く強固な「壁」を思わすしたたかさに、刑事たちから名前をもじって”ノビカベ”とあだ名されている。

二年間の服役を終え、出所した真壁が向かった先は警察署だった。窃盗罪で捕まった事件の謎を解くために。・あの日、忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた・・・"ノビ師”真壁修一の連作短編。

十五年前に双子の弟・啓二を道連れに自宅に火を放った事件がトラウマとなって全篇を覆う、”哀切ミステリー”


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クライマーズ・ハイ [book] [横山秀夫]

横山秀夫/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

1985年、8月12日に起きた日航123便、御巣鷹山墜落事故で運命を翻弄される地元新聞記者たち、著者も上毛新聞の記者だった、と主人公・悠木。

未曾有の巨大事故、初体験の全権デスク、社内の確執、親子関係・・・物語的に大きな意味をもつ同僚の元クライマー、安西との果たせぬ約束―墜落事故で衝立岩にのぞむことができなくなり、山とは関係ない歓楽街で一人倒れた安西―凝縮された時間の中で、悠木の運命は追い詰められていく。

著者の十八番、警察小説と違い、落としどころがノンフェクション的に見えてしまう。わたし的にはもっともっと警察小説を窮めてほしい。この題材だと、ついつい山崎豊子の「沈まぬ太陽」を思い出してしまう・・・


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真相 [book] [横山秀夫]

横山秀夫/双葉社/お薦め度 ★★★★☆

一つの事件が終わって後で、人の心の事件が始まる-横山秀夫

表題作「真相」を含め、五つの短編が収められている。表題作「真相」から・・・

「たった今、息子さんを殺害した犯人を逮捕しました」。十年間、待ちに待った警察からの一報。

取調べに対して、鈴木信行は殺害を否認。事件当日、佳彦から現金三千円と腕時計を脅し取ったことは認めた。佳彦が書店で万引きしたところを目撃し、それをネタに脅した、と。

「ゆうべ遅くですが、鈴木信行が全面自供しました」。犯行前、佳彦は友達と二人でいたようだ。鈴木の脅しに少年二人は別々の方向に逃げ、逃げ足の遅い佳彦が追われた。もうひとりの少年はいまだに名乗り出ていない。

ここから人の心の事件が始まる。

安定感のある筆の運び、プロット・・・風格を感じさせる一冊。


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