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ロング・プレイス、ロング・タイム [book] ['24 海外編]

sample1.jpgジリアン・マカリスター/小学館/お薦め度 ★★★★

タイムリープ・ミステリー

タイムリープ:意識のみが時空を移動する。時空を飛び越える

離婚専門の弁護士のジェン、内装業者の夫ケリー、18歳の息子トッド、平凡で幸せな生活を送っていた。10月30日の深夜、ジェンが窓越しに見たのは、息子が見知らぬ男を刺殺するところだった。

ケリーと現場に駆け付けるジェンはなすすべもなく、トッドは逮捕されてしまう。眠りについたジェン、目覚めると10月28日の朝に戻っていた。

それ以降ジェンは目覚めるたびにタイムリープしていく・・・

少しづつ事態が飲みこめてくると、何とかして息子の殺人を事前に食い止める事が出来ないかと思案する。

息子の部屋で見つけた警察手帳、行方不明の赤ん坊が載った古い張り紙、プリペイド式携帯電話が事件の鍵を握る。

どこまでタイムリープすれば息子の殺人事件を阻止できるのだろうか?

伏線回収、トッドに対する罪悪感、夫の知られざる過去・・・怒涛のタイムリープ。

タイムイリープ・ミステリー+家族愛の物語。



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ザ・メイデンズ ギリシャ悲劇の殺人 [book] ['24 海外編]

sample1.jpgアレックス・マイクリーディーズ/早川書房/お薦め度 ★★★☆

ミスリード

心理療法士のマリアナにケンブリッジ大学の学生の姪ゾーイから電話が・・・学友が殺された、と。

マリアナもケンブリッジに通っていたことから早速大学へ向かう。ゾーイから聞く被害者の生前の言動からギリシャ悲劇が専門のフォスカ教授が犯人だと確信する!?

しかし、教授にはアリバイ、教え子に講義をしていた、があったが、マリアナの見解は変わらず、関係者に話を聞くうちに次なる犠牲者、教授の取り巻き乙女<メンデンズ>のメンバー、がふたり・・・

夫を亡くして間もないマリアナの偏執的な精神状態に終始ミスリードされ、最後の最後に思ってもいなかった<ちゃぶ台返し>が待っている。わたし的には気に入らない<ちゃぶ台返し>だった。


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幾世の鈴 [book] [高田郁]

sample1.jpg高田郁/角川春樹事務所/お薦め度 ★★★★

あきない世傳 金と銀 特別巻下

四編の短編の主人公は、八代目店主・周助、菊栄、結、幸と賢輔の夫婦・・・

気がかりだった結のその後を描いた「行合の空」がわたし的にはお気に入り。

音羽屋忠兵衛は重追放と闕所を言い渡され、結も自身番に拘束され、取り調べを受けた。罪人となった夫と別れて、江戸に留まる、という道を選ばなかった。実はその時、お腹に新しい命が宿っていたのだ。

今は生まれ故郷の村とそっくりな播磨国の田舎で「千種屋」という旅籠屋を営む。忠兵衛は釣り三昧、ふたりの子供、姉は十、妹は七つ、が結の手伝いをしている。

いまだに「あのひと」のことを思い浮かべると憎しみと哀しみと惨めさが突き上げてくる。このままこんな田舎で朽ち果てるはわけにはいかぬ、と思い続けている結に再起の味方?があらわれる。

一枚だけ手元に残った型紙、結が持ちだした、を見てもらいに出かける。妹がしんどそうなと姉が引きとめるのも聞かず・・・

形紙は時代遅れで価値もなく、帰ってみれば妹は高熱を出し、姉もぐったりしている。江戸で猛威をふるった麻疹。ただじっと治まるのを待つしかない。

結の耳もとで母の声が、姉さんがいつも盾になって、あんたを守ってくれたこと。忘れるんやないで・・・

姉妹が三途の川を渡らずに戻ってくれたことで、母の想い、姉、幸、の想いに素直にむきあうことが出来たのだった。

いままでのもやもやがすっきり!


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契り橋 [book] [高田郁]

sample1.jpg高田郁/角川春樹事務所/お薦め度 ★★★★

あきない世傳 金と銀 特別巻上

シリーズ十三巻を読み終えた読者への贈り物

四編の短編、主人公は惣次、佐助、お竹、賢輔・・・

「契り橋」は九代目賢輔と七代目幸との秘めた想いの行方がメインなんだろうけど、わたし的には惣次を主人公にした「風を抱く」がお気に入り。

本編では江戸で事あるごとに幸にアドバイスを送っていた惣次の心根の変化が読みとれる。変化のもとは、家族の絆に対する激しい飢えがあったのだが、お家さんの富久、兄、弟、恋女房、幸との間に絆はとうとう築けなかった。その惣次が井筒屋二代目保晴を父に、その娘、雪乃の夫になったことで初めて心が満たされたのだった。



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暗闇のサラ [book] [カリン・スローター]

sample1.jpgカリン・スローター/ハーパーBOOKS/お薦め度 ★★★★

ウィル・トレント・シリーズ最新刊

19歳の医学生の運転する車が病院の前で救急車に衝突する。当直医のサラが治療にあたるが息を引き取る。彼女の身体には生々しい暴行の跡が残る。サラが最後に聞いた彼女の言葉は、あいつを止めて・・・

民事事件の証言台に立つサラ、被告は研修医時代の同僚を父に、先輩の産婦人科医を母にもつ男子学生。被告は刑事事件では無罪を言い渡されていた。

証言を終えたサラと被告の母がトイレで出くわし、母親が妙なことを口走る、15年前に起きたことと、サラのレイプ事件、今回の事件の被害者に起きたことは全部つながっている、と。

サラの婚約者で捜査官のウィル、ウィルのパートナー、フェイスと三人が捜査、上司の承諾を得ず、を開始する。15年前に起きたことの真相とは!?

筆の走る作家故、ついついひとつの章が長くなってしまう。その結果600頁超の大作に、もう少し強弱をつけ緊張感を持続させてくれた方が読者としてはありがたい。

結末は苦々しいけれど、唸ってしまった。



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生贄の門 [book] ['24 海外編]

sample1.jpgマネル・ロウレイロ/新潮社/お薦め度 ★★★★

スパニッシュ・ホラー

脳腫瘍で余命いくばくもない9歳の息子をかかえる治安警備隊の捜査官ラケル。医師から見放されたラケルが最後の頼みの綱は奇跡の呪術医?そのために異動を申し出、小村に移り住む・・・

事件はその小村で起こる。心臓を抉り取られた娘と作業員の遺体が発見され、転勤早々のラケルとバディを組むファンは現場に赴く。

儀式めいた殺人事件、マドリッドと違い時間がゆっくり流れる田舎、検死報告書もなかなかあがってこない。ラケルとファンは自力で捜査を続けるが、ラケルの周辺で次々とオカルト的な出来事、闇からの囁き、亡霊、長衣の人々、が発生する。

猟奇的な殺人事件がオカルト・ミステリーへ、ラストではアクション・ミステリーへと変貌、読者を飽きさせない。

本書のキー・ワードは「冥界の門」、この世と別次元の接点、黄泉の国、死者の王国。


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