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葉桜の季節に君を想うということ [book] [歌野晶午]

sample56.jpg歌野晶午/文藝春秋/お薦め度 ★★★★★ 

歌野晶午と言えば本書!

宝島社のインタビューに、「・・・この作品は、作品全体が『詐欺』みたいなもの(笑)。だから、中で扱う事件も、詐欺的なものにしたんです・・・タイトルから構成まで、騙すということをトータルで考えました。本格っぽくなく見せておいて、じつは・・・という構成になるように、エピソードを書く足していったりもしました・・・トリックがあって、そこに物語がること、それが僕に書ける小説、僕にとっての小説そのものです」

元私立探偵、現在は「なんでもやってやろう屋」の成瀬将虎が請負ったひき逃げ犯探し、近所の老人の別れた妻子探し、暴力団の潜入調査・・・すべてがドンデン返しの序曲にすぎない!?

歌野晶午のトリックに酔ってください!最後の最後に「やられた!」、と。

2004/01/05

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コメント 1

オーウェン

ガードマンをしている成瀬将虎は、フィットネスクラブ仲間でお嬢様の久高愛子から相談を持ち掛けられた。
轢き逃げ事故で亡くなった愛子の祖父が、生前、悪徳商法の食い物にされており、さらに不審な生命保険を掛けられていた事がわかったと言うのだ。
元探偵だった成瀬に、事の真相を調査して欲しいとの依頼だった。
一方、成瀬は、地下鉄の駅で飛び込み自殺をしようとした麻宮さくらという女性を助けた事から、彼女と付き合うようになった---------。

ずいぶん変わったタイトルだなと思ったのですが、最後の1ページを読んで、とても綺麗なタイトルだと感じました。

内容の方も、最初と最後ではかなり印象が変わると思います。
大胆なトリックが使われているという話は聞いていましたし、本の帯にもそれらしい事が書いてあったので、最初から注意して読んでいたのですが、こういう事だったんですね。

最初の1ページ目から完全に騙されていたんですね。本当にお見事です。

話はフリーターの成瀬が、悪徳商法の会社を調べる部分、かつて成瀬が探偵としてヤクザ組織に入り込む話、そして、悪徳商法の手先とならざるを得なかった女性、というように進んでいくのですが、ちょっと軽めのハードボイルド風。

老人を狙った悪徳商法に関する記述も詳しく、社会派風で読み応えがあります。
もし、このメインのトリックを使わなかったとしても、充分に面白い話に仕上がったのではないでしょうか。
by オーウェン (2023-11-12 21:19) 

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