いけない [book] [道尾秀介]
本格ミステリ!?
第一章、死んだのは誰?第二章、なぜ死んだの?第三章、罪は誰のもの?終章、わかった?
三つの章で起きた事件の伏線を最終章で順番に拾っていく本格ミステリ仕立て!?
それにしても第一章から三章まですべて中途半端な結末、少々フラストレーションのたまる展開、我慢に我慢を重ね終章へ。確かにはっきりしない伏線を拾っていくのだが、完璧に拾いきれていない。今村昌弘(「屍人荘の殺人」、「魔眼の匣の殺人」)の方がなんぼかいい!
評判が高かった、「王様のブランチ」、だけに少々残念・・・
月と蟹 [book] [道尾秀介]
道尾秀介/文藝春秋/お薦め度 ★★★★
直木賞候補作
明日、1月17日(月曜日)、第144回直木賞が決定します。ここ何回か候補にあがっている作者ですが、本書で受賞はマズイでしょ!?
ヤドカリを神様、ヤドカミ、に見立て不穏なお願いをする慎一と春也。
慎一は母と祖父の三人暮らし。父はがんで亡くなり、祖父は船の事故で脚をなくしていた。
その事故に巻き込まれ亡くなった同級生・鳴海の母。
父親から虐待を受けていると思われるふしのある春也。
慎一の母と鳴海の父の隠れた交際。母から女を見る慎一、鳴海も父の相手に気づく。
10歳の同級生が抱える悩み、葛藤を巧く描いてはいるが、インパクトが弱い。もっとホラー的にしてもよかったのではないか・・・
本書で明日の直木賞を獲ってはマズイでしょ
花と流れ星 [book] [道尾秀介]
道尾秀介/幻冬舎/お薦め度 ★★★★
真備庄介シリーズの連作短編集
「背の眼」、「骸の爪」の「真備霊現象探求所」の真備庄介とその助手・北見凛、ホラー作家・道尾が登場するシリーズ
なんでもない依頼が解決されるごとに冷たく、悲しいものになっていく。三人の人間関係、和やかで気心の知れた、とまったく相反する結末に。道尾ワールド全開!?
「背の眼」は日本ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作、まさにホラーサスペンス的な一冊。
球体の蛇 [book] [道尾秀介]
道尾秀介/角川書店/お薦め度 ★★★
第142回(平成21年度下半期)直木賞ノミネート作品
1月14日、残念ながら「桜散る」!?
主人公の友彦、両親の離婚により隣家の居候となる。家主の乙太郎、娘のナオとの三人暮らし、高校に通いながら、たまに乙太郎の仕事、シロアリ駆除、を手伝う。
友彦が思いを寄せていたナオの姉、サヨ、はキャンプ中に火災が原因で亡くなった。
シロアリ駆除の仕事でサヨに似た女に出合う友彦、夜な夜な女の住む家の床下に潜り込み、家主と女の会話を盗み聞く。
友彦、ナオ、サヨに似た女の正三角形な関係が、サヨの死をめぐる思いこみや嘘で、歪な三角形にかわっていく。
読者としてはもっと捻りを期待していたのに残念・・・
龍神の雨 [book] [道尾秀介]
道尾秀介/新潮社/お薦め度 ★★★★
うまいのひと言!
ノリにのっている若手作家のひとり。なかなか筆が早いようで、前作「鬼の蛩音」の刊行は本年1月。
二組の家族、兄妹、兄弟、を台風が襲う。
義父を殺そうとする兄、義父を殺し床下に隠したという妹。
義母を無視する兄、実母を殺してしまったと自責の念を抱く弟。
似たもの同士、二組の家族、兄妹、兄弟、がいつしか交わり起こる慟哭。
うまいのひと言、表題もいい、本年度ベスト10入り間違いなしの一冊。
鬼の跫音 [book] [道尾秀介]
道尾秀介/角川書店/お薦め度 ★★★★
初の短篇集
最近、評価の高い若手作家のひとり
ミステリーというよりホラーかな!? 短篇だと「やりたい放題できる」。作者の言葉が印象的。
「やりたい放題」さが十分に出ている作品の数々を堪能してください。コストパフォーマンスの高い一冊です。
書評が短いからといって決して侮ってはいけませんよ!!!
ラットマン [book] [道尾秀介]
最近注目を浴びる新鋭!?
最近評価の高い新進気鋭!?わたしは初めて手にしました。
結成14年のアマチュアロックバンド、ドラムが姉の「ひかる」から妹の「桂」にかわったが現在も年2回のライブを続けている。
練習中のスタジオで不可解な事件、スタジオで働いてる「ひかり」がアンプの下敷きになって死んでいるのが発見される。
メンバー、姫川亮、竹内耕太、谷尾瑛士、それに「ひかり」、「桂」、の浮かびあがる過去、現在、そして未来へのそれぞれの思い。
何冊か手にしてみたいと思わせる新鋭です。