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霜月記 [book] [砂原浩太朗]

砂原浩太朗/KADOKAWA/お薦め度 ★★★★

sample1.jpg神山旛シリーズ第三弾

父、籐右衛門、がにわかに致仕し、行き方知れずとなった。嫡子総次郎の家督およびお役目相続の儀が赦された。草壁家は代々町奉行が家職、祖父の左太夫も十年ほど前まで町奉行をつとめ、名判官と評判を得たひとなのだ。

総次郎は御歳十八、左太夫は遊里の料亭<賢木>の離れで隠居暮らし!?

若輩ながら家職を継いだ総次郎、なにくれなく左太夫を訪ね、教えを乞うていた。

事件はその遊里で起こる。身なりからして商家の者と思われる斬殺死体、素姓を明し立てるようなものは身につけていなかった。ただ、藤の模様を刻んだ根付、父の物と思われる、が死体のそばに・・・

総次郎はお役目として、左太夫は孫の後方支援として、共にこの事件を追う。

ふたりの行きつく先と籐右衛門の行方は如何に?

本書のサブストリーは親子でありながら、親は子を知らない、子は親を知らない。お互いが背中だけを見て生きてきた、育ってきたという絆がはたしてどうであったか、という問い。その答えは映像のようなラストに・・・



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悪い男 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

エーレンデュル捜査官・シリーズ第七弾

シリーズ第七弾だが、主人公のエーレンデュルは2週間の休暇中でしかも行方不明?

本書の主人公はエーレンデュレの同僚エリンボルク。

事件はレイキャヴィクのアパートの一室で若い男の死体、喉を掻き切られた、が発見された。男はレイプドラッグを所持し、サンフランシスコの文字のある女物のTシャツを着、大量の血液と一緒にコンドームも・・・

男はバーで知り合った女の飲み物にレイプドラッグを混入させ、レイプしていた常習者!?被害者による復讐!?

男の部屋に残された被害者のものと思われるスカーフ、そこにはインド料理に使われる香辛料の香りが・・・

今回の主人公エリンボルクは養子を含め4人の子供を持ち、二番目の夫は自動車修理工場を営む。一番上の養子は既に家を出、長男は反抗期エリンボルクと悉く反目する。二男も長男を見習いってる。唯一長女がエリンボルクの味方。

そんなプライベートを抱えながら、夫の協力を得、八面六臂の活躍を見せるエリンボルクにあっぱれ!

重層する伏線を回収するエリンボルクに頁をめくる手がとまらない。



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夜明けを探す少女は [book] ['24 海外編]

sample1.jpgジュリアナ・グッドマン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

エドガー賞YA部門最終候補作

シカゴの高校に通う黒人の少女、16歳のボー、幼い頃から慕っていた6歳上の姉、カティア、が不法侵入の疑いで白人警官に射殺され命を失った。

姉の無実を信じるボーは現場からいなくなったカティアの恋人、ジョーダン、の行方を捜し始める。

ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)運動が下敷きにあるのだが、そのことが中心ではない。美術の授業での出来事、数少ない友人との会話、在りし日の姉との会話・・・から黒人社会、学園生活を描き出している。

とりわけ、絵の才能のあるボーの美術クラスの壁画コンペが大きなサブストリーになっている。

個人的にはもう少しミステリー色が強くてもいいと思うが、魅力的な一冊。



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スリー・カード・マーダー [book] ['24 海外編]

sample1.jpgJ・L・ブラックハースト/東京創元社/お薦め度 ★★★☆

シリーズ第一弾!?

警部補の姉、テス・フォックス、異母妹の詐欺師、セアラ・ジェイコブズが密室殺人に挑む!?

何とも魅力的な設定だが・・・

被害者は空から降って来た?喉を掻き切られ、5階のフラットから落下?しかも、玄関ドアは内側から板と釘で封じられていた。犯人は部屋をどうやって後にしたのか?

被害者を知るテス、どうしても明るみに出すことができない事件の関係者ということは妹から話を聞かなければならない。袂をわかった姉妹、15年ぶりの再会、かみ合わない会話・・・

思わぬ展開が待っているのだが、最後の最後で次作へ続くとなる。最初に言ってよ!



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父がしたこと [book[ [青山文平]

sample1.jpg青山文平/KADOKAWA/お薦め度 ★★★★

医療時代小説

目付、永井重彰は父、元重、小納戸頭取、に向坂清庵先生、在村医、から何か聞いておらぬかと尋ねられた。

聡明な藩主が若い頃から病んでいた痔ろうを居並ぶ漢方の旛医を差し置いて蘭方外科のメスを受けられると、しかも全身麻酔で・・・

向坂清庵は重彰にとっては息子の命を救ってくれた大恩人。

漢学と蘭学がせめぎ合うなか藩主の決断に元重は一計を案じる。手術は内聞に行い、江戸から名医を呼んだことにし、執刀は清庵、付添は元重、重彰が行う、と。

手術は成功、術後の経過も良く一安心のなか、元重が隠居を願い出、重彰が跡を継ぐ。そんな折り事件は起こる。清庵が薬草採取に出かけた山中で行方不明に・・・

事件の結末は、武士が護るべきは主君か家族か。青山文平は種明かしはしてくれなかったけれど、これが事件の鍵を握るとしか思えない。藩主が重彰に語る。「いま藩主である余が考えていることは二つ、一つは、己れの性癖をせいぜい民の安寧な暮らしに寄与するように律することである。もう一つは、言わん」。



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