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サンドリーヌ裁判 [book] [トマス・H・クック]

sample5.jpgトマス・H・クック/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

リーガル・サスペンス!?

同じ大学で教鞭をとるサムとサンドリーヌ、妻の殺害容疑で起訴され裁判にかけられる夫。検察側は毒殺、被告側は自殺を主張。

書物や書き物が床に散乱、ローソクが灯されたベッドルームでサンドリーヌの死体を発見するサム。

裁判とシンクロする形でサムが事件について、妻について・・・語る構図なので、手に汗握る法廷劇ではない。トマス流の淡々とした運び。

サンドリーヌとの出会い、地中海旅行、妻の病気、不倫・・・心証はサムにとって悪いものばかり、しかし確固たる証拠がない。

サムとサンドリーヌの間に横たわる不可解な「溝」を描いたサスペンス。

トマス・H・クックらしい結末!?ジェフリー・ディーヴァーなら大ドンデン返しが待っているはず・・・


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ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密 [book] [トマス・H・クック]

sample5.jpgトマス・H・クック/早川書房/お薦め度 ★★★★

スパイ小説!?

ノンフィクション作家、ジュリアン・ウェルズ、の突然の自殺、友人であり文芸評論家のフィリップはその死を訝る。なぜ死を選んだのか・・・

残された手掛かりはふたつ、ひとつは印のついたブエノスアイレスの地図、もう一つは処女作に記されたフィリップへの献辞、「おのれの罪から逃れようと暗闇で苦しみもがいていたのである」。

フィリップの旅が始まる。パリ、ロンドン、ブタペスト・・・ブエノスアイレス。

学生時代にふたりで旅したブエノスアイレスで、ガイドを務めてくれたマリソルが行き方知れずになり、ジュリアンがマリソルの行方を追っていたことを知る。

途中からジュリアンの妹も加わり、最終地と思しきブエノスアイリスへ向かうふたり。

捻りはあまり期待せず、クック・ワールドに浸ってください。原題「The Crime of Julian Wells」の「Crime」がキーワード!?


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キャサリン・カーの終わりなき旅 [book] [トマス・H・クック]

sample5.jpgトマス・H・クック/早川書房/お薦め度 ★★★★

趣を異にする作品!?

確かにクック・ワールド的ではあるが、ミステリー的ではないし・・・

息子を殺された、未解決事件、新聞記者・ジョージはひょんなことから、失踪人捜査課の元刑事から、20年前に謎めいた小説と詩を残し、失踪した小説家・キャサリン・カーの話を聞く。

記事にしようとした少女・アリス、余命いくばくもない早老症、と一緒にキャサリンの行方を追うことになる。

キャサリンの小説とジョージの捜索が交互に語られ、病室でふたりが情報をシェア、推理をしていく手法はクック・ワールドなのだが、キャサリンの行方がわかるわけではないし、息子を殺した犯人が判明するわけでもない不思議な物語!?

ナックルカーブのような作品?読み手が判断してくださいということですね。


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ローラ・フェイとの最後の会話 [book] [トマス・H・クック]

 sample1.jpgトマス・H・クック/早川書房/お薦め度 ★★★★

待望の最新刊!

歴史学者・ルーク、講演先で自分の人生を捻じ曲げられた?ローラ・フェイと20年ぶりに再会する。偶然なのか意図されたことなのか?

ホテルのラウンジで酒を酌み交わすルークとローラ。現在と過去が交差するなか、過去の悲劇が紐解かれていく。

過去の悲劇とはローラの元夫による父親の射殺事件、その発端をつくったのはローラだと信じているルーク。ふたりの会話の中からどんな真実が語られるのだろうか・・・

最小限の登場人物、ルークとローラの会話を中心に現在と過去が語られ、絡み合った糸が一本一本紐解かれていく様はさすが巧いが、結末がらしくない。新境地といわれればそうかもしれないが、もっとドスンと落ちてほしかった。

みなさんはどうですか?


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沼地の記憶 [book] [トマス・H・クック]

sample1.jpgトマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

<記憶シリーズ>最新刊

クック十八番の現在と過去が行き来する「遠近法」と「マイナーな調べ」、クック・ワールド全開の一冊

教え子のひとり、エディ、が女子高校生殺害で逮捕され、拘留中に殺された父を持つことを知る、わたし。

「悪人」について書くことを授業の課題とするわたし。エディが選んだのは自分の父。わたしはエディに協力しながら事件の調査をはじめる。それが悲劇の結末を迎えることも知らずに・・・

淡々とした語り口が悲しさを増幅させるクック・ワールド。


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石のささやき [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度 ★★★★ 

なかなか批評しずらい作品!?

妄想型の失調症だった父と姉とわたしの過去の家族の話。わたしの家族の話。息子を亡くした姉の家族の話。

息子を亡くした姉は父と同じような行動をとるようになる。わたしの娘に姉が近づき、娘をどこかに導こうとする。娘もそれに応えようとする。

その一方で、刑事を前に事のてん末を語る自分が存在する。

クックの小説によくみられる過去と現在が交互に語られる、せつなく痛ましい悲劇と事のてん末。すべてがトマス・H・クックと言っていいが、重々しすぎるかもしれない!?


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緋色の迷宮 [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度★★★★

2006年 MWA賞最優秀長篇賞ノミネート作品

「家族写真はいつでも嘘をつく」

片田舎で、苦労の末、小さな写真店を営む、エリック・ムーア。少女誘拐事件で自分の息子に嫌疑がかかる。それをきっかけに平穏な日常生活が崩れていく。

息子との会話もないままに過ごしてきた時間、自分は本当に息子のことを知っているのか、疑惑は次第に大きくなっていく。

息子への疑惑と同時に、自分の家族の過去にも隠された秘密があるのではとないかと疑いはじめるムーア。なにが嘘で、なにが真実なのか!?

「家族写真はいつでも嘘をつく」が不気味な音をたてる。淡々した、トマス・H・クック的な「クライム・ノベル」


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闇に問いかける男 [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度★★★★

被疑者の口を割らせるための時間は11時間。ニューヨーク市警のベテランコンビ、ノーマンとジャックは取り調べ室へ向かう。1950年代を舞台に、淡々として語り口で時間はカウント・ダウンされていく。

わたし的には未読だが、クックは私立探偵を主人公にしたシリーズを書いている。それとダブルのかと思えばそうでもないようだ。新境地といった感のある作品!?

ふたりの刑事、ノーマンとジャックの人物描写と1950年という時代設定がひとつのポイントをなしている。

1950年代と言えば、戦後復興の中でアメリカが一番輝き始めた時代。そんな時代とくたびれた、挫折した、エリートでない・・・そんな人々を対照させ、空虚な心の在りどころを描きながら、結末のドンデン返しを用意した本書。

クックの新境地なのか!?


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神の街の殺人 [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度★★★

現時点ではトマス・H・クックの最新刊。1983年執筆の・・・「記憶シリーズ」で確固たる地位を確立した著者。本書はデビュー三作目。

ソルトレークシティ。モルモン教徒にとっては「天国にもっとも近い場所」。そんな聖地?で繰り広げられる連続殺人事件。

事件を担当するのは、十年前にニューヨークから流れついたモルモン教徒ではない殺人課刑事・トムとソルトレーク生え抜きのモルモン教徒の青年刑事・カール。

事件の発端は黒人娼婦殺しだった。死体はきれいに拭かれベッドに寝かされていた。誰が娼婦を呼び出し殺したのか。

この事件をきっかけに、雑誌記者、モルモン教会公報課スポークスマン、ブリガム・ヤング大学生・・次々と事件に巻き込まれていく。

真っ白で清潔な都市、ソルトレーク。アルコールやタバコはもちろん、カフェイン入りの飲み物すら口にしないモルモン教徒。神の街に似つかわない猟奇的連続殺人事件は更に謎を深めていく。

記憶シリーズの第一弾、「死の記憶」が執筆されたのが1993年。本書の十年後。現在のクックの片りんが見え隠れする作品!?あなたはどう思いますか?


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心の砕ける音 [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度★★★★

父親似の兄・キャル。母親似の弟・ビリー。兄は検察官に、弟は新聞社を継ぐ。現実主義者の兄、ロマンチストの弟。そんな二人の前に美しいが、寡黙で、陰のあるドーラがあらわれる。

やがて、ドーラはビリーの新聞社で働くようになる。たちまちビリーはドーラにこころ奪われて行く。一方、兄のキャルはそんな弟を心配し、ドーラの周辺を探りはじめる。

ドーラの呪われた過去、ある殺人事件の生き証人、ドーラと生き証人の背中にある無数の傷あと、ビリーの交通事故、新聞社の帳簿操作、ビリーとドーラ、キャルとドーラ・・・複雑に絡み合う何本もの糸。

突然、ドーラが街を去る。その後に残されたビリーの死体。ドーラの跡を追うキャル。ついにドーラの生まれ故郷までたどりつく。そこで待つクライマックスとは・・・

クックの小説は文庫本で400ページ前後。読者にとってはちょうどいいページ数。淡々とした語り口が我々を魅了する。この淡々としたというところがわたし的にはキーワードです。確かな語り口に信頼感が生まれます。クックの作品にハズレがないのはこういうことに起因するのではないでしょうか。

最近のページ数を競うがさつな小説とは一線を画す、クックの魅力たっぷりの一冊。手にとって損はありません。


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