ノックス・マシン [book] [法月綸太郎]
法月綸太郎/角川書店/お薦め度 ★★★★
「このミス・・・」、2014年版国内編No.1
四編収録されているが、表題のノックス・マシンと論理蒸発ーノックス・マシン2を連作ととらえると三編。
わたし的には「引き立て役倶楽部の陰謀」が面白かった。ワトソン役、引き立て役、の面々が集まり、策謀を凝らす。策謀を凝らす相手はアガサ・クリスティ・・・
著者曰く「名探偵たちの資料を調べていると面白い話が出てきて、それらを書くことが楽しかった」と。
また、マニアが内輪で喜ぶような内容だし、胸を張って「さあ皆さん面白いですよ!」とアピールするのは気が引けるところもあります、とも語っています。
著者本人が楽しく、それがNo.1なら、最高じゃないですか!わたしも結構愉しめました!
一の悲劇 [book] [法月綸太郎]
法月綸太郎/祥伝社/お薦め度 ★★★★
「売れてる本」で紹介の一冊
朝日新聞「売れてる本」で最近紹介の一冊。このコラムには結構騙されて?いるのだが、ついつい手にしてしまう。
事件は誤認誘拐。中堅広告代理店に勤める山倉史郎、妻・和美は専務の娘。ひとり息子・隆史は妻の亡き妹の子。妻の入院時に親しくしていた看護師の息子が隆史と間違えられて誘拐される。その少年は史郎と看護師の間に生まれた子ども。
身代金受け渡しに失敗、少年は死体で発見される。
妻の妹の夫が怪しいと睨んだ史郎は単独調査にあたるが、鉄壁のアリバイを崩すことができない。アリバイ崩しに男の部屋に忍びこむ。そこで奇妙な原稿を発見するが、殴られ気絶、その間に男は殺され、部屋は密室状態にされた。
警視の息子で名探偵?法月綸太郎が現れ、事件を解決する。いつものパターンへ。
「めくるめく、どんでん返し!」と帯にあるが、「めくるめくミスリードを書き連ね」と言った方がいいのかもしれない。著者、弱冠26歳の作品、まだ青いリンゴの感はいなめない。著者の代表作「生首に聞いてみろ」が生まれるまで後13年。
また、今回も朝日新聞に騙された!?
キングを探せ [book] [法月綸太郎]
法月綸太郎/講談社/お薦め度 ★★★★
本格ミステリー
「2013本格・ミステリベスト10」、第一位!
島田荘司氏いわく「本格ミステリーとは、魅力的な謎が、後段で解決がなされる。幻想的、神秘的な現象が主題で頭、背骨は推理、尾は解決。推理が一定量あり、論理性がポイント」
四人による交換殺人。推理は法月警視と息子の綸太郎。推理の根拠はカードとアリバイ・・・
謎の大きさ、驚きの大きさ、展開の前人未到性が優れているかというと「?」、なんで第一位なのでしょか!?
生首に聞いてみろ [book] [法月綸太郎]
法月綸太郎/角川書店/お薦め度 ★★★★★
宝島社、「このミス・・・」が選んだ本年度No.1作品。名探偵・法月(のりづき)綸太郎(「にんべん」でなく「いとへん」の綸)作、演出、主演の長篇本格ミステリー。本格ミステリーの名に恥じない出来ばえ!?
友人の写真展で彫刻家・川島伊作の娘・江知佳と偶然知り合う。伊作は娘をモデルにした石膏直取りの新作を発表予定にしていた。伊作がアトリエで倒れたとの一報で江知佳は会場を後にする。
まもなく伊作は息を引き取る。アトリエから首が切り取られた石膏像が発見される。江知佳に対する予告殺人なのか?
伊作の弟・川島敦志。伊作の元妻であり、江知佳の母親・律子。その夫・各務。事故死した律子の妹・・・伊作を中心とする男と女の憎悪、江知佳の失踪、送りつけられる頭部・・・事件は混迷を極める。乗りかかった船?名探偵・法月綸太郎の捜査の行方は・・・ 十分に愉しんでいただける一冊!