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すり替えられた誘拐 [book] [D・M・ディヴァイン]

sample1.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

最後の未訳小説

資産家の父を持つバーバラ・レッチワース、問題をすべて親の金で解決、今の交際相手はギリシャ語の助講師マイケル・デントン、そんな彼女が何者かに襲撃される。

頭にコブを作っただけで終わったが、良からぬ噂が飛び込んでくる・・・誘拐がくわだてられている、と。

学生たちが主催する集会の最中、計画、誘拐と救出劇というスリル満点のクライマックスが用意された、は実行される。

しかし、夜陰に乗じて、虚言誘拐は本物の誘拐にすり替わった。

思いもよらぬ展開を迎えた誘拐事件がついに殺人事件へと繋がる。

最後の未訳長編、安定感は相変わらず、ファンにとってはたまらない一冊だ!



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運命の証人 [book] [D・M・ディヴァイン]

sample1.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

1968年の作品

物語は法廷場面から始まる。事務弁護士で被告人のジョン・ブレスコットは他人事のように裁判の成り行きを見守っている。二件の殺人罪で裁かれているのに・・・

事件の発端は六年前にさかのぼる。ブレスコットの友人ピーターの恋人、ノラに出会い、虜になったことから始まる。ピーターとノラは婚約したものの、心配事?を抱えているように見えるピーターが首つり自殺をする。警察の下した結論は自殺。

事件後、ブレスコットとノラは結婚する。その5年後、もうひとつの殺人事件の被害者が明らかになる。これにはびっくり!

物語はやっと現在の裁判に追いつく。一件目はピーターは自殺ではなくブレスコットに殺されたのだ、と。更に二件目は殺人現場に居合わせたブレスコット、一件目より黒の確証が強い。

原題はThe sleeping tiger、ブレスコットのことを指している。ある女性のひとことで眠れる獅子、日本語で言えば、ブレスコットが目を覚ます。終章はブレスコットの逆襲。

安定感抜群のD・M・ディヴァイン、充分愉しまさせていただきました。


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紙片は告発する [book] [D・M・ディヴァイン]

sample1.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

Who done it ?

ルースは町政庁舎のタイピスト、町議会議員の娘であるにもかかわらず、周囲から軽んじられている。そんな彼女が町書記官の部屋で奇妙なメモを見つけ、それを警察に知らせると周りに吹聴する。

その夜、ルースは何者かに殺される・・・

今回の探偵役は副書記官のジェニファー、メモの見つかった部屋の主と不倫関係。

関係者に事情を聞いて回るジェニファーのもとに一通の脅迫状が届く、不倫関係をばらす、と。

その上、不倫相手が逮捕され窮地に立たされるジェニファー、上司との関係を知られることを覚悟の上、調査を続行する。

町長選をめぐる多数派工作、公共事業の不正入札だったり、周りの状況はドロドロ、ステークホルダー、収入役、長老議員、3名の副書記官、建設会社社長、の思惑がそれらに絡む。

犯人は誰?相変わらず愉しめる一冊です。


そして医師も死す [book] [D・M・ディヴァイン]

sample1.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

正統派のWho done it?

アランの元共同経営者、ヘンダ―ソン医師の死は事故死と判断されていたが、市長のひと言でアランは素人探偵と化す。

ヘンダーソン医師の死で得をするのは、アランと若き未亡人エリザベス。犯人は主人公のアランではないし、エリザベスも誰かに狙われた、と。

ガス自殺に見せかけた犯行。犯行現場にいることが出来た人物、犯行現場に入る手段を持つ人物、アリバイのない人物・・・ミスディレクションのなせる罠!?

犯人は6人から3人に絞り込まれる。Who done it?

非常にフェア、ロジックのしっかりした、な正統派ミステリー。事件解決後、アランが婚約者ジョアン、エリザベスに下す結論は物語をより印象深いものにしている。


悪魔はすぐそこに [book] [D・M・ディヴァイン]

sample1.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

1966年の作品

1961~1980年の間に13作の本格ミステリーを発表。

数学科講師・ピーターは亡き父の友人・ハクストン教授が横領の疑いで審問にかけられ、失職の恐れがあることを知る。8年前大学を二分した亡父の事件、女学生が妊娠、堕胎に失敗、命を落とし、その父親が亡くなった父だという、について爆弾発言があることを告げた夜、ガス自殺?を図る。

死体の発見者はピーターの婚約者、ルシール、の同居人で大学の事務局員、カレン。ピーターも自殺前にハクストン教授を訪ねていたので、警察の事情聴取を受ける。

そうこうするうち、図書館で男子学生が殺害される。警察はルシールに疑いの目を向ける。ルシールが8年前の被害者の妹だったことで。

法学部長のラウドン、以前恋仲だったカレン、今はラウドンに心を寄せる、の力を借り、ルシールの疑惑を晴らそうとするが・・・

8年前の事件解明がすべての鍵を握り、意外な結末が待っている!


災厄の紳士 [book] [D・M・ディヴァイン]

sample2.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

遅れてきた邦訳、第三弾

「悪魔はすぐそこに」、「ウォリス家の殺人」に続く邦訳。1971年の作品

女を手玉にとって金を稼ぐジゴロ、それを生業にするネヴィル。今回の標的はヴァランス家の次女、アルマ。父は著名な作家。

まんまとアルマを誑し込み、ヴァランス家に乗り込むネヴィル。

アルマの父から金を出させることに成功するが、忽然と姿をくらますネヴィル、事件は思わぬ方向へ向かうことに・・・

周りを取り囲む配役がいいですね。事件の真相を追う姉、アルマの元婚約者、掛かりつけの医師、今は仲たがいしている元友人の妻・・・ネヴィルひとりで出来ることではない。事件の首謀者はいったい誰なのか、謎が謎を生む。

古さを感じさせない秀作!?


ウォリス家の殺人 [book] [D・M・ディヴァイン]

sample6.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★ 

前作「悪魔はすぐそこに」は◎

前作同様に、主人公は大学講師、歴史学者、が事件に巻き込まれる物語。

作家で主人公の幼馴染の邸宅に招かれたモーリス、幼馴染のジョフリーの憔悴ぶりに驚く。妻と娘のたっての願いで館で休暇を過ごすことを決心する。

すべてを解決すると言い残し兄を訪ねたジョフリーが死体となった発見されるや、モーリスは事件の渦中に。

しゃかりきに事件を解決するのではなく、ゆっくり田舎で休暇を過ごすなかで、事件関係者になってしまったという流れが本小説の特徴!?ジョフリーの家族、娘の婚約者、秘書、出版社社長、スコットランドヤードの刑事配し、物語は進む。

科学捜査があるわけでもなし、クラシックな探偵小説、まったりした空気が心地いい一冊!?


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