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このやさしき大地 [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample1.jpgウィリアム・K・クルーガー/早川書房/お薦め度 ★★★★

冒険小説

リンカーン・インディアン教護院、インディアンの子供たちが集団生活を送る施設、のなかの唯一の白人兄弟、孤児、のアルバートとオディ、生意気な?オディは<黒い魔女>と言われる院長に目をつけられていた。

ある日、横暴な管理人に呼び出され、あやうく殺されそうになったオディアは管理人を殺してしまう。兄のアルバート、スー族の口のきけないモーズ、竜巻きで母親を亡くしたばかりのエミーと共に教護院から脱走を図る。

四人は川を下り、セントポール、オディアのあばが住むという、に行くため、ミシシッピ川を目指しカヌーをこぎ出す。

行く先々で様々な人々との出会い。別れを通じ、少年の成長していく様を描いた冒険小説。

少々ベタのところもある冒険小説だが、時代が1932年ということなので許そう!?しかもリンカーン、リンカン、を訪れたことがある小生にとっては親近感を覚える物語でもある。


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ありふれた祈り [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample5.jpgウィリアム・K・クルーガー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

MWA賞最優秀長篇賞受賞作

怒りと縁を切る覚悟が出来ている牧師の父、芸術家タイプの母、音楽の才能に恵まれた姉、吃音だがクールな弟、そして13歳の私、フランクのひと夏。

1961年、ミネソタの田舎街。その夏は鉄道事故として処理された少年の死から始まった・・・それに続き見知らぬ男の死体を同級生の大叔父、インディアン、が発見する。小さな街に広がる人々の憶測。

牧師一家を取り巻く小さなコミュニティ、それぞれの人間関係、母の元婚約者で姉の音楽教師、一家のサポーター役の雑役係・・・が丹念に描かれていく。

事件は更に続く。姉のアリエルが川で死体で発見され、検視の結果、妊娠していたことが判明。恋人が最重要参考人となるが確たる証拠は見つからない。事件をきっかけに壊れていく母・・・

そんな中、兄と弟、ふたりが垣間見る、のぞき見る大人の世界は13歳の少年と弟にとっては濃密な、人生を変えたものだった。

切ない結末が待っているが、それを救ってくれたのは40年後の後日談。来年度のベストミステリー間違いなしの秀作!


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血の咆哮 [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample1.jpgウィリアム・K・クルーガー/講談社/お薦め度 ★★★★

コーク・オコーナー・シリーズ第七弾

ミネソタ州の郡保安官の職を辞し、<サムの店>を営むコーク、シーズンオフのために私立探偵のライセンスを取得した。そんな折、心臓病で倒れた老うらない師メルーから奇妙な依頼を受ける。

奇妙な依頼とは息子を捜して欲しい。どこにいるのか、名前はわからない、母親の名前はマリア、73年前の話だと。息子に会ったことはない、幻視で合っただけ・・・

カナダ、オンタリオから始めたらいいという答えに、コークはメルーの依頼を引き受ける。

本書の特筆すべき点は、メルーとマリアの波瀾に満ちた人生にページの半分以上が割かれていること。

コーク一家の家族愛、コークとメルーの親子に近い人間関係、メルーの子どもと思われる人物の家族関係・・・心温まる愛と憎しみが交錯する現代版西部劇!?


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凍りつく心臓 [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample242.JPGウィリアム・K・クルーガー/講談社/お薦め度 ★★★★☆

クリント・イーストウッド監督・主演

元保安官のコーク・オコナー、本書の主人公、は弁護士の妻・ジョーから離婚話を切り出される一方、ひそかに愛人・モローのもとへ通う。何とか子供たちとやり直せないかと、独り善がりで身勝手な考えをめぐらす。

そんな折、雪嵐の中新聞配達に出た少年が行方不明となる。最後の配達先と見られる判事宅で、老判事の死体が発見される。少年の母親から助けを求められたコークは、現職の保安官を差し置いて事件に首を突っ込んでいく。

ラストシーンでコークがジョーに向って、「これから、正義が始まるんだ」

・・・「何がばかなのか教えてやろう、ジョー。法律がなんでも面倒をみてくれると思うこと、法律がすべてだと思うことだ。そこをどけ、ジョー」

1970年代の高倉健を彷彿させる安っぽい台詞?かもしれないが主人公の心情をよくあらわしている。ここに共感したクリント・イーストウッドが監督・主演で名のりを上げたのではないか・・・

私生活ではインデアンの血を引く、身勝手な、家族愛にうえた、女には優柔不断な、ダメ主人公。

その反面、西部開拓史魂、古き、強いアメリカを象徴する主人公。まさにこのコントラストがたまらない。

最新刊「血の咆哮」が先月刊行されている。本書はちょっと古いが2001年の既刊。


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希望の記憶 [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample3.jpgウィリアム・K・クルーガー/講談社/お薦め度 ★★★★☆

「闇の記憶」の続編

前作「闇の記憶」では掟破り、事件が中途半端なまま終わる、を実践した著者、その結末とは!?

保安官・コークの首に懸賞金、逃走中に脚を撃たれ重傷を負う。行くついた先は従姉妹の獣医・ジュエルのところ。

警察官に夫を殺され、ひとり息子・レンと住むジュエル、そこで起こる殺人事件。レンの友達・チャーリーの父親が撲殺される。それに続く少女の水死体、さらに自動車事故に巻き込まれるレンの友人・・・

身動きできないコークに代わって強力な助っ人・ダイナ、前作にも登場、があらわれる。レン、チャーリーが繰り広げる無謀な行動を大人たちが見守り、アドバイスをする展開。物語が進むうちに子供たちが成長していく姿が清々しい。

前作の決着はまたまた次作へ続くと思いきや、最後の20ページでそれなりの決着がついたのでひと安心、。本書の存在意義はありました。


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闇の記憶 [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample2.jpgウィリアム・K・クルーガー/講談社/お薦め度 ★★★★

アンソニー賞最優秀長篇賞受賞作

「えっ、こんなのあり!?」、今年12月に刊行予定の続編でコーク保安官の周りで起きた事件が明らかにされる。

事件現場で何者かに狙撃されるコーク、その弾丸は同僚に重傷を負わす。それに続き、妻・ジョー、弁護士、の依頼人の猟奇的な殺人事件が起こる。その依頼人は裕福なお金持ちの次男坊、父親と兄が捜査協力の名目でセキュリティ・コンサルタントを加わらせる。ミネソタ州の小さな町ゆえの苦肉の策・・・

被害者の兄と妻・ジョーとの意外な関係、遅々として進まぬ捜査、どうなるのだろうと思っていると、ラスト100頁で事件が動き始める。さあ、結末はと期待していると何とも掟破りなことになってしまう。なんて言ったらいいのでしょうか?

C.J.ボックス/MWA賞受賞作家の猟区管理官ジョー・ビケット・シリーズを彷彿させる、美しい自然と家族愛に溢れたシリーズ、一冊!


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