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風葬 [book] [桜木紫乃]

sample1.jpg桜木紫乃/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

桜木ワールド

釧路で母から引き継いだ書道教室を営む篠塚夏樹、認知症を患う母から発せられた「涙香岬」、それは地図には載っていない地名だった。

そんな折、新聞の短歌にその地名を見つけ、作者を訪ねる夏樹。

作者は元教師の沢井徳一、夏樹に会った瞬間、忘れられない教え子の姿が甦る。

父親を知らない夏樹の父親探しと、沢井の教え子探しがいつしか交わることになる。

相変わらず、いい意味での、の桜木ワールド、それにしても書道家がお好きなのか?「無垢の領域」にも書道家が・・・


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無垢の領域 [book] [桜木紫乃]

sample1.jpg桜木紫乃/新潮社/お薦め度 ★★★★

心理サスペンス!?

表題の「無垢」とは、図書館長の林原の妹、純香を指す。25歳の年齢にそぐわない、疑うこと、嘘をつくことを知らない、大人子供!?

純粋無垢な純香の出現、祖母の死で初めて妹と一緒に住む、が兄、書道家の秋津、秋津の妻であり養護教諭の玲子の隠れた欲望を引き出す。

林原は幼なじみの恋人との関係にケリをつけようとする一方、純香と通じて知り合った玲子に惹かれていく。

秋津は母の看護をしながら書道教室を開いているが、生活費は妻が面倒をみている。純香の天才的な筆さばきに驚愕、書道教室の助手を頼む。

玲子は夫との離れた距離感を保ちながら純香の兄、林原に冷ややかに傾倒していく。

戸惑い、後ろめたさ、嫉妬・・・が蠢く心理サスペンス!?純香の死がもたらす結末とは!?

著者はミステリー作家じゃないので、「凍原」同様どんでん返しを期待してはいけないが、秋津と母の繋がりにはゾクっとさせられる!


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起終点駅 [book] [桜木紫乃]

sample1.jpg桜木紫乃/桜木紫乃/お薦め度 ★★★★

十八番の短篇集

六編収録、表題作は2015年映画化

国選弁護しか引き受けない鷲田完治、今回の被告人は椎名敦子三十歳、覚醒剤使用の容疑。初犯故執行猶予があらかじめつくことを知っていて裁判を小馬鹿にしている。

裁判は執行猶予付きで結審、収監先から鷲田の事務所を訪ねる敦子、依頼は「探して欲しい人がいる」と。行方をくらましているのはパケを持ち逃げした組員、敦子はその男をかばって捕まった・・・

元裁判官だった鷲田の過去が明らかになる。五歳の時に別れた息子からの披露宴の招待状、完治が学生時代に同棲していた結城冴子との再会、覚醒剤取締法違反、と自殺・・・桜木節が冴えわたる!

結果として敦子の人捜しに突き合う鷲田。ラストは表題の「起終点駅」、ベタな言い回しですが「終点駅」は「始発駅」。

秀逸な短編集!


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凍原 [book] [桜木紫乃]

sample1.jpg桜木柴乃/小学館/お薦め度 ★★★★

道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂

釧路市内に住む小学生、水谷貢、の捜索願が出される。キタサンショウウオの卵を取りに湿原に入ったきり戻らなかった。

17年後、貢の姉・松崎比呂、父と母は事件後離婚、比呂は母方の姓を名乗っていた、は刑事として釧路方面本部に着任する。

物語は終戦前夜、1945年、の樺太と2009年の釧路が交互に語られる。終戦前夜の主人公は長部キク、現在の主人公はもちろん比呂、比呂らが追う事件は湿原で発見された絞殺死体。被害者はカーディーラーの営業マン、自身の青い目を隠すために何時もカラーコンタクトしていた。

被害者の青い目、そのルーツを探す旅がいつしか触れられたくない、触れてはいけない終戦の闇を掘り返すことになる!?

松本清張を彷彿させる筋立て。警察小説、ミステリーとして読むと動機がイマイチ曖昧のまま物語は終わる。これが桜木ワールドなのか!?

シリーズ第二弾?「氷の轍」も読んでみたい・・・


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星々たち [book] [桜木紫乃]

sample1.jpg桜木紫乃/実業之日本社/お薦め度 ★★★★☆

咲子、千春、やや子、母娘三代の物語

シングルマザーの咲子、実家に娘、千春、を預け釧路のスナックで働く。水商売の始まりはススキノ、旭川・・・その都度男が変わる。

娘、千春、も母親同様、奔放な性格を受けつぐ。二度目の結婚で娘、やや子をもうけたものの、育児放棄、家を出る。

道内をさまよう千春・・・奔放な自分題材に詩を書き、それが賞をとる。作家を夢見る千春!?

死期の迫った咲子は男に千春の安否確認を託す。ささやかな手掛かりを頼りに千春に行き着く。そこで男の忘れた「傘」がもとで事故にあう千春。

最終章はやや子。つき合っている男の母親にあうことになるやや子。物事に執着しないやや子が咲子、千春と違う結論を出す件は実に鮮やか!

無駄なものをそぎ取った文章が生みだす桜木ワールドは秀逸!直木賞受賞作「ホテルローヤル」もよかったが本書もそれに劣らない一冊。


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ホテルローヤル [book] [桜木紫乃]

sample1.jpg桜木紫乃/集英社/お薦め度 ★★★★☆

直木賞受賞作

評価の高いベストセラー小説だったので、いつかいつかと思っているうちに文庫化。

北の湿原を背にするラブホテル、ホテルローヤル、で繰り広げられる七編の連作短編。

兎に角「巧い」、的確で簡潔な表現と言葉の選び方・・・「巧い」のひと言。

七編の短編が時間を行きつ戻りつ、ホテルローヤルに関わった人の人生を描く。

5万部も売れればベストセラーなのに、本書は40万部超え(だいぶ前の話だから部数はもっといっているだろう・・・)の大ベストセラー。話の巧さに挽きこまれた読者が如何に多いかということ。

何冊か読んでみたい作家!


タグ:直木賞
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