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狼は瞑らない [book] [お気に入り作家(国内)]

sample75.jpg樋口明雄/角川春樹事務所/お薦め度 ★★★★☆

邪魔者は消せ!

佐伯鷹志、杉並警察署から所長推薦をたずさえてSPの試験を受け、三十倍の難関を突破し、警視庁警備部警察課に配属となる。しかしある事件がもとで、いまは北アルプス、立山連峰に挟まれた山岳地帯で遭難者の救助にあたる山岳警備隊の一隊員。

警備隊員として抜群の技量を誇るのだが、無口で変わり者扱いされ、”オロクさん”とあだ名されていた(南無阿弥陀仏の経文が六文字なので・・・)。

佐伯が一線を退くこととなったVIPの警護。そこで見聞きした政界と警察の暗部。それに関わった同僚が抹殺されていく。その佐伯を狙って警視庁のヤミの実働部隊が山に送り込まれた。

折りしも特大の台風が通過するなか、<掃除屋>と佐伯たち山岳警備隊とのサバイバルが始まる。

最高級のエンターテインメントに仕上がった一冊! 超カッコイイ佐伯、山岳警備隊!

2004/01


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マニアックス [book] [お気に入り作家(国内)]

sample160.JPG山口雅也/講談社/お薦め度 ★★★★☆  

傑作短編集

「収集家」でなく「蒐集家」。「蒐集家」の方がより「マニアックス」のニュアンスにより近い!?

第一章 蒐集家たち(コレクト・マニア)
第二章 映画狂たち(シネ・マニア)
第三章 再び蒐集家(コレクト・マニア)
計七篇の短編が収められている。

山口雅也こそ「マニアックス」!?

1、彼の作品の最後によく出てくる「fade out」。映画・演劇などで、ある場面の終わりに画面・舞台が暗くなって消えていく手法。

2、本書にある「liner note」。レコードなどの保護用で、解釈などが書いてあるジャケット。

3、著作の中に出てくる題材、会話・・・

山口雅也こそ「映画狂」(シネ・マニア)、「音楽狂」(ジャズ・マニア)である。

マニアが書く「マニアックス」。面白くないはずがない。

追伸:味付けは独特、万人の口に合うとは限らないが病み付きになること請合い!

2001/03


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カルチェ・ラタン [book] [お気に入り作家(国内)]

sample45.JPG佐藤賢一/集英社/お薦め度 ★★★★

眉目秀麗、頭脳明晰な修道士と愚図で奥手の夜警隊長が遭遇する怪事件の数々。佐藤賢一、独壇場の西洋歴史小説。

宮部みゆき・「ぼんくら」のフランス版と考えていただければ・・・はじめての短編連作集に近い構成で。

ソルボンヌ学寮の学僧。パリ大学神学部きっての秀才マギステル・ミッシェルと大手船会社の次男。パリ夜警隊長ドニ・クルパン。パリ、カルチェ・ラタン。十六世紀後半。

江戸、深川あたり。十七世紀。同心と十手持ち。よく似たプロットではありませんか!?宮部みゆきを引き合いに出したのはまんざら突拍子も無いことではございません。

江戸と違い、当時のパリは治安が悪く、悪臭放つ学僧の街でありました。セーヌ川はごみ箱。道路は汚物にまみれ、それはそれは汚いものでございました。この汚い街を歩くのに必要だった高下駄風の靴がハイヒールの原点だったのでございます。

物語は下町の怪事件で留まることなく、神とは何ぞや、宗教とは何ぞや、信仰とは何ぞやからカトリック、プロテスタント入り乱れる宗教革命にまで事件は発展してしまうのでございます。

少々、オウム事件をパロッタ部分なんかも出てきて楽しませてくれます・・・

西洋歴史小説というジャンルを確立した佐藤賢一。現時点ではエンターテインメントの要素が強いわけですが、今後はミステリーのジャンルにもぜひトライしてほしいものです。

2000/05

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陰陽師 生成り姫 [book] [お気に入り作家(国内)]

sample54.jpg夢枕獏/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆ 

シリーズ初の長篇?

シリーズ第五弾。一人の姫に淡い恋心を抱く源博雅。友の様子を静かに見守る安倍清明。今回は源博雅が主役!?

あとがきの中で、ぼくは「陰陽師」の短篇版で、「鉄輪」という話をかいているのだが、これを以前から長篇化してみたいと思っていた、とある。本書の巻ノ五も「鉄輪」・・・

「清介の夢の中に、大きなる龍神が二匹出てきて、その女に、汝が願い聞とどけたりと告げよと―」
「むう」
「身には赤き衣を裁ち着、顔には丹を塗り、髪には鉄輪を戴き、三つの脚には火を灯し、怒る心をもつならば、すなわち鬼神となるべし・・・」
清明が、鬼と化した女から、呪われた男を守る話である。

物語の巻末、巻ノ六「生成り姫」で、博雅が恋心を抱いた十二年前のことが完結する。愉しき一冊なり!

2003/08


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陰陽師 鳳凰ノ巻 [book] [お気に入り作家(国内)]

sample124.jpg夢枕獏/文藝春秋/お薦め度 ★★★☆ 

シリーズ第四弾

あとがきに、「・・・ただぼんやりと日常をすごしているうちに、ある時、いきなり、天から神憑り的なアイデアが落ちてくる-そういったことは、まずない。あの星新一さんでさえ、苦労せずにアイデアが出てきたのは、最初の一作か二作であったと言っているのである。あとはただひたすら、精神と意志の力でアイデアをひねり出さねばならない。これはもう断言しておくが、”ただひたすら精神を集中してそのことについて考えること”であろうと思う・・・」

わたし的には、第一弾の「陰陽師」から第四弾の本書まで楽しく読ませていただいているが、アイデアをひねりだすのは、ことほどさように大変なことなのですね。

ファンゆえ、少々辛目な採点!なぜならもう少し魑魅魍魎さがほしかった。小噺的な部分がなきにしもあらず・・・

いずれにしても肩の凝らない楽しい一冊。

2002/10

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陰陽師 付喪神ノ巻 [book] [お気に入り作家(国内)]

sample119.JPG夢枕獏/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

魅惑の伝奇ロマン・シリーズ第三弾

ここであらためて書評を書くこともないと思います。心地よい連作短編集、著者の筆力に敬服。

本書には七篇収められています。その内の二篇で「呪」についての件があります。清明と博雅の問答がおもしろいのでここに紹介します。

「おまえが、あの桜の花びらが落つるのを見て、美しいと想ったり、心を動かされたりしたら、それはおまえの心の中に、美という呪が生じたということなのだ」
「むむう」
「だから、博雅、仏の教えに言う空というのは、まさにこのことなのだ」
「なんだって?」
「仏の教えによればだな、この世に在るものすべては、その本然に空なるものを持っているらしい」
「色即是空とういうあれか」
「あるものがそこに在るということは、そのものと、それを眺める人の心があって初めて生ずることなのだよ」
「―――――」
「桜がそこに咲いているだけでは、だめなのだよ。それを源博雅が見て、はじめて美というものが生ずるのさ。しかし、源博雅がそこにいるだけではだめなのだ。桜があり、源博雅という人間はいて、その博雅が桜を見て心を動かされた時、はじめてそこに美というものがうまれてくるのだ」
「―――――」

まだまだ続きます。

2000/11

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繋がれた明日 [book] [お気に入り作家(国内)]

sample19.jpg真保裕一/朝日新聞社/お薦め度 ★★★★☆ 

「主文。―被告人を短期五年以上長期七年以下の懲役に処する」

中西隆太の裁判は終わった。人一人が死んだ。ナイフを握った男を見る目は冷ややかだった。それから六年と一ヶ月、「中西隆太二十六歳、仮出獄を許可します。ご苦労様です」。保護司が礼を返した。「さあ、行こうか。お母さんも乗って」

保護司に連れられ就職先の黛工務店へ挨拶、その足で不動産やへ向かった。家賃を五万円以内に納められれば、何とか一人暮らしはできそうだった。

「十一ヶ月なんて、あっというまだ。でも、この十一ヶ月が、君の将来の大きな分かれ目になると言っていい。脅すとつもりじゃないが、最初の一歩が肝心だ。足を踏み出す方向を間違えたら、坂を転がるのは簡単だ」

翌朝は六時半に起き出した。七時に起きれば、仕事へ出るには間に合った。だが、刑務所と同じスケジュールをなぞりたくないため、少し早めに布団を出た。

事件はある朝起きる。この男は六年前に殺人を犯しています。懲役七年の判決を受け、この八月末に仮釈放で刑務所から出てきたものの、まだ受刑者の身です。皆さん、充分ご注意を・・・ワープロで書かれた文字の下には、新聞を複写したらしい記事が出ていた。

いったい誰が何の目的で?

ひとりで犯人探しに奔走する隆太。そこには自ずと仮釈放という限界が存在する。中傷ビラでさらに追い討ちをかけられる家族。かつての悪友・・・

ミステリーというかたちはとっているが、文学的な匂いのする作品。なんとなく朝日新聞社的!?


2003/05

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新徴組 [book] [お気に入り作家(国内)]

sample3.jpg佐藤賢一/新潮社/お薦め度 ★★★★

沖田総司の義兄、沖田林太郎らの物語

会津藩預かりの新撰組、庄内藩預かりの新徴組、新撰組には沖田総司、新徴組には義兄の沖田林太郎。

日本史の教科書では「戊辰戦争」のなかで、一行か二行触れられている。東北諸藩は、慶応4年5月に奥羽越列藩同盟を結成して新政府に反抗しようとした。しかし、多くの東北諸藩は戦意がなく、同年9月には会津若松城が孤立のなかで落城した・・・

要は薩長土肥(西軍)VS仙米会庄(東軍)の構図。

新撰組から見た維新はたくさんありますが、庄内藩預かりとなった新徴組の維新、東北から見た維新、は希有、著者に敬服。しかも、沖田総司の義兄が新徴組に加わっていたなんて・・・!?

ついつい義兄・沖田林太郎に目が行ってしまいますが、庄内藩を指揮する家老・酒井吉之丞(玄蕃)の存在が実にユニークであり、スマートでもあり、頼もしい。

明治維新を扱った第一級のエンターテインメント。


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アマルフィ [book] [お気に入り作家(国内)]

sample1.jpg真保裕一/扶桑社/お薦め度 ★★★★ 

7/18全国ロードショー

アマルフィ:イタリア南部のカンパーニア州にある保養地。アマルフィー海岸は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。

ローマで日本人観光客、母娘、の少女が誘拐される。外交官、邦人保護担当特別領事、黒田が母親と一緒に真相を追う。

初めから映画の原作として書かれたエンターテインメント作品。真保裕一の本領発揮!

前半戦は母親の人物像に謎の部分が多く、どういう展開になるのか少々心配しましたが、要らぬお節介でした。後半は一気読みです。

ここでは書けませんが、ラストシーンが最初にあって出来た作品のような気がします。まさにザッツ・エンターテインメント!?


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追伸 [book] [お気に入り作家(国内)]

真保裕一/文藝春秋/お薦め度 ★★★★ 

往復書簡

本年度の直木賞受賞作「吉原手引草」/松井今朝子は、ひとりひとりの証言を組み立てながら話をすすめるプロットと結末が評価されたのだと思います。本書は四人の書き手による「手紙」のやり取りで話がすすむプロット、なんとなくかぶるような気がしながら読み進みました。

物語はいきなり妻が夫に離婚話を切り出す手紙からスタートします。離婚にまつわる手紙のやり取り、いつしか話は祖父と祖母の往復書簡へ。それも獄中の妻にあてた・・・

離婚話から獄中往復書簡へ、唐突な変化に戸惑いながら、祖母の犯した深い罪?が明らかになって行く。

作者はあえてテンポの悪い「手紙」という手法を用い、読者に一種のストレスと期待感をもたせようとしたのではないか!?そういう意味では正解の一冊かもしれない。

うまいけど、ちょっと気に食わない!?


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