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網内人 [book] [陳浩基]

sample1.jpg陳浩基/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

本格ミステリベスト10 海外編第二位

ネット虐め?を苦に妹、15歳中学生、が自殺。姉のアイはハイテク探偵、アニエ、を紹介され、妹の死の真相究明を依頼する。料金はアイの預金すべて・・・

至ってシンプルなストリー、ハイテク音痴のアイに、技術的なことを解説しながら事を進めるアニエ。この事は読者への解説もかねる。

真相究明と並行して語られる零細IT企業への大手ベンチャーキャピタルからの投資話。どこかで交差するとわかっていても、なかなか全容が見えない。

妹の虐めの実態は解明されたが、アイは妹の仇を討つため、復讐請負人もかねるアニエに復讐も依頼する。アイとアニエの復讐のせめぎ合いが凄い。

最後の最後にアニエが怪盗ルパン探偵に変身、復讐劇と投資話に落ちがつく。何回も味変を愉しめる一冊だが、解説部分がやたら長い。次作は一気読みにしてほしいものだ。

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ディオゲネス変奏曲 [book] [陳浩基]

sample5.jpg陳浩基/早川書房/お薦め度 ★★★★

自薦短編集

「世界を売った男」で島田荘司賞、「13・67」で翻訳ミステリー大賞読者賞を受賞。香港のミステリー作家、SF作家、ホラー作家・・・多才な作家。

本書はその多才な作品を網羅した短編集。

17編?収録の中に、「阿刀田高」を思い起こさせる作品が数編あるように思える。ミステリーの枠を超えた、ブラック・ユーモア、短編集。


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世界を売った男 [陳浩基]

sample1.jpg陳浩基/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

デビュー作!

ある朝、車の中で目覚めた主人公、許友一、二日酔い?のまま自分が務める警察署へ向かう。そこは毎日見慣れている景色のようでもあり、初めて来た場所でもあるような・・・それはPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですねと医者は説明してくれた。

今年は2003年ではないのか?署内の広報の看板はすべて2009年であることを示している。今日は、東成ビル殺人事件、妊娠中の妻と夫が殺された、があってから一週間のはず・・・

いまの私は6年間の出来事をすっかり忘れてしまっている!?

警察署で待っていたのは女性記者、昨日約束をしたらしい、東成ビル殺人事件の被害者の女性の姉がようやく会ってくれることになり、彼女と同行することに・・・

解決済み?と思われた6年前の事件に驚愕の真実が!?

ネタばれ?ダブル叙事トリック的な物語だが、連城三紀彦のように読者をスパッと切ってほしかった!

昨年ブレイクした「13・67」へ続くデビュー作。

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13・67 [book] [陳浩基]

sample1.jpg陳浩基/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

六篇収録の連作中編集

2018年版「このミス・・・」海外編2位

2013年、「天眼」と呼ばれた香港警察の名探偵クワン、末期ガンに侵され意識不明の状態、愛弟子のロー警部との会話は特殊な電子機器を通してのイエス、ノーだけ、クワンの病室に集められた事件関係者、なんと奇妙な事情聴取が始まる。

2003年、1997年(香港、中国への返還)、1989年、1977年、1967年(反英暴動)と時代を遡りながら物語は進む。

1967年、反英暴動の真っただ中、大きな事件を解決したことからイギリスへ留学、二年間の英才教育を受ける。香港に戻り指揮官として難事件を解決、1997年に50歳の定年を迎えるも、嘱託として10年間情報部門で活躍する。

逆年表で時代を遡る手法にしたことが新鮮に映ると共に、その時々の香港の時代背景が反映された社会派的要素と本格ミステリがあいまった秀逸な一冊。


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