内なる罪と光 [book] ['24 海外編]
ジョアン・トンプキンス/早川書房/お薦め度 ★★★★
MWA賞最優秀新人賞候補作
アイザック、生物教師、の息子ダニエルがアメフトの練習に出たまま行方不明となり、数日後、切り刻まれた死体で見つかる。犯人は遺書を残して自ら命を絶った隣家の長男で幼馴染のジョナだった。
冒頭で明らかになる殺人事件。
アイザックのもとに、エヴァンジェリンと名のる少女があらわれる。妊娠している彼女を自宅に招き入れ、奇妙な共同生活が始まる。
物語はアイザック、エヴァンジェリン、ジョナの視点で語らる。
アイザックは離婚で妻に去られ、話し相手は愛犬だけ。拠り所はクエーカーの教え・・・唯一の友?は校長のピーター。
エヴァンジェリンは娼婦の母親から無一文で放り出され、路上生活・・・
ジョナは心を病み自殺で父親を亡くし、母親ロリーと妹と三人で支えあいながら生きてきた・・・
エヴァンジェリンの父親が誰か?ダニエルとはレイプさながらに、ジョナとは似た者同士としてエヴァンジェリンは関係をもった。
隣同士であるアイザックとロリー、ダニエルはジョナに殺され、加害者と被害者の両親としてどう向き合えいばいいのかわからないまま反目。エヴァンジェリンはロリーを頼り、ロリーもエヴァンジェリンの力になる。複雑に絡み合った糸をほぐし、再生していくのかが本書のテーマ。少々重いが、読者をひきつける一冊。