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ゆえに、警官は見護る [book] [日明恩]

sample1.jpg日明恩/双葉社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第四弾

前作で被弾、発砲したことで刑事課から留置管理課へ左遷?になった武本正純、そんな新宿署に酔った勢いで暴行傷害事件を起こした男、柏木が連行された。

港区で積んだタイヤの中に立たされ、火を放たれた焼死体が見つかる。続いて新宿区でも同様の事件が起きる。当初は別の事件として扱われていたが、第三の事件が発生するにいたり、新宿署に合同特別捜査本部が設けられる。

そこに応援として潮崎警視、財務省捜査官の宇佐美巡査部長、紅一点、本庁一課の正木星里花が応援として配属になる。星里花にはもうひとつの任務、潮崎、宇佐美の動向監視があった。

一方、武本は柏木の表情、同行、言動をつぶさに観察するうちに違和感を感じ、本来はあってはならないことだが、休日を利用して聞き込みに出かける。

ふたつの物語が交互に語られ、武本が潮崎に相談したことから潮崎のお節介が始まり、事件の新しい側面が見えてくる。以前のような武本、潮崎のデコボココンビとはならないが、潮崎の一方的なコンビ再結成が実現する!

奇人変人の潮崎、宇佐美に感化されながら動向管理を意図的に怠ってしまう星里花も加わった単独捜査が進む。

ルールを逸脱した潮崎らの捜査が事件解決に一石を投じる件、武本が事情聴取を任される件はテレビドラマ!?

いつも通りの丁寧な筆の運びだが、結末はもう少し捻りがほしかった。

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そして、警官は奔る [book] [日明恩]

sample83.jpg日明恩/講談社/お薦め度 ★★★★☆ 

前作「それでも、警官は微笑う」の続編

武本正純、高校卒業後、警視庁警察官試験Ⅲ類に合格して以来、勤務十三年.。三十一歳になるぼくとつなタフガイ。階級は巡査部長。

潮崎哲夫、大学卒業後、同試験Ⅰ類に受かった勤務六年の二十八歳。階級は警部補。つまり武本よりも階級では上になる。

武本正純、国際組織犯罪特別捜査隊から警視庁蒲田署刑事課の強行犯係に異動してから三ヶ月が過ぎていた。

潮崎哲夫、十ヶ月前、警察を辞し、国家公務員Ⅰ種、俗に呼ばれるところのキャリア、に合格し、警視庁の入庁を取り付けてた。来年の四月には”ただいま帰りました”の報告ができる。

幼児虐待事件から次々と明らかになる不法滞在者、国籍を持たない外国人の子供、幼児の猥褻ビデオ組織、人身売買・・・その一方で、不法と知りながらひっそりと子供たちを匿う人びと。そんな構図を舞台に捜査を進める武本、一民間人としてそれに関わる潮崎。

武本の無骨で実直な姿勢が事件を、周りを、変えていく。丹念に描かれたユーモア警察小説!?

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それでも、警官は微笑う [book] [日明恩]

sample93.JPG日明恩/講談社/お薦め度 ★★★★☆ 

あらたな刑事コンビ誕生!

武本正純、高校卒業後、警視庁警察官試験Ⅲ類に合格して以来、勤務十三年.。三十一歳になるぼくとつなタフガイ。階級は巡査部長。

潮崎哲夫、大学卒業後、同試験Ⅰ類に受かって勤務六年の二十八歳。階級は警部補。つまり武本よりも階級では上になる。

潮崎が武本を先輩と呼んでいるのは、警察組織の中では異常なことだった。年功序列でいえば、確かに潮崎の呼び方に問題はないが・・・

潮崎は三百年以上遡ることができる旧家の次男で、既に世を去った父親は、その門弟は軽く二万人は越すといわれている茶道の本家家元であり、現在は長男がその後を継いでいる。門弟には良家の子女が名を連ね、その中に現総理大臣の奥方や前警視総監の奥方、そして現警視総監のご母堂もいる。

なんともいえないデコボコ・コンビ。潮崎くんのキャラは、ちょっと古いが「教師びんびん物語」の野村宏伸演ずる「榎本」を彷彿させる!?というわけで、「教師びんびん物語」+「踊る大走査線」=「それでも、警官は微笑う」の出来上がり。

けっして陳腐な警察小説ではない。登場人物それぞれの生い立ちが事件を呼び起こすプロットは、本格的警察小説を踏襲している。本書がデビュー作とか!?

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やがて、警官は微睡る [book] [日明恩]

sample1.jpg日明恩/双葉社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第三弾!?

前作「そして、警官は奔る」から9年、ご無沙汰の武本&潮崎シリーズ。

上司の紹介でお見合いをすることになる武本、話は弾まず30分で相手に打ち切られてしまう。そんなホテルの一室から異臭騒ぎが発生する。管轄外、武本は警視庁、ホテルは横浜、だが見過ごすことの出来ない武本は騒ぎに首を突っ込む。

事態の収拾確認にホテル内をチェックする武本、何かがおかしい、20階の会員制の特別室の待合室に社員が誰もいない。20階に昇る武本、いきなり銃撃戦が始まり、被弾する。

謎の武装グループはお客を人質にホテルを占拠。交戦の最中、無線機と武器を確保する武本、無線機を通じ神奈川県警と連絡をとる。その窓口はかつての年下の上司、潮崎だった。

ストーリーといい武本&潮崎のデコボココンビといい、ひじょうに劇画的でありダイ・ハード的な肩の凝らないエンターテインメント。


タグ:日明恩
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鎮火報 Fire's Out [book] [日明恩]

日明恩/講談社/お薦め度★★★★★

デビュー作「それでも、警官は微笑う」は新しい形の警察小説として絶賛された。問題とされる?二作目の本書では人間臭い新人消防士を登場させ、泣かせる一冊に仕上げた。なんとも将来性を感じさせる作家だ!

物語はいたってシンプル。日曜日の当番日からスタート、翌週の火曜日の非番日で終わる。凝縮されて時間の中で、主人公・大山雄大が出場する火災、事件を通し、人間とは?人間の存在とは?を問う。

「人の命は間違いなくその人のもんだよ。だから、生きている権利もあるし、逆に死ぬ権利があってもおかしかない。だけど、どんな奴にだって、どうしても生きていて欲しい、一緒に苦労も恥じも分かち合うから生きていて欲しいと望む人がどこかにきっといるんだよ」

「人には、望もうと望むまいと、死に直面せざるを得ないときがある。その誰にでも、生きていて欲しいと願う人がいる。望まないのに死の淵に立たされた人は、その人の生を望む人たちのところには返してやるために、望んで死の淵に立った奴であっても、やっぱり、そいつの生を願ってやまない人のために、その気持ちに報いられるように、もう一回やり直すチャンスをつかむ手助けをする。消防士ってのはね、そのためにいるんだと思うんだよ」

前作同様、脇役のキャラもドラマ的(ここは異論のあるひともいるだろうが、わたし的には好きだけど・・・)だけど、しっかり描かれている。おまけに最後はしっかり泣かせる仕掛け。たいしたものだ!


埋み火 [book] [日明恩]

日明恩/講談社/お薦め度★★★★

前作同様、主人公・大山雄大は、「人間とは?人間の存在とは?」を問う。

「人の命は間違いなくその人のもんだよ。だから、生きている権利もあるし、逆に死ぬ権利があってもおかしかない。だけど、どんな奴にだって、どうしても生きていて欲しい、一緒に苦労も恥じも分かち合うから生きていて欲しいと望む人がどこかにきっといるんだよ」(前作「鎮火報」より)

ひとりの老女の死をきっかけに、失火による火災で、連続して起きる火災は老夫婦をも巻き込む。それらの現場に立ち会うはめになる雄大。死者の複雑な人間関係から過失による失火ではない。これは放火自殺なのでは?と思いはじめる。老人ひとりで放火自殺は出来ない、誰か幇助するものがいるはず・・・

そんな折ひとりの老人と少年に出くわす。ふたりの密談は雄大を驚愕させるものだった。

ちょっと饒舌に語りすぎる感はあるが、雄大の熱い気持ちは読者につたわるはず。わたし的には好きなシリーズ。


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