ニック・メイソンの脱出への道 [book] [スティーヴ・ハミルトン]
シリーズ第二弾
前作「ニック・メイソンの第二の人生」では、25年の刑期をくらったニック・メイソンがダライアス・コールと契約をかわしーコールの呼び出しにはいかなることがあっても応じ、どんな命令でも従うー5年で出所した。
本書では再審の公判を控えたコールが無罪を勝ち取るため、消えてもらわなくてはならない2名の殺害を命じられる。証人保護プログラムに組み込まれた面々だった。
その作戦実行においてメイソンは大きなミスを犯す。負傷したメイソンが逃げ込んだ先は何と恋人のローレンの家。愛するものを危険に晒す始まりだった。結果、ローレンを泣く泣く行方知れずにしてしまう・・・
ローレンだけじゃなく、メイソンの元妻とひとり娘、コールのマネーロンダリング先のレストランを任されていたダイアナ・・・メイソンにかかわった人たちが次々と危機に陥るはめに・・・
運命に抗って、自身の運命から脱する決意をするメイソンがとった行動とは!?
<生き地獄>から<蟻地獄>、そんな本書!?来春、本国ではシリーズ第三弾が刊行予定、メイソンの運命やいかに?
狩りの風よ吹け [book] [スティーヴ・ハミルトン]
スティーヴ・ハミルトン/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
シリーズ第三弾
マイナーでバッテリーを組みメジャーを目指したランディーが30年ぶりにアレックスのもとを訪れる。30年間音信不通だった男の頼みごとは、1試合だけメジャーに昇格した時の恋人、マリア探しの手助けをしてほしい、と。
偶然の成り行きで私立探偵になった人のいいアレックスは頼みことに付き合うはめに。デトロイトへ向かう間の野球談義がいい。
行き当たりばったりの捜索に力を貸す、今回は骨折で動けないためベッドでPC片手に、リーアン。マリアの実家を突き止めたまではよかったが、マリアの弟らに監禁される。マリアの母親、過って占い師、の見立て?で解放されふたり。
ここで捜索は終わりにしようと別れるふたり、空港へ向かったはずのランディーが撃たれ病院に担ぎ込まれるに至り、単身マリア探しを再開するアレックス。
ランディーの素性、詐欺師、が明らかになる件から物語は二転三転、魔性?の女に翻弄される男の悲哀が生む結末とは!?
本シリーズの特徴は「偶然の成り行きで探偵になった」ことからお金をもらっての依頼ではなく、アレックス個人の事情がらみだということ。前作は自責の念から、本書は旧友から頼みごと・・・
シリーズ三作が一番出来がいいだ。四作目の邦訳が待たれます。早川書房さん頑張ってください!
ウルフ・ムーンの夜 [book] [スティーヴ・ハミルトン]
スティーヴ・ハミルトン/早川書房/お薦め度 ★★★★
シリーズ第二弾
洒落たプロローグ、ホッケーの試合にキーパーとしてかりだされる私立探偵アレックス、元マイナー選手、キャッチャー、ボディーチェック禁止の「スローパック」、ついつい熱くなり敵のブラックマンと勝負する・・・
アレックスのもとへドロシーという女が訪ねてきた。依頼事項は恋人のブラックマンから逃げる手助けをしてほしい、と。
アレックスはドロシーを自分の経営するロッジに避難させるが、翌朝ドロシーの姿は消え、部屋は荒らされていた。責任を感じたアレックスはブラックマンの仕業?と判断、行方を追う。
前作でアレックスに仕事をとられたと逆恨み、最後は和解したリーアンが押し掛けで一緒に行方を追う。
物語は麻薬がらみの事件へ二転三転するが、ドロシーは依然不明のまま・・・
前作もアレックスに絡んだ、ビル、保安官、メイヴン、警察署長・・・面々は健在、シリーズとしての体裁もバッチリ。前作同様のスティーヴ・ハミルトン流の結末も納得!
氷の闇を越えて [book] [スティーヴ・ハミルトン]
ステーィヴ・ハミルトン/早川書房/お薦め度 ★★★★
MWA賞最優秀処女長編賞受賞作
私立探偵アレックス・マクナイト・シリーズ第一弾
アレックスの胸には一発の銃弾が今も残っている。14年前の警官時代、ローズという男から三発被弾したうちの一発だ。相棒はローズの銃弾に倒れた。
私立探偵の免許をとったばかりのアレックスのもとに友人、エドウィン、から今すぐモーテルに来てほしいと電話が入る。部屋には賭け屋の死体が・・・続いて別の賭け屋も死体で発見される。
アレックスのもとに刑務所に収監されているはずのローズから手紙が・・・二つの事件は私の犯行だ、と。
エドィンの失踪、ローズから更なる犯行声明、疑心暗鬼の関係者・・・犯人は本当にローズなのか!?
捻った結末のつけ方なんだがどうもスッキリ?しない。でもこの結末でいいんだな!
シリーズ第二弾、第三弾も手元にあるので次回紹介します。
ニック・メイソンの第二の人生 [book] [スティーヴ・ハミルトン]
スティーヴ・ハミルトン/KADOKAWA/お薦め度 ★★★★
MWA賞作家
25年の刑を言い渡されたニック・メイソン、5年で堀の外へ出ることになった。それは収監中の暗黒街の大物との契約を飲んだからだった。
契約とは携帯電話が鳴ったらすぐに出、どんな指示であっても従うこと。
ニック・メイソンが堀から出て一番最初にしたことは、離婚した妻との間にもうけた娘に会うことだった。サッカーをする娘を盗み見ると同時に、逮捕される原因を作った男の姿も目にしてしまう。
容赦のない指示が下され、メイソンは殺人者と化していく。娘、新しい恋人の狭間で揺れながら孤独な戦いを続けるしかないメイソン、契約反故は許されない。
まさにスティーヴ・ハミルトンのハードボイルド!
解錠師 [book] [スティーヴ・ハミルトン]
スティーヴ・ハミルトン/早川書房/お薦め度★★★★☆
MWA賞、CWA賞ダブル受賞作
8歳のときに言葉を失ったマイク。彼の才能はどんな錠でもあけることと絵を書くこと。
錠をあける才能はひょんなことから金庫破りの名人に弟子入り、徹底的に鍛えられ「The lock artist」としてお呼びがかかるようになる。
絵を描く才能は物言わぬ彼のコミュニケーションツールとなり、ひとりの少女、アメリア、と心を通わせる。
物語はマイクがどんないきさつで「The lock artist」になったのかと、服役するにいたった経緯が交互に語られながら進む。
許されざる才能とアメリアへの思いが感動的なラストシーンを生む。
ミステリーというよりも青春小説、恋愛小説と言ったほうがいいかもしれない!?きっと映画化されるはずだ・・・
追伸:「解錠師」とはちょっとつらい邦題ですね。原題の「The lock artist」の方がずっといい!?