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アーナルデュル・インドリダソン ブログトップ

印 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第六弾

湖のほとりに建つサマーハウスで首をつった女性マリア、歴史研究家でサマーハウスの持ち主、が発見される。第一発見者は友人のカレン、警察は自殺と断定する。

疑問を抱くカレンはレイキャヴィク署のエーレンデュルを訪ね、マリアと霊媒師との会話が録音されたテープを渡す。警察としてではなく、個人として事件を調べることにする。

マリアは幼い頃、父を亡くし、湖で溺れ、母親レオノーラの庇護の下で暮らしてきた。濃厚なふたりの関係のなかに、夫が同居、当然不協和音が鳴り響く・・・

それと並行した未解決の失踪事件が語られる。三十年前、卒業を目前とした少年、それとは別の女子大生の失踪。少年の父親は事あるごとにエーレンデュルに事件の進展を尋ねてきた。

母親がマリアに約束した、向こう岸に着いたら必ず印、サイン、を送るという言葉、死後の世界を信じるマリア、が物語の大きな肝となっている。

アイスランドの風土、習慣、文化、が色濃く反映された物語。


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厳寒の町 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

捜査官エーレンデュル・シリーズ

学校帰りの10歳の男の子が腹部を刺され、地面にうつ伏せに倒れ、血だまりは凍り始めていた。

母親はタイ人、父親はアイスランド人、離婚後レイキャヴィクに越してきた。母親はタイからもう一人に息子を呼び寄せ、三人で暮らしていた。

アイスランドが抱える移民問題をメインストリームに物語は進む。

エーレンデュル、エリンボルク、シグルデュル=オーリの面々が昼夜問わず捜査に没頭するがなかなか手掛かりがつかめない。

捜査と並行して語られるもう一つの事件、三回結婚を繰り返す浮気性の夫から姿を消す妻、が読者を惑わす。

最後に明らかになる事実は決して奇異なものではない。ここからネタばれ・・・

移民問題が絡んでいなかったことは救われるが、「べつに?」、「あいつがそこにいたから」、「それだけか?」、「ぼくたちすることがなかったから」には最近、日本でもちょくちょく見かける事件と酷似しているではないか!?

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湖の男 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第四弾

干し上がった湖から白骨化した人体が見つかる。頭蓋骨には大きな穴があき、ソ連製の古い盗聴器が重石がわりに?括り付けられていた。

捜査は失踪事件に執着を示すエーレンデュル捜査官と同僚のエリンボルク、シグルデュル=オーリの3名があたる。小さな国、アイスランドらしい?

過去の行方不明者のなかに、30年前、農業機械のセールスマンが忽然と婚約者の前から姿を消したことが判明する。しかもアイスランには本人の存在を示すものは何もなかった。

30年前、アイスランドから東ドイツへの留学生の物語と犯人?と思しき男の現在、エーレンデュルらの捜査状況、三つが並行して語られる。

社会主義の実現を夢見て留学した学生の挫折、秘密警察の監視、反社会主義を唱える学生・・・時代に翻弄された人々の悲しい真実が事件の鍵を握る。

アイスランドの気候風土が物語に色濃く反映されているシリーズ、しかもエーレンデュルの娘と息子へのかかわりが彼の心情をより暗くする。

表題の「湖の男」を巡る物語・・・

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声 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

シリーズ第三弾

クリスマスシーズンでにぎわうアイスランドのホテル、その地下室でドアマンの男がサンタクロースの姿で心臓を刺され、ズボンを下ろした状態で発見される。

レイキャヴィック警察犯罪捜査官、エーレンデュルが捜査にあたる。現場に残された紙切れに「ヘンリー 18:30」と書いてあった。

ヘンリーはホテルの宿泊客であることが判明、そこからドアマン、グドロイグル、の過去が明らかになる。グドロイグは子どもスター、稀代の天才ボーイソプラノ歌手だった。

なぜ被害者はホテルの地下室に20年もの間暮らしていたのか?そこには「声がわり」で栄光から一転、奈落の底に突き落とされた悲劇が隠されていた。

グドロイグルと厳格な父親、母親代わりの姉との関係、エーレンデュルと雪山ではぐれた弟、ジャンキーだった娘との関係、同性愛者たちの関係・・・色濃い人間関係を織り交ぜながら物語は進む。

グドロイグルがレコーディングした2枚のレコードがもたらす悲劇。秀逸な警察小説。


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緑衣の女 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

CWA賞受賞作

前作「湿地」に続く邦訳第二作。

子どもの誕生パーティ、赤ん坊がしゃぶっているのは人骨。いきなりショッキングな場面から始まる。その骨はパーティの主人公が近くの建設中の家の基礎からみつけたものだった。

捜査にあたるのはレイキャヴィック警察犯罪捜査官、エーレンデュルら3名、現場から突き出た手の骨が見つかり、掘り出す作業を考古学者チームに依頼する。

物語はこれだけでは終わらない。エーレンデュルの娘から「助けて。お願い」という電話を受ける。薬物中毒で妊娠中の娘から悲鳴だった。

人骨捜査、エーレンデュルの過去と並行するように、大戦中の生々しい家庭内暴力、夫が妻へ、が語られる。

人骨捜査のなかでサマーハウスの持ち主とフィアンセの悲劇、そのサマーハウスに大戦中住んでいた家庭内暴力に悩む一家5人。複層する物語の行き着く先は!?

とても悲しい物語だが、ミスリードがミスリードを生むプロットは秀逸。


タグ:CWA賞
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湿地 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample5.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

アイスランド発の警察小説

ガラスの鍵賞、スカンジナヴィア推理作家協会賞ともいうべき、受賞作のシリーズ第一弾

自分のアパートで殺害された老人、典型的なアイスランドの殺人。その意味するところは、汚くて無意味で、その気になったら何でも隠せるのに何もしない。現場に残された「おれはあいつ」のメッセージ。

捜査に当たるエーレンデュル、50歳、だいぶ前に離婚、子供がふたり、麻薬中毒の姉、少年更生施設から出てきたばかりの弟、なんともすごい設定。

老人の過去がつくりだした哀しい事件、そこから導き出される犯人とは?

北欧発のミステリーは気候風土そのものが構成要素の一部、本書の表題、湿地、もアイスランドをあらわしている。


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