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箱庭図書館 [book] [乙一]

sample2.jpg乙一/集英社/お薦め度 ★★★★

読者参加企画

読者からボツ原稿を送ってもらい、筆者がリメイクする掟破りな企画

アイデアを読者からもらうなんて、作家として??? 乙一なら許されるのか・・・でも原稿料はどうするの?読者と折半、アイデアの方が高いわけだから、7対3?

乙一らしい部分も垣間見れてそれなりに愉しめるが、「毒気」が半減しているのは惜しい。彼にはもっと「毒気」のある作品を書いてほしい、と個人的には思う。

「物語を紡ぐ町」としての連作短篇集。ボツ原稿はwebで公開中、こちらも一読あれ。


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銃とチョコレート [book] [乙一]

乙一/講談社/お薦め度★★★★

高級チョコレートの代名詞といれば「GODIVA」、生チョコの代名詞といえば「ROYCE」。怪盗「ゴディバ」を追う名探偵「ロイズ」。なんとも乙一らしい謎かけ!?

亡くなった父親が露店で胡椒と聖書を買ってくれた。これからは必要になるだろう、と。問題の地図はその革表紙に隠されていた。

怪盗ゴディバの残すカードの裏に描かれた風車小屋。少年リンツの持つ地図の裏にも風車小屋が・・・リンツはロイズにこのことを手紙で伝える。ここから事件は思わぬ方向へ。

かって子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド、というシリーズ? 本来ならもっとクールでノワール的な展開になっていたのでしょうが、少年少女のためにちょっと遠慮したのでしょうか・・・!?


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GOTH 俺の章 [book] [乙一]

乙一/角川書店/お薦め度★★★★

乙一ファンとしては必修の一冊なのですが、「リストカット事件」だけを読みたいと思っている人にとって、ハードカバーはなかなか手が出にくいものです。そういう意味でも待望の文庫化です。

2003年、「リストカット事件」で第三回本格ミステリー大賞受賞。

ライトノベルの可能性を追求することで本書が生まれたとは・・・

「殺人事件や拷問の方法など、人の冷たくデリケートな側面を渇望する私たちのような人間は時に“GOTH”と呼ばれる」。この「GOTH」である「僕」と森野夜のふたりが、遭遇する猟奇的な事件を描く連作短編集。

人間の中に潜む「ノワール的」、「暗黒的」な部分!?リストカット事件で、収集した手首を冷蔵庫に格納しておくなんて、なんとも暗黒的、猟奇的・・・乙一の面目躍如といったところ。兎に角、一度読んでみてください。


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さみしさの周波数 [book] [乙一]

乙一/角川書店/お薦め度 ★★★★☆

「手を握る泥棒の物語」、「失はれた物語」の二編が収録されている。

あとがきによれば、雑誌で「せつない」話を特集するから書いてくれと誘いがきた。小生は生活のために引き受けた。悪夢のはじまりだった。小説のアイデアがなにも浮かばなかった。「せつない」というしばりがきつかった・・・小生は書きたいと思うまで小説を書き始めてはいけなかった。その意味で小生は「手を握る泥棒の物語」が気に入っていた。書きたいと思って書いたという、単純な理由がそこにあった。つるつるの脳味噌のいい面が出ている気がした。

「失はれた物語」はつい最近、書いた。2002年の11月だった。小生は唐突にクラシックの音楽を聴くようになった。そして「あ、なるほど」と思って書いた。いつもアイデアが浮かべば苦労しないのに、つるつるではその回数も少ない・・・

なにかマゾヒスティックに自分をいじめながら、使命感ではなく、印税を食いつぶしながら、自分の好きなものを書く。締め切りという時間を無視して・・・

自分の好きなもの、締め切りという時間を無視した傑作が「ZOO」なのか!?


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きみにしか聞こえない [book] [乙一]

乙一/角川書店/お薦め度 ★★★★☆

「きみにしか聞こえない」+「さみしさの周波数」+「失踪Holiday」+書きおろし=「失はれる物語」

「Calling You」、「傷-KIZ/KIDS」の二編が収録されている。

乙一の作品の多くは「ザ・スニーカー」に掲載された後、角川スニーカー文庫に何篇かまとめられ刊行されている。「スニーカー文庫」とは何者なのだろうか?

「冒険、愛、友情、ファンタジー・・・。無限に広がる、夢と感動のノベル・ワールド」「スニーカー大賞-応募作品=ホラー・伝奇・SFなど幅広い意味でのファンタジー小説」・・・なんだかよくわからない。

羽住都が描くイラストと乙一の文章がなんともミスマッチ、そのミスマッチがより怖さを増幅していることは間違いない。ベストパートナー!?


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天帝妖狐 [book] [乙一]

乙一/集英社/お薦め度 ★★★★★

「A MASKED BALL ア マスクド ボール-及びトイレのタバコさんの出現と消失」、「天帝妖狐」の二編が収められている。大学生になった乙一?

「A MASKED BALL」はトイレの落書きを題材にしたサスペンス!?
現代のネットワーク社会では至極当たり前な匿名性。メールアドレスだけで男か女か、大人か子供かわからない匿名性。その匿名性を愉しむ人々・・・ある種のロールプレーイングゲームと言っていい。

そんな現代を「トイレの落書き」で物語にしてしまう乙一は「すごい!」

もう一編の「天帝妖狐」はディズニーの「美女と野獣」的作品!?次なる作品「しあわせは子猫のかたち」につながるラブ・ストーリーなのか?

でもどうして後者が表題なんだろうか・・・?


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夏と花火と私の死体 [book] [乙一]

乙一/集英社/お薦め度 ★★★★★

古い話ですが、元ヤクルトスワローズ監督・関根潤三氏が長島一茂を評して、「金は金。銅は金にはなれず」と。どういうことかと言うと、プロ野球に入った時点で一流と三流は明らかに違う。三流はいくら努力しても一流にはなれない。長島一茂は金なのだ、ということを言いたかったわけです。第一次長島内閣でヘッドコーチをやっていたわけですから、一茂のことを銅だとは言えないでしょうけど・・・

話がとんでもないところからスタートしてしまいましたが、「乙一は金だ!」ということを言いたかったわけです。

「ZOO」の片鱗が見え隠れするすばらしい作品です。しかも十六歳の少年の筆によるものだと聞いて、これまた驚いてしまいました。これはしっかり読み比べてみないとと思い、執筆順から乙一を追ってみました。

「夏と花火と私の死体」、「天帝妖狐」、「平面いぬ」、「失踪HOLIDAY」と・・・「ZOO」のような鋭さはないが、ホラー的な感覚はすでに内在していた!?


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失踪HOLIDAY [book] [乙一]

乙一/角川書店/お薦め度 ★★★☆☆

二十歳を過ぎた乙一

表題作の「失踪HOLIDAY」はちょっと期待はずれ!よって三ツ星しかつけられないが、もう一編の「しあわせは子猫のかたち」はGOOD!こちらは文句なしの五つ星・・・

二十歳を過ぎればただの人・・・そんなことはないだろうが、ちょっといろんなことを試し過ぎてはいないだろうか?「失踪HOLIDAY」はこれまでの最長作だそうだが、今までのような切れ味がない!?ドンデン返しの結末はさすがだが・・・

そのかわりといったらなんだが、「しあわせは子猫のかたち」は、「ゴースト」的ラブ・ストーリー!?こういうモノもいけるぞ、と小さくガッツ・ポーズ・・・愉しませてくれる作家だ。


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平面いぬ。 [book] [乙一]

乙一/集英社/お薦め度 ★★★★☆

「はじめ」、「BLUE」、「石の目」、「平面いぬ。」の四篇が収められている。大学生の乙一?

「石の目」で刊行され、文庫化にあたり「平面いぬ。」へ改題。ということは「平面いぬ。」の方が評判がいいと言うことでしょうか!?対照的な両作品。奇想天外なプロットで成功の「平面いぬ。」。民話的、怪異的な題材をもとにした「石の目」。現時点ではプロットに軍配でしょうか?わたし的には、「石の目」が・・・

「夏と花火と私の死体」、「天帝妖狐」、「平面いぬ。」と読み進むと、ただ者ではないことがよくわかります。昨年刊行の「GOTH」で大輪を咲かせ、最新作「ZOO」は年末の各誌ベストテンを総なめしそうな雰囲気を持つ!?若干二十四歳の底知れぬ才能はまだまだ大きくなりそうです。


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ZOO [book] [乙一]

乙一/集英社/お薦め度 ★★★★★

カフカ+阿刀田高+劇画=最初の短編から”頭をガツン!”

帯に北原次郎がこう書いている。
それまで私が持っていた小説の概念を、この作品は明らかに超えていた。それでいて、新鮮なのだ。何なんだこれは。(略)しかしながら、どうしてこれほど新鮮なのか、なぜこんなにもヘンな話をこの作家が書くのか、大半の作品を読んでもまだ私にはわからない。乙一は私にとって、名付けようのない作家なのである。それが悔しい。

同感!私の頭の中には、カフカ、阿刀田高、劇画、この三つが浮かんだ。それ以外言いようのない短編集だ


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