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ブルー・アワー [book] [T・ジェファーソン・パーカー]

sample84.jpgT・ジェファーソン・パーカー/講談社/お薦め度 ★★★★☆

既刊、「ブラック・ウォーター」の第一作目

ティム・ヘスはオレンジ・カウンティ保安官事務所を退職した警部補。肺がんの手術を受け、現在は海辺の家で孤独な日々を過ごしていた。そんな折、保安官から現場復帰を要請される。この半年間に失踪したふたりの女性の捜査-死体なき殺人事件、現場には大量の血痕が残されていたが、生存は絶望的-だった。ティムのパートナーはマーシ・レインボー巡査部長。親子ほど歳の離れたふたりだった。

女保安官としてキャリアアップすることだけを考えるマーシ、老獪なティム、異質なふたりがパートナーを組み、捜査に挑む。いつしかふたりの間には静かな愛情が芽生える・・・

本書を最初に読んでみたかった!


ブラック・ウォーター[book] [T・ジェファーソン・パーカー]

sample169.jpgT・ジェファーソン・パーカー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

邦訳は本書がはじめてだが、シリーズ第三弾

オレンジ郡保安官事務所保安官補、アーチー・ワールドクラフト、妻、グウェンは、自宅に侵入した何者かによって撃たれ、アーチーは頭の中に弾丸が残る重傷を負い、妻を殺害されてしまう。

ふたりの暮らしぶりは、保安補の報酬をはるかに超えるものだった。

すべての証拠は無理心中か、それともアーチーの犯行を示すものばかりだった。肝心のアーチーは一命を取り留めたものの、記憶の一部を失っていた。

本シリーズの主人公、殺人課巡査部長、マーシはアーチーの真実を信じながらも、反証の材料を掴めないでいた。そんな折、アーチーが自らの手で、妻殺しの犯人を探すため病院から抜け出し、忽然と姿を消してしまう。

マーシの人物設定が前作とくらべ、ほっとするほど人間臭い。亡き夫は父親ほど歳の離れた先輩。今はオレンジ郡の大きな農場に一粒種のティムと父親の三人暮らし。自分と家族を大切にしながら賢明に捜査に当たる。

アーチーの起訴を急ぐ検察局。事件の核心に迫りつつあるマーシ・・・

期待の持てるシリーズ!?


サイレント・ジョー [book] [T・ジェファーソン・パーカー]

sample126.jpgT・ジェファーソン・パーカー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

MWA賞最優秀長篇賞受賞作

事件はオレンジ郡保安官事務所の保安官補・ジョーが、義父・ウィルの仕事を手伝っている最中に起きた。

ウィルは誘拐された政敵の娘を救うべく、身代金引渡しの役を買って出た。娘を保護した直後に、五人の男たちに襲撃され、殺されてしまう。ジョーも応戦したが、ウィルを救うことはできなかった。

しかも、運の悪いことに保護した少女とはぐれてしまう。

義父の敵討ちと少女を取り戻すためひとりで立ち上がるウィル。

こう書いてしまうと、単なる復讐劇に見えてしまいそうだがそうではない。ジョーの生い立ちが重要なファクターとなっている。

現在、24歳となるジョーだが、生後9ヶ月のとき、実の父親から硫酸を顔に浴びせられ、さらに母親からも捨てられて、養護施設で過ごした体験をもっていた。今もそのときの醜い傷が顔とこころに残っていた・・・

何時も、もの静かなジョーだった、ウィルの事件からひとりの男として成長していく。

淡々とした語り口、全篇に漂う灰色?の空気、クールなジョー・・・さすがMWA賞受賞作!


カリフォルニア・ガール [book] [T・ジェファーソン・パーカー]

T・ジェファーソン・パーカー/早川書房/お薦め度★★★★

2005年MWA賞受賞作!「サイレント・ジョー」に続く二回目の受賞

1960年代―エド・サリバン・ショーにビートルズが出演、それに呼応するモンキーズ、ロックミュージックの隆盛。ドラッグ、セックス、カウンター・カルチャー。マーキュリー計画、ケネディ暗殺事件、リチャード・ニクソン大統領、ベトナム戦争・・・―アメリカがもっとも輝いた時代。

ベッカー家の次男、ニック、オレンジ郡保安官事務所殺人課部長刑事、初めて指揮をとることになったのは、腐肉にも、子供の頃から知り合いのヴァン家次女、ジャニルの殺害事件、頭部をが切り落とされた無残な姿の・・・

ベッカー家、長男、牧師、ディヴィッド。三男、クレイ(ベトナム戦争で戦死)。四男、新聞記者、ベッカー。一方、ヴァン家、長女、リネット。長男、レニー。次男、イーサン。三男、ケーシー。それぞれが背負う過去と現在を絡ませながら事件は進展する。

前受賞作「サイレント・ジョー」は題名通り、クールな主人公が重い過去を引きずりながら事件を追うという設定だったが、本書は兄弟の絆、家族の崩壊、家族愛、男女の愛憎など複雑に絡み合う家族と事件という設定になっている。

結末は凄くホットなのだが、現在と比較してゆっくりと流れる時間、それが物語全体を暖かく感じさせる。なんとも不思議な一冊。


レッド・ライト [book] [T・ジェファーソン・パーカー]

T・ジェファーソン・パーカー/講談社/お薦め度★★★★

2001年MWA賞最優秀長篇賞ノミネート作品。

第一弾「ブルー・アワー」では、現場復帰した、親子ほど歳のはなれたティムと出会い、第二弾「ブラック・ウォーター」で、ティムを喪い、ひとり息子・ティムジュニア、父親の三人暮らしがはじまる。

第三弾の本書「レッド・ライト」、同僚・マイクのプロポーズを受けるマーシ。だが、いまひとつふんぎりがつかない。そんな折、マイクに高級コールガール殺人事件の容疑がかけられる。ふたりの関係に暗雲がたちこめる。

その一方で、マーシに三十年前の未解決事件、奇しくも高級コールガール殺人事件、が割り振られる。二つの事件を解明すべく、マーシの闘いが始まる。

時間がマーシを魅力的に変身させていく。巡査部長として、ひとりの人間として・・・次作も期待したいシリーズだ!


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