サイレント・ジョー [book] [T・ジェファーソン・パーカー]
T・ジェファーソン・パーカー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
MWA賞最優秀長篇賞受賞作
事件はオレンジ郡保安官事務所の保安官補・ジョーが、義父・ウィルの仕事を手伝っている最中に起きた。
ウィルは誘拐された政敵の娘を救うべく、身代金引渡しの役を買って出た。娘を保護した直後に、五人の男たちに襲撃され、殺されてしまう。ジョーも応戦したが、ウィルを救うことはできなかった。
しかも、運の悪いことに保護した少女とはぐれてしまう。
義父の敵討ちと少女を取り戻すためひとりで立ち上がるウィル。
こう書いてしまうと、単なる復讐劇に見えてしまいそうだがそうではない。ジョーの生い立ちが重要なファクターとなっている。
現在、24歳となるジョーだが、生後9ヶ月のとき、実の父親から硫酸を顔に浴びせられ、さらに母親からも捨てられて、養護施設で過ごした体験をもっていた。今もそのときの醜い傷が顔とこころに残っていた・・・
何時も、もの静かなジョーだった、ウィルの事件からひとりの男として成長していく。
淡々とした語り口、全篇に漂う灰色?の空気、クールなジョー・・・さすがMWA賞受賞作!
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