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いのちがけ [book] [砂原浩太朗]

sample1.jpg砂原浩太朗/講談社/お薦め度 ★★★★

デビュー作

前田利家と忠臣・村井長頼の生涯

織田信長の勘気をかい、二十二歳で流浪の身となった利家に付き従い、桶狭間、帰参は許されず、翌年の森部の戦いの活躍により帰参を許される、長篠、賤ケ岳・・・名だたる戦場を主君と駆け抜けた長頼。

主君の肩越しに見た信長、秀吉、家康の姿を粛々とした筆致で書き上げたデビュー作。

身近にも範とすべきもののふはいる。言うまでもなく、あるじ利家である。が、だれにもおとらぬつもりで敬愛し、尊んでもいるものの、あまりにもおのれとのちがっていて、手本にするのはどうにもむずかしい。

なればこそ、あこがれる。なればこそ慕わしいのである。

加賀百万石の礎を築いた忠臣・長頼の本分。


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黛家の兄弟 [book] [砂原浩太朗]

sample1.jpg砂原浩太朗/講談社/お薦め度 ★★★★

復讐劇!?

黛家は代々筆頭家老の家柄、長兄・栄之丞、次兄・壮十郎、末弟・新三郎の三兄弟。当主は黛清左衛門。

栄之丞は藩主の次女を嫁に迎え、新三郎は大目付の黒沢家に婿入り。次兄の壮十郎だけが無頼の輩・・・

次席家老、漆原内記の次男・伊之助も壮十郎と同様、無頼の輩。「雷丸」などと大仰な名のりをあげている。ちなみに壮十郎の徒党は「花吹雪」。

輩同士が刃を向けあい、漆原の次男が壮十郎の刃に倒れる。黛家と漆原家の対立が大々的に表面化する。

壮十郎の裁きは大目付・黒沢家の新三郎の役目とあいなり、何とか次兄を軽罪に処したいと画策するも、漆原内記の絡め手にやられ、次兄に切腹を申しつけるはめとなる。

十三年のときが経ち、新三郎は舅の織部正を名のり、大目付として漆原内記の子飼い?として働き、長兄は清左衛門を継ぎ、次席家老、普請奉行として漆原に反目しながら役目をこなしている。神山旛は漆原家一強と化していた。

台風による河川の氾濫、改修工事、普請奉行の役目、本家から姫を迎える婚儀、大目付としての下働き、の最中、十数年温めていた計画が実行に移される・・・

兄弟愛を粛々と詠った秀作。



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高瀬庄左衛門御留書 [book] [砂原浩太朗]

sample1.jpg砂原浩太朗/講談社/お薦め度 ★★★★

直木賞候補作

何とも洒落た題名、「御留書」、いまで言う備忘録?、とは・・・

息子、啓一郎、を亡くしてからの二年間を綴った御留書。

物語のクライマックスは郡方、庄佐衛門の管轄地は富地、一方隣村は天領地とはいえ貧地、隣村から強訴が起こり、庄屋屋敷に庄左衛門らが囚われの身となってしまう。

強訴であれば城下に繰り出すのがふつうなので、庄屋屋敷を取り囲むなど聞いたこともない。それに加え、強訴組のなかにかつて道場に通っていた友?の姿が・・・

旛の政争の具の嵐の現場に立たされる庄左衛門・・・

最後は大岡裁きと思われる結末を迎え、すべてがあるべきところへ収まる大団円!?

ハードな側面ばかりではなく、亡き息子の妻、志穂の恋慕の情が庄左衛門の心をざわつかせる?横糸としては申し分なし。

これを機会に何冊か手に取ってみたい作家。



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