SSブログ
前の5件 | -

黒い錠剤 [book] ['24 海外編]

sample5.jpgパスカル・エングマン/早川書房/お薦め度 ★★★☆

スウェーデン国家警察ファイル

若い女性が殺された。元恋人で娘の父親、カリムは仮釈放中で、翌日、刑務所に戻って来た。彼の靴底には女性の血液が付着していた。別れ話に逆上したものだ・・・

事件は解決したも同然、しかし、国家警察殺人捜査課の警部ヴァネッサは狡猾なカリムが証拠を残して刑務所に帰って来たことに疑問を抱く。そんな折り、新聞記者のジャスミナから相談を受けるヴァネッサ。ジャスミナは事件当日、カリムからレイプを受けていた、と。

事件は単純な痴情のもつれではなく、新たな側面を見せ始める。

人気TV司会者、その愛人、路上生活者、元軍人・・が織りなす事件が重層的に描かれ、どこでどう交わるのか先行きが見えない。

事件の終盤、唐突に「インセル」、不本意な禁欲主義者、女性憎悪と結びついた、何万もの男性が匿名掲示板に集う運動、が飛び出し、わたしを困惑させる。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

奇妙な絵 [book] ['24国内編]

sample1.jpgジェイソン・レクーラック/早川書房/お薦め度 ★★★☆

ホラーミステリー

ドラッグの依存症から抜け出したマロリーは相談役の紹介で、マックスウェル夫妻の面接を受ける。5歳の息子テディのベビーシッターとして・・・

無事採用され、客用コテージに住み仕事が始まる。ある日、テディがスケッチブックに書いた奇妙な絵、女の死体を引きずっている男、を見てしまう。

それに続きテディの部屋から聞こえる奇妙な話し声、隣人ミッフィに対するマクスウェル夫妻の反応、マロリーが住むコテージを以前アトリエとして使っていた画家の話・・・

テディの絵はますます不気味さを増し、5歳児のものとは思えないリアリティを帯びてきた・・・

前半はテキストとイラストでホラーたっぷりな展開だが、後半は謎解きへ。

後半はわたし的には少々気に入らない展開になってしまっただけに残念だ。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

内なる罪と光 [book] ['24 海外編]

sample1.jpgジョアン・トンプキンス/早川書房/お薦め度 ★★★★

MWA賞最優秀新人賞候補作

アイザック、生物教師、の息子ダニエルがアメフトの練習に出たまま行方不明となり、数日後、切り刻まれた死体で見つかる。犯人は遺書を残して自ら命を絶った隣家の長男で幼馴染のジョナだった。

冒頭で明らかになる殺人事件。

アイザックのもとに、エヴァンジェリンと名のる少女があらわれる。妊娠している彼女を自宅に招き入れ、奇妙な共同生活が始まる。

物語はアイザック、エヴァンジェリン、ジョナの視点で語らる。

アイザックは離婚で妻に去られ、話し相手は愛犬だけ。拠り所はクエーカーの教え・・・唯一の友?は校長のピーター。

エヴァンジェリンは娼婦の母親から無一文で放り出され、路上生活・・・

ジョナは心を病み自殺で父親を亡くし、母親ロリーと妹と三人で支えあいながら生きてきた・・・

エヴァンジェリンの父親が誰か?ダニエルとはレイプさながらに、ジョナとは似た者同士としてエヴァンジェリンは関係をもった。

隣同士であるアイザックとロリー、ダニエルはジョナに殺され、加害者と被害者の両親としてどう向き合えいばいいのかわからないまま反目。エヴァンジェリンはロリーを頼り、ロリーもエヴァンジェリンの力になる。複雑に絡み合った糸をほぐし、再生していくのかが本書のテーマ。少々重いが、読者をひきつける一冊。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

テラ・アルタの憎悪 [book] ['24 海外編]

sample5.jpgハビエル・セルカス/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

CWA賞最優秀翻訳小説賞受賞作

主人公メルチョールは、十代の頃、麻薬カルテルの手先として逮捕、投獄されてしまう。獄中で「レ・ミゼラブル」との出会いと母が殺されたことが相まって、警察官を目指す。何と言う設定・・・

弁護士、娼婦だった母親の客?父親?、ビバレスの協力を得、無事警察官となった。彼を一躍ヒーローにしたのは四人のテロリストを射殺した事件。警察上層部はテロリストの復讐を恐れ、メルチョールを田舎町、テラ・アルタへ異動させた。

事件はそんな田舎町で起こる。町一番の富豪であるアデル美術印刷の社長夫妻が拷問の末、惨殺された。日本でいう帳場がテル・アルタ署にたち、メルチョールも捜査本部に召集される。

ここからメルチョールが「レ・ミゼラブル」と、母親の死から学んだ彼自身の哲学、正義を貫く不屈の闘志、道義を求め悪を忌み嫌う、が捜査に色濃く反映される。そんなメルチョールに署長が、「正義は善だ。しかし、極端な善は悪に転じてしまう。もうひとつ。正義とは、単なる内容の問題ではない。なによりも、形式の問題なのだ。正義の形式を尊重しないことは、正義を尊重しないと同じなのだ・・・絶対的な正義は、絶対的な非正義にもなり得る」ことをおぼえておけ、と。

最後の最後にメルチョールに付きつけられる正義とは何か、悪とは何か・・・哲学的なスペイン・ミステリーだ。


nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:

ロング・プレイス、ロング・タイム [book] ['24 海外編]

sample1.jpgジリアン・マカリスター/小学館/お薦め度 ★★★★

タイムリープ・ミステリー

タイムリープ:意識のみが時空を移動する。時空を飛び越える

離婚専門の弁護士のジェン、内装業者の夫ケリー、18歳の息子トッド、平凡で幸せな生活を送っていた。10月30日の深夜、ジェンが窓越しに見たのは、息子が見知らぬ男を刺殺するところだった。

ケリーと現場に駆け付けるジェンはなすすべもなく、トッドは逮捕されてしまう。眠りについたジェン、目覚めると10月28日の朝に戻っていた。

それ以降ジェンは目覚めるたびにタイムリープしていく・・・

少しづつ事態が飲みこめてくると、何とかして息子の殺人を事前に食い止める事が出来ないかと思案する。

息子の部屋で見つけた警察手帳、行方不明の赤ん坊が載った古い張り紙、プリペイド式携帯電話が事件の鍵を握る。

どこまでタイムリープすれば息子の殺人事件を阻止できるのだろうか?

伏線回収、トッドに対する罪悪感、夫の知られざる過去・・・怒涛のタイムリープ。

タイムイリープ・ミステリー+家族愛の物語。



nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の5件 | -