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阿片窟の死 [book] [アビール・ムカジー]

sample5.jpgアビール・ムカジー/早川書房/薦め度 ★★★★

シリーズ第三弾

1921年12月、英領カルカッタ。阿片窟で夢心地のウィンダム警部、夢を破ったのは警察のガサ入れ。中国人女の道案内で難を逃れるが、目の前に現れたのは両眼をえぐられ腹を刺された男だった。

当然事件になっているはずだと思いきや、死体の目撃情報はなし。

更に別の場所で同様の死体が発見される。被害者は看護婦・・・

インド帝国警察は事件より優先順位の高い事柄を抱えていた。ガンジーが唱える非暴力不服従運動が激化するなか、エドワード皇太子、大英帝国の王位継承者、がカルカッタ入り、歓迎会、ガーデン・パーティーが催される予定になっていた。

インド人部長刑事パネルジーの家族は非暴力不服従運動に傾倒するなか、職務と私情の狭間で揺れながら、ウィンダムのサポートにまわる。

三人目の被害者、次のターゲットと思われる人物の失踪、復讐、マスタード・ガス・・・ウィンダムとパネルジーはふたつの難問を片づけることが出来るのか!?

歴史ミステリーとしてこの時代を選択したことは大正解!


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マハラジャの葬列 [book] [アビール・ムカジー]

sample5.jpgアビール・ムカジー/早川書房/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾

「カルカッタの殺人」に続く本書。

主人公はインド帝国警察の英国人警部、ウィンダム。相棒はインド人部長刑事のパネルジー。

ふたりの眼に前で藩王国サンバルブールの王太子が射殺される。その数日後、再び犯人を追いつめるウィンダム、しかし、犯人は自分に向かって引き金を引いた。

犯人の額の印、遺留品からサンバルプールに何らかの繋がりがあるように思われ、ふたりはサンバルプールへ。

時代は1920年、日本で言えば大正九年、一昔前の大奥のような後宮、年老いた第一婦人、若き第三婦人、遊び人の第二王子・・・宰相、側女、宦官・・・英国の常識が通用しない状況でなかなか捜査は進まない。

次なる犠牲者が・・・

第一夫人の「、真実と結果は別物です。貴人がかならずしも賢者でないと同様、真実はかならずしも正義ではありません」、言葉がこの時代のインドを如実にあらわしている。

インドの風を存分に感じる作品。


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カルカッタの殺人 [book] [アビール・ムカジー]

sample5.jpgアビール・ムカジー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

CWA賞ヒストリカル・ダガー賞受賞作

舞台は1919年のカルカッタ、インド帝国警察に赴任したばかりのウィンダム警部、スコットランド・ヤードの敏腕警部、第一次大戦に従軍、三年半もちこたえ、終戦直前に被弾、生死の淵をさまよう。同時に流行病で最愛の妻を亡くす。

かつての上司からの誘いでイギリスに未練のないウィンダムは新天地をめざした。

右も左もわからないウィンダムの部下はケンブリッジ大学卒のしゃいなバネルジー、白人とインド人コンビ・・・

彼らが出くわす事件は、イギリス人の高級官僚がインド人居住区でタキシードを着たまま、喉を掻き切られ、胸を刺され、口に紙切れを突っ込まれた惨殺死体。

少数の白人が3億人のインド人を支配する構図、人種差別、虐待、不公平・・・殺された官僚の混血の秘書がウィンダムに吐露する。「・・・来たばかりのころはおおらかで、善意に満ちているのに、しばらくすると、斜に構え、料簡が狭くなる。以前からここにいる者に感化されて、イギリス人の優越性を信じ、劣等民族と親しくしちゃいけないと思いはじめる。そして、現地の人間をさげすむようになる。白人以外のすべての者を見下すようになる・・・」

ウィンダムとバネルジーは分け隔てのない捜査を開始する。

時代背景が孕む複雑な政情、インド人の憤懣が頂点に達する、それを武力で抑えつけようと暗躍する諜報機関、と立場を超えたウィンダムとバネルジーの友情、さすがヒストリカル・ダガー賞受賞作!

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