SSブログ

カルカッタの殺人 [book] [アビール・ムカジー]

sample5.jpgアビール・ムカジー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

CWA賞ヒストリカル・ダガー賞受賞作

舞台は1919年のカルカッタ、インド帝国警察に赴任したばかりのウィンダム警部、スコットランド・ヤードの敏腕警部、第一次大戦に従軍、三年半もちこたえ、終戦直前に被弾、生死の淵をさまよう。同時に流行病で最愛の妻を亡くす。

かつての上司からの誘いでイギリスに未練のないウィンダムは新天地をめざした。

右も左もわからないウィンダムの部下はケンブリッジ大学卒のしゃいなバネルジー、白人とインド人コンビ・・・

彼らが出くわす事件は、イギリス人の高級官僚がインド人居住区でタキシードを着たまま、喉を掻き切られ、胸を刺され、口に紙切れを突っ込まれた惨殺死体。

少数の白人が3億人のインド人を支配する構図、人種差別、虐待、不公平・・・殺された官僚の混血の秘書がウィンダムに吐露する。「・・・来たばかりのころはおおらかで、善意に満ちているのに、しばらくすると、斜に構え、料簡が狭くなる。以前からここにいる者に感化されて、イギリス人の優越性を信じ、劣等民族と親しくしちゃいけないと思いはじめる。そして、現地の人間をさげすむようになる。白人以外のすべての者を見下すようになる・・・」

ウィンダムとバネルジーは分け隔てのない捜査を開始する。

時代背景が孕む複雑な政情、インド人の憤懣が頂点に達する、それを武力で抑えつけようと暗躍する諜報機関、と立場を超えたウィンダムとバネルジーの友情、さすがヒストリカル・ダガー賞受賞作!

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。