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父がしたこと [book[ [青山文平]

sample1.jpg青山文平/KADOKAWA/お薦め度 ★★★★

医療時代小説

目付、永井重彰は父、元重、小納戸頭取、に向坂清庵先生、在村医、から何か聞いておらぬかと尋ねられた。

聡明な藩主が若い頃から病んでいた痔ろうを居並ぶ漢方の旛医を差し置いて蘭方外科のメスを受けられると、しかも全身麻酔で・・・

向坂清庵は重彰にとっては息子の命を救ってくれた大恩人。

漢学と蘭学がせめぎ合うなか藩主の決断に元重は一計を案じる。手術は内聞に行い、江戸から名医を呼んだことにし、執刀は清庵、付添は元重、重彰が行う、と。

手術は成功、術後の経過も良く一安心のなか、元重が隠居を願い出、重彰が跡を継ぐ。そんな折り事件は起こる。清庵が薬草採取に出かけた山中で行方不明に・・・

事件の結末は、武士が護るべきは主君か家族か。青山文平は種明かしはしてくれなかったけれど、これが事件の鍵を握るとしか思えない。藩主が重彰に語る。「いま藩主である余が考えていることは二つ、一つは、己れの性癖をせいぜい民の安寧な暮らしに寄与するように律することである。もう一つは、言わん」。



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