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大江戸奇厳城 [book] [芦辺拓]

sample1.jpg芦辺拓/早川書房/お薦め度 ★★★☆

伝奇小説!?

頭脳明晰な”ちせ”、男装の”浅茅”、阿蘭陀人との間に生まれた”アフネス”、お家騒動から逃れた”喜火姫”、武芸百般の”野風”・・・

前半は五人の少女の連作短編、「オーシャンズ11」ならぬ「オーシャンズ5」!?

後半は「宇内混同」、世界征服計画、を目論む巨悪が歪んだ思想のもとに「奇厳城」、フランス国のそれの如く天工の産物にあらず、を一夜して築く。その根城に五人が飛び込み対峙する「ミッション・インポッシブル」!?

前半を受けて後半五人がもっと活躍する姿を読みたかったが、作者の思い込みが大きすぎて状況説明、うんちく、蛇足?に頁が割かれ、五人の影が薄くなってしまった・・・

「大鞠家殺人事件」の作家がなぜ?と思いながら読み進み、あとがきを読んで、芦辺拓のやりたかったのは「時代劇小説」、「時代劇時代」、考証的に誤りとされるアイテムをあえて選び、”大江戸”を取り戻そうとする試みだったようだ。

作者は充分愉しんだことだろうが、果たして読者は?


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大鞠家殺人事件 [book] [芦辺拓]

sample1.jpg芦辺拓/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

「ミステリーが読みたい!2023年版」国内編第三位

戦火の昭和18年、大阪船場、化粧品販売で富を築いた大鞠百薬館の長男、軍医として出征、に嫁いだ軍人の娘、美禰子は、夫の帰りを大姑、小姑のいる大鞠家で待つことを選択する。

大鞠家の二代目である千太郎は明治39年、パノラマ館から忽然と姿を消し、妹の喜代江が丁稚を婿さんに迎えた。その長男が軍医、三代目を継ぐ予定の二男、茂彦は長男同様出征中、長女、月子と二女、文子がいる。

大鞠家で起きる惨劇、長女の月子が刺され、一命を取り留めたが、なぜか血のりを塗られ発見される。それに続き二代目の婿さんが縊死?祖母の死、酒樽の中で溺死する義母・・・

大鞠家から一人減り、二人減り、三人減り・・・横溝正史ばりのおどろおしさはないが、淡々とした筆致に好感がもてる。わたし的には初めて手にする作家だが、お薦め度は高い。



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