大江戸奇厳城 [book] [芦辺拓]
芦辺拓/早川書房/お薦め度 ★★★☆
伝奇小説!?
頭脳明晰な”ちせ”、男装の”浅茅”、阿蘭陀人との間に生まれた”アフネス”、お家騒動から逃れた”喜火姫”、武芸百般の”野風”・・・
前半は五人の少女の連作短編、「オーシャンズ11」ならぬ「オーシャンズ5」!?
後半は「宇内混同」、世界征服計画、を目論む巨悪が歪んだ思想のもとに「奇厳城」、フランス国のそれの如く天工の産物にあらず、を一夜して築く。その根城に五人が飛び込み対峙する「ミッション・インポッシブル」!?
前半を受けて後半五人がもっと活躍する姿を読みたかったが、作者の思い込みが大きすぎて状況説明、うんちく、蛇足?に頁が割かれ、五人の影が薄くなってしまった・・・
「大鞠家殺人事件」の作家がなぜ?と思いながら読み進み、あとがきを読んで、芦辺拓のやりたかったのは「時代劇小説」、「時代劇時代」、考証的に誤りとされるアイテムをあえて選び、”大江戸”を取り戻そうとする試みだったようだ。
作者は充分愉しんだことだろうが、果たして読者は?
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