アルモニカ・ディアボリカ [book] [皆川博子]
皆川博子/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
前作「開かせていただき光栄です」の続編
天使が空を舞う?10数年前に閉鎖された採石場の坑道から屍体が発見される。空を舞った天使とは別物!
盲目の治安判事、ジョン・フィールディング、が発行人を務める犯罪摘発情報新聞に広告掲載依頼が舞い込む。天使が舞った事件で発見された屍体に、<ベツレヘムの子よ、よみがえれ!>の文字と<アルモニカ・ディアボリカ>の署名があったことの情報を求めて・・・
早速、取材?捜査?に向かう面々から物語はスタートする。
物語の肝、<アルモニカ・ディアボリカ>とは<魔法のハーモニー>と呼ばれるガラスと水で奏でられる楽器。その楽器によってもたらされた禍とベツレヘムの聖マリア精神病院、別名ベトランでの悲劇が重層、読者をどんどん引き込んでいく。
前作で出奔したエドとナイジェルが絡み、物語は混迷の度を深めていく・・・
治安判事としての責務を果たさねばならんが、安らかに過ごして欲しい人々もいる。その人々を犯罪人とすることが出来るのか。狭間で揺れるフィールディング。
大岡裁き?のキーワードは「新大陸戦争」!?
御年、84歳の著者、老いて益々創作意欲旺盛、前作同様愉しめる一冊です。
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