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変調二人羽織 [book] [連城三紀彦]

sample1.JPG連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★

処女短編集

表題の「変調二人羽織」のほか四編が収録されている。その中の一編「依子の日記」は「連城三紀彦 レジェンド」/講談社で綾辻行人が最初に紹介している作品。

噺家・伊呂八亭破鶴は大みそか、自分を恨んでいる五人をホテルに集め、生涯最後の独演会を開いた。

演し物は「盲目かんざし」。二人羽織の見せる芸に仕立て直し、手だけの演技はたった一人の弟子・小鶴が受け持つ。事件は下げに落ちる前に起きた。

行燈一つのほの暗い明りのなか、破鶴はガラスのかんざしで心臓を一突きされ、亡くなる。観客の五人全員は破鶴から一定の距離をとった場所で噺を聞いていた。どうやって自分の手を近づけず破鶴を刺殺したのか?

担当刑事と元部下の往復書簡で話を綴り、現場にいない車椅子探偵役を元部下が演じる。冒頭の東京の空を鶴が舞ったというニュースを落ちに使うという手の込んだ?作品。


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連城三紀彦 レジェンド [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★

四人によるアンソロジー

選者は連城三紀彦を敬愛する綾辻行人、伊坂幸太郎、小野不由美、米澤穂信の四人。夫婦でファンとは・・・

綾辻行人が選んだ「親愛なるエス君へ」は、パリ人肉事件、犯人は日本人留学生、を題材?にした驚愕の作品。初めて食する連城作品!

個人的には米澤穂信、伊坂幸太郎お薦めの「花衣の客」、「母の手紙」がお気に入り。一行にして物語を反転させる「連城マジック」さく裂。

コスパの高い一冊ですぞ。巻末の綾辻行人と伊坂幸太郎の対談もファンにとってはたまりません。


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宵待草夜情 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

十八番の短編集

時代は明治から終戦まで、五人の女、篠、杉乃、鈴子、鴇子、葉子、を主人公にした哀切な愛の物語。

表題の「宵待草夜情」はカフェの女給・鈴子との行きづりの愛。能楽師の継母・篠との異形の愛は「能師の妻」、バーのマダム・葉子の男を繋ぎとめる小さな嘘から始まる「未完の盛装」・・・どれをとっとも上手い!

しかも最後の最後に、一瞬にして読者を欺くマジックは読んでいて「気持ちいい!」。まさに「ミステリーの天才」ですね。

「戻り川心中」、「夕萩心中」と同系の一冊です。


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小さな異邦人 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

8編収録の短編集

「このミス」2014ベストテン国内編4位。

表題作「小さな異邦人」は十八番?の誘拐劇。連城の誘拐劇と言えば、「造花の蜜」、「人間動物園」などがあげられる。こちらは短編ならではの一編。

母と8人の子どもたち。「子ども」を誘拐したと・・・しかし、家族全員が揃っているのに誰が誘拐されたのか?

交換殺人をテーマにした「蘭が枯れるまで」、封印した父の死を呼び起こす孫「白雨」・・・収録作すべてが秀逸な一冊!


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女王 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★

歴史ミステリー!?

「このミス」2014ベストテン国内編8位

十二歳までの記憶が欠落している私。しかし、関東大震災、太平洋戦争の記憶があった。戸籍上は昭和24年生まれ、自殺したと思われる考古学者の祖父と二人で生活を送っていた。

過って、治療を受けていた精神科医の瓜木先生から、東京大空襲であなたにあったと告げられる。

祖父・祇介、父・春生の残した資料、日記を手掛かりに瓜木先生、祖父の弟子だった妻・加奈子と祖父の死の真相探しを始める私。

祖父と妻、祖父の助手と妻の関係に南北朝の動乱、邪馬台国の謎が絡み、物語は闇の中へ。

いつしか卑弥呼の物語が現実味を帯びるに至り、読者は更なるめまいを覚える。

エレベーターのように時代が昇ったり、降りたり、人物が時代を昇ったり、降りたりと連城マジック健在の一冊!


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夕萩心中 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★☆

四編収録の短編集

いきなり連城マジックさく裂の「花緋文字」。前半は奥手の帝大生vs女たらしの帝大生、後半は奥手の帝大生の血のつながらない妹が女たらしの帝大生に絡み、自害。しかも妊娠していた・・・奥手の帝大生の復しゅう劇と思いきや計算された完全犯罪!?

表題の「夕萩心中」は官僚の妻とその書生の心中事件。前半は哀切な恋愛物語、後半は心中と内相の死に絡む夫。大仕掛けなマジックが待っている。

「菊の塵」、これが一番ミステリーっぽい作品。軍人の自害を解き明かす居候。時代背景という大きなトリックに驚愕。秀逸な作品!

ここまでは「戻り川心中」同様の哀切なレトロ浪漫。出色の出来栄え。

最後の「陽だまり課事件簿」は蛇足!


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人間動物園 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/双葉社/お薦め度 ★★★★

趣を異にする誘拐劇!?

都市機能が麻痺するほどの大雪のなか、汚職事件の渦中にいる大物政治家の孫娘が誘拐される。自宅の至るところに盗聴器がしかけられ、身動きがとれない警察。自宅に取り残された母親と警察の通信手段は筆談のみ。

一方、夫は身代金、一億円、を出してもらうべく確執のある父親の元へ。

前日起こった奇妙な犬の誘拐、山羊のひき逃げ。自宅の浴槽から発見されるネコの死体に追いつめられていく母親。隣家で待機する警察は母親を刑事と入れ変える作戦に出る。

一億円の身代金が到着したものの、中身は白紙の束にすり替えられていたが、犯人は知らないはずだと身代金の受け渡しに向かう。

連城三紀彦の誘拐劇なのですんなり終わるとはだれも思っていないが、用意された結末には賛否両論!?


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戻り川心中 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★☆

五編収録の短編集

大正末期から昭和初期にかけて、浪漫漂う男と女の濃厚?な物語。

表題の「戻り川心中」、二度の心中事件を起こす天才歌人の話。一度めは二人とも助かり、二度めは相手方の女だけ死に至る。その数日後、本人は喉をかき切って自殺。二度の心中を題材にした和歌と歌人の行動を丹念にたどることで歌人の謎の思いを探る。

読了後も鮮烈なイメージが残るのは「桐の棺」。やくざものとその舎弟、兄貴分の未亡人が織りなす濃厚な物語。刑務所のラストシーン、未亡人に面会に行く舎弟、で金網越しにあてた舎弟の手が何とも衝撃的!

「美と騙しの魔術師」そのものの一冊。


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夜よ鼠たちのために [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/宝島社/お薦め度 ★★★★

九編収録の短篇集

どの作品も連城マジック全開!

「何で・・・」、「えっ・・・」、罠にはまる心地よさを味わえる一冊です。

わたし的には「過去からの声」がお薦め。十八番の?誘拐劇ですが単なる誘拐でなはく「玉突き誘拐」?読んでのお愉しみ。長編でも十分耐えられるマジックを惜しげもなく短編で使うわけですから、おもしろくないわけがないでしょ!

表題の「夜よ鼠たちのために」もお薦めです。こちらはミスリードの妙・・・

満足度120%、復刊されたのも納得です!


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私という名の変奏曲 [book] [連城三紀彦]

sample1.jpg連城三紀彦/双葉社/お薦め度 ★★★★☆

1984年、昭和59年刊行

交通事故にあい顔に大けがを負い、整形手術で完璧な顔を得、世界的なファッションモデルにまでのし上がった美織レイ子。のし上がる過程においてレイ子が憎むべき七人の男女がおり、その七人がレイ子を殺したいほど憎んでいた。

レイ子の死を七人の男女がレイ子を殺したのは自分だと信じている。レイ子、ひとりを七人が殺した・・・

なんともすごいプロット!それぞれの憎愛劇をミステリーとしてどう収斂させるのか?怒涛の結末はまさに連城ワールド!?

再評価されてもいい「ミステリーの天才」の秀作!


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