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魔王 [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/講談社/お薦め度★★★★

講談社のホームページに、「自分の読んだことのない小説が読みたい。そんな気持ちで書きました」、と。

何なんだろうか? 超能力と政治、こんな題材を一緒にして本にするなんて、何て才能! 結構おちゃらけかと思いきや、憲法九条なんかが出てきて、改憲だ、護憲だ、国民投票だと。カリスマ首相の名前が犬養!しっかり犬養毅を最後に登場させたりして・・・結構風刺も効いていて、何だか分からないけど、結局、伊坂ワールドにはまってしまった。そんな感じかな。

最後のページに記された、「・・・未来は晴朗なものなのか、荒廃なのか・・・でも俺は勝つよと誰に弁解するつもりなのかそう言った。そういえば、お兄さん、元気ですか?私は声に出さず、訊ねている。マンションの外で、いるはずのない鳥が鳴くのが聞こえた」

このフレーズがすべてをあらわしているのかな!? 宇宙人・伊坂幸太郎、面目躍如!


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死神の精度 [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/文芸春秋/お薦め度★★★★

私たち死神は、自殺や病死には関与していない。たとえば、「不意に車に轢かれて」であるとか、「突然現れたと通り魔に刺されて」であるとか、「山の噴火で、家が押し潰されて」であるとか、そういった死については私たちが実行しているのだが、それ以外のものとは関係がない。だから、進行していく病や、自らの罪によってもたらされる極刑や、借金苦からの自殺などは、「死神」とは無関係なのだ。自分たちが時折、「癌という死神に蝕まれて」などというレトリックを使うと、「一緒にしないでくれ」と私たちは憤りを感じる。

六篇収められている本書、短編だが伊坂幸太郎のセンスを随所に感じさせる。

自分の孫と面と向かって会いたくないのでお客を呼んでこさせたり、殺人を犯し逃亡中、トラウマがもとで、誘拐犯と違えてぼこぼこにしたり、と。

淡々とした筆の運びだが、いつしか伊坂ワールドへ!


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ラッシュライフ [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/新潮社/お薦め度 ★★★★

著者リストでいえば、「オーデュボンの祈り」と「陽気なギャングが地球を回す」の間にはさまれた一冊。わたし的には、伊坂ワールドの原点は本書にあり、と。

まず、完成したジグソーパズルを地面にばらまく。ばらまかれた何ピースづつかのかたまりに番号をふる。その番号にそって再度、物語を組み立てる。そんなワールドが伊坂なのかなという気がする。

当然アットランダムに組み立てられた物語に時間軸は存在しない。それが物語を難解におもしろくする。一見無関係ないくつかの物語が、いつしかひとつに修練される。言い換えれば時間軸を越えた物語が、いつしかもとのジグソーパズルに戻っていく。

最新刊、「グラスホッパー」で同様のワールドを展開、完成させたが、残念ながら直木賞は逃してしまった。

来月、「死神の精度」が刊行される予定。ぜひ期待したい!


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グラスホッパー [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/角川書店/お薦め度 ★★★★★

直木賞を逃したあとなのに・・・

角川書店のホームページに3つのPOPが用意されていました。「内向的な殺し屋小説になりました」、「漫画でも映画でもなく小説ならではの殺し屋の話を書いてみました」、「コメディ?シリアス?ミステリー?オフビート?何だか不思議な殺し屋たちのお話になりました」

それぞれ立場の異なる三人の殺し屋、鈴木、蝉、鯨。無理やり殺しを命じられるはめになる、元教師の鈴木。一家皆殺しの依頼を終えたばかりの蝉。自殺に見せかける、「自殺屋」の鯨。

その三人が「押し屋」をめぐる事件の中心へ吸い込まれていく。絶好調というしかない伊坂ワールド!

3つのPOPのどれがぴったりだったでしょうか。


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陽気なギャングが地球を回す [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/祥伝社/お薦め度 ★★★★☆

四人の銀行強盗団。人の嘘を見抜く人間嘘発見器、妙ちきりんな演説師、天才的なスリ、体内時計を持つ女ドライバーという組み合わせ。彼らはまんままと銀行強盗に成功するが、逃走中に、現金輸送車襲撃一味と遭遇。なんと銀行から奪った現金を強奪されてしまう。何ということか・・・

四人組みは現金の奪還を図ろうとすが、体内時計を持つ女ドライバーの息子がいじめに巻き込まれ、死体が出現したり、札付きの悪の登場やらで、事態はますますぐじゃぐじゃ。

デビュー作とは趣を異にするギャング物語だが、斬新な発想と豊富な引用による軽妙洒脱さは一段と磨きがかかったように思える。著者の目指すもの、「・・・地上からわずか何センチういているような物語・・・現実的な寓話みたいなものを楽しんでもらいたいと考え書いています・・・実じゃなくてもいいじゃないか・・・」、が鮮明になりつつあるようです。


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重力ピエロ [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/新潮社/お薦め度 ★★★★★

なんでこれが直木賞じゃないの!?

三人の父子が連続放火&落書き事件の謎を追う。本書の語り手-―泉水+泉水の弟―春。天才的な絵画の才能の持ち主、彼の出生には秘密が、亡き母がレイプ犯に襲われ生まれた子供+死期を悟りながら強い精神力で平静を保つ父

泉水のもとに春から、「泉水の勤める会社のビルが放火事件に被害にみまわれる」という予言めいた連絡が入る。春の予言どおり放火事件が起きた。春は落書き消しを生業として、落書きの残された現場と放火事件の現場に因果関係があるという。さらに落書きには暗号めいたメッセージが秘められている!?

春、泉水、入院中の安楽イス探偵の父を交え、暗号の謎解きが始まる。

前作を上回る引用の数々。前作「陽気なギャングが地球を回す」では、巻末の[参考・引用文献]で紹介があった文献は十冊。本書の場合は、なんと二十六冊。これらを引用した洒脱な会話に伊坂幸太郎の真骨頂があらわれている。

前作と本書は並行して書かれている。「・・・毎日、ギャングを描いた後にピエロを、と交互に書いていましたので、反動があったのも知れませんね。片方ではユーモア調のクライムを描きたくて、もう片方では僕の好きな”青春小説”を描きたいと思ってやっていました」

また伊坂作品から”仙台”という土地に対する愛着が感じられることについて、「・・・僕自身が住んでいるだけに、ウソがつきやすいんですよ。たとえば、僕が博多を舞台に小説を書いたら、地元の人から”博多はそんな町じゃない”といわれちゃうでしょ。でも仙台だったら何を言われても、わかったうえでウソをついているといえるじゃないですか」

やっぱり、なんでこれが直木賞じゃないの!?


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オーデュボンの祈り [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

殺”カカシの優午”事件。人語を操り、未来が見えるカカシが殺される。

コンビニ強盗に失敗し、逃走中の伊藤は、見知らぬ”荻島”にいた。そこは江戸時代以降、尚も鎖国状態を続けている不思議な島。そこに住む人間も奇妙な人ばかり・・・嘘しか言わない作家、殺人を許された男、未来が見えるカカシ・・・

伊藤は思いつく、未来が見えるカカシがなぜ自分の死を防げなかったのか?他人に殺されることを伝えなかったのはどうしてなのか?

奇妙な謎をめぐる予測不能な展開と会話の楽しさ(洒脱な、ウンチクある、複線、引用・・・)で、人を喰った軽妙洒脱な調子で殺”カカシの優午”事件は進む。

本作品に関する質問に、著者は、「じつはこの作品、書き上がるまでに二年くらいかかっているんです。最初の一年でいったん書き上がっているんですが、何度も何度も納得いくまで直しまして・・・ですから自分としては本当に満足な作品に仕上がったつもりです」、と。ならば、こちらもじっくりと楽しみたい!

表題の「オーデュボン」とは、「アメリカの鳥」という自分の描いた鳥の図鑑を出版したアメリカ人、ジョン・ジェームス・オーデュボンのこと。


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チルドレン [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/講談社/お薦め度 ★★★★☆

直木賞候補にノミネート。残念ながら今回は見送り。同じ仙台在住の熊谷達也、「邂逅の森」が受賞。

連作短編集に見せかけた長編小説!?

イントロの「バンク」には脱帽。銀行強盗の人質にされてしまい両手両足を縛られた陣内と鴨居。そこで陣内の発した言葉、「ギターを弾かせろよ」。しばらくして陣内が歌いはじめる。ジョン・レノンの離婚の際に、ポール・マッカートニーが作ったという、あの曲。

ここから二人の物語は始まる。


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アヒルと鴨のコインロッカー [book] [伊坂幸太郎]

伊坂幸太郎/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

物語は<現在>と<二年前>が並行する。

<現在>とは「一緒に本屋を襲わないか」引っ越してきた途端、悪魔めいた長身の美青年・河崎から強盗計画を持ち掛けられた僕こと椎名。標的はたった一冊の広辞苑!?

<二年前>ブータン人留学生のドルジと、その恋人・琴美は、頻発するペット殺し事件の犯人グループと遭遇、逃げ出したふたりだが、琴美の住所が書かれた定期券を落としてしまう。

ふたつの物語をつなぎあわせるのが河崎。ドルジの友人でもあり、琴美に過っての恋人でもあった。

河崎が狙う広辞苑は、ドルジの日本語学習のため・・・ 軽妙・洒脱な会話、人を喰った物語・・・どれをとっても伊坂ワールド!


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