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マンハッタンの怪人 [book] [~'23海外編]

sample11.JPGフレデリック・フォーサイス/角川書店/お薦め度 ★★★★

「オペラ座の怪人」の続編を書こうというアイデアは、同名のミュージカルの音楽を担当し、台本づくりにも協力した天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェーバー氏と初めてお会いし、そのとき交わした会話から生まれたものです。アンドュー・ロイド=ウェーバーといえば「キャッツ」。

十九世紀、パリ。オペラ座の地下に潜み、心を閉ざしたまま闇の世界を支配する怪人。男はその醜い容姿ゆえに、それまで愛というものを知らなかった。オペラ座の歌姫に生涯ただ一度だけの恋をするまでは。だが、ある晩、あの運命の事件は起こり、男は傷ついた心を抱え、忽然と闇へ消えた。その行方は杳として知れなかった。ここまでが「オペラ座の怪人」のあらまし。

忽然と消えた怪人のもとへ十三年ぶりに一通の手紙が届くところから「オペラ座の怪人」の完結編はスタートする。

怪人エリックと歌姫クリスティーヌ・ダーエの第二章の結末はいかに・・・フォーサイスらしい結末が準備されている!?

フォーサイスの恋愛小説とはどんなものか?

2000/03


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ザ・チェーン 連鎖誘拐 [book] [エイドリアン・マッキンティ]

sample1.jpgエイドリアン・マッキンティ/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

いままで読んだことがない小説!?

レイチェルの娘、カイリーが誘拐された。犯人の要求は身代金と別の誰かの子供を誘拐することだった。レイチェルが誘拐に成功すれば犯人の子供は解放される。もし失敗すれば犯人はカイリーを殺す。

誘拐された子供の親は誘拐という犯罪に手をそめる以外、子供を助けることは出来ない。そういうシステムが<チェーン>なのだ。

レイチェルはカイリーを救うため身代金を支払い、誘拐リストを作成、行動を開始する。その手伝いを元夫の兄、ピート、元軍人、がすることになる。

他の子供を誘拐し、カイリーを助け出すレイチェル、手に汗握る展開の第一部、続く第二部はチェーンの全貌が見え、自身と娘のために敵に立ち向かうレイチェルの姿が描かれている。

第一部はスリラー、ノワール、第二部はアクション、一気読みの一冊!


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警部ヴィスティング カタリーナ・コード [book] [ヨルン・リーエル・ホルスト]

sample1.jpgヨルン・リーエル・ホルスト/小学館/お薦め度 ★★★★☆

ペトローナ賞受賞作

24年前の失踪事件、失踪したのはカタリーナ、に寄り添うヴィスティング警部、事件が起きた10月10日、毎年夫のハウゲンを訪ねることが習慣となっていた。

今年もハウゲンを訪ねたが不在だった。異例のことだった。気がかりなまま日付がかわった。

翌日、国家犯罪捜査局(クリボス)の捜査官スティレルがラルヴィック警察を訪れる。26年前に起きた未解決の誘拐事件を殺人事件と断定出来る証拠が集まったとして再捜査を始めることを告げる。

科学捜査の進歩により当時の脅迫状から指紋が検出され、被疑者としてハウゲンの名前があがった・・・

ハウゲンに寄り添ってきたことを逆手に、ヴィスティングは一種の潜入捜査を命じられる。ふたりで山小屋に行くことを通じ、ハウゲンの自供を引き出そうという任務だった。

前作、「猟犬」、同様、ヴィスティングの娘リーネ、フリーのライター、も誘拐事件のルポを書くため別の形で捜査を追う。

ヴィスティングとハウゲンのふたりが山小屋で釣りをしたり、食事をしたりしながら自供を誘導する件は、ヴィスティングの人間臭さが伝わってくる。本書の全体を通して流れる空気感と言ってもいい。物語的にはどんでん返しがあるわけではないが、ストンと胸に落ちる結末が実にいい。

お薦めの一冊!

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贖いのリミット [book] [カリン・スローター]

sample1.jpgカリン・スローター/ハーパーBOOKS/お薦め度 ★★★★☆

シリーズ第八弾

工事現場で元警官の惨殺死体、首にはドアノブの軸が突き刺さっていた。現場は一面血の海だったが鑑識の結果、血液は被害者のものではなく現場から姿をくらました人物のものだと判明する。

現場の車のなかで見つかった銃は特別捜査官ウィルの別居中の妻アンジーのもので、しかも血液型がアンジーと同じだ、と・・・

もうアンジーを愛してはいない。いま一番大事な存在は検死官の恋人サラだが、動揺してしまうウィル。

ウィルとアンジーは同じ養護施設で育ち、姉弟のような特別な存在だった。ウィルはアンジーを探し出すことしか考えられなくなっていた。

小悪女アンジーに引っかき回されるウィルとサラ。

事件は再び、バスケットボール選手マーカス・リッピー、もみ消されたレイプ事件の犯人、と交錯する。

前半はウィルら捜査側の視点で、後半はアンジーの視点で物語はゆっくり進む。最後の最後にあっと驚く仕掛けが待っている力作。

シリーズ第八弾、初めて手にした一冊だったが充分に愉しめた。

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紅蓮館の殺人 [book] [阿津川辰海]

sample1.jpg阿津川辰海/講談社/お薦め度

「このミス・・・」2020年版国内編六位

「読み止し(よみさし)」の一冊

台詞回しが、特に女性の、どうも鼻についてしまって100頁超でギブアップ。残念?でした。


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ダラスの赤い髪 [book] [~'23海外編]

sample1.jpgキャスリーン・ケント/早川書房/お薦め度 ★★★★

MWA賞ノミネート作

ダラス市警麻薬捜査課刑事、ベティ、身長180cm、赤毛、毎日10km位は走る、身体能力抜群の持ち主。

パートナーの女医、ジャッキー、が病気の母親のそばにいるためダラスに引越すことになり、ベティもニュヨーク市警からダラス市警に移る。

麻薬カルテルの実力者を追う捜査課、その足掛かりのガールフレンドが殺され、被害者の髪の毛がベティのランニング中に、寝ていたジャッキーの隣に置かれていた。それに続いて、麻薬カルテルの実力者の頭部がベティ宛に送りつけられた。

上司からは殺人課へ事件を引き継ぐように指示を受けるベティだったが、自分に向けたメッセージだと受け取り、殺人事件に関わろうとする。そんな矢先、麻薬カルテルの実力者の首なしの死体が発見され、地元警察要請を受けてベティが現場へ向かう中、更なる事件は起きる・・・

テキサス州ダラス、南部独特の文化にブルックリン生まれのベティが抵抗する様?が実に興味深い。

物語的にはラスト100頁で緊張感を増すのだが、その増し方が唐突過ぎてついていけない!?MWA賞ノミネート作で良かった・・・


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ハンニバル [book] [~'23海外編]

sample32.JPGトマス・ハリス/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

前作の「羊たちの沈黙」はアカデミー賞主演男優賞、主演女優賞、監督賞・・・を獲得。クラリス役のジョディ・フォスター、レクター役のアンソニー・ホプキンスは脳裏にしっかり焼き付いている。

前作、「羊たちの沈黙」、のあらすじは、ヴァージニア大学で心理学と犯罪学を専攻し、優等生として卒業したクラリスは、”人食いハンニバル”と名づけられた恐るべき狂人ハンニバル・レクター博士と面談する任務を課せられた。その結果得られた情報によって連続殺人犯・ジェイムス・ガムの居場所が判明し、彼にとらわれていた、当時のテネシー州選出上院議員の娘が救出された。

今回は金にあかせてレクター狩りに狂奔する異形の富豪―レクター博士により鼻と唇を欠き、顔には柔らかな肉づけの一切されていない―の触手をかろうじてかわしつつ、返り討ちを図るレクター。彼を追うクラリスもまた、両者の対決に否応なくまきこまれていかざるをえない・・・

レクター博士が暮らしていたフィレンツェの記述部分、ラストのおまけは(ここは想像だにしなかった・・・)フレデリック・フォーサイスを彷彿させる。

ミステリーの世界にサイコ・キラー、プロファイリングを持ち込んだのは著者のトマス・ハリスだ。彼により「サイコ・サスペンス」のジャンルが確立された超お薦めの本書!

2000/04


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medium 霊媒探偵城塚翡翠 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg相沢沙呼/講談社/お薦め度 ★★★★

「このミス・・・」2020年版国内編一位

第一話から第三話は推理作家、香月史郎と後輩を通じ知り合った霊媒、城塚翡翠が力、心霊と論理、を組み合わせ、真実を導き出す連作。

それと共に、インタールード(間奏)ⅠからⅢに、一切の証拠を残さないシリアルキラーの話が並行して語られる。

そのふたつが第四話で一転、第一話から第三話がすべて伏線と化す。ここが本書の一番の肝。

「このミス・・・」国内編一位、本格ミステリー国内編一位、昨年二冠を達成した一冊。確かに第四話でそれまでの物語をすべて伏線にしてしまう荒技は凄いが、第一話から第三話までの謎解きが少々物足りない!?

キーワードは「霊媒探偵城塚翡翠」、これを失念しなければ意外と騙されないかもしれない・・・


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シャドウ・キラー [book] [ヴァル・マクダーミド]

sample252.JPGヴァル・マクダーミド/集英社/お薦め度 ★★★★☆  

主人公のフィオナは犯罪心理学者。ミステリー作家・キットとの共同生活は順調そのもの。キットの友人・スティーブはロンドン警視庁の警視。

事件の発端はキットのもとに届く一通の脅迫状と、彼の同業者、ミステリー作家が殺されたことから始まる。次々に実行される殺人事件。同一犯による連続殺人だということが明らかになってきたとき、次なるターゲットはキットだということがわかる。

そんなとき、犯人と名のる男があらわれ、断定しようとした矢先、キットがいなくなる。フィオナは必然的にプロファイリングを引き受けるはめになる。

犯人は別にいる。フィオナは自分のプロファイリングを頼りに単身、キットの捜索に乗り出す。

プロファイリングという使い古された手法と、ミステリー界という自分の領域を題材に、マクダーミド流の料理がもてなされる。そのお味は満足いくものだと思います。

「処刑の方程式」(前々回紹介)と甲乙つけがたい本書です。

2001/11

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