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レイトショー [book] [マイクル・コナリー]

sample1.jpgマイクル・コナリー/講談社/お薦め度 ★★★★☆

新シリーズ第一弾

ロス市警刑事だったレネイ・バラード、上司を告発申し立てし、敗れ、ハリウッド分署深夜勤務担当に島流しされた。深夜番組、レイトショー、と呼ばれるシフトだ。初動捜査、報告書作成、翌朝になったらしかるべき捜査担当者に引き継ぐのだった。

その夜も年輩の女性からのクレジットカード詐欺の通報、女装男性が暴行を受け昏睡状態、ナイトクラブでの銃撃事件に駆り出される。

女装男性が運びこまれた病院に、ナイトクラブの5人目の被害者が運び込まれバラードが立ち会うことに、被害者は病院につくと同時に事切れていた。バラードの勤務は始まって2時間しかたっていなかった。

事件にかかわりたいバラード、女装男性が辛うじて息をしているため、昼間の時間を削って追跡捜査を始める。

追跡捜査のなかでナイトクラブの事件に警官がかかわっていたとの証言を得るバラード。

ロス市警の元同僚、バラードが告発申し立てをしたときに、意に反した証言をした、が射殺される。そのこととナイトクラブでの射殺事件がつながっているとの前提で捜査を進めるバラードだが、確たる証拠をつかむことが出来ない。

身体をはった危険な単独捜査、持ち前の頭脳を使った駆け引き、悉くバラード忌み嫌う元上司、痛快な一発、爽快などんでん返し・・・どれをとってマイクル・コナリー!

二作目が待たれる新シリーズ。

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ミレニアム5 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]

sample1.jpgダヴィッド・ラーゲルクランツ/早川書房/お薦め度 ★★★★

三部作第二弾

前作でサヴァン症候群の少年、アウグストの命を救ったリスベットだったが、その時の行動が違法行為にあたるとして、懲役二ヶ月の実刑判決を受ける。

収監された女子刑務所では、ギャングの一味であるベニートが所内を仕切り、美貌のファリアを痛めつけていた。珍しく?看過することが出来ないリスベットは看守をも支配しているベニートに立ち向かう。

そんな折、ホルゲン、リスベットの元後見人、がリスベットを訪ねる。ホルゲンの発した、レジストリ―の人間じゃないか?に反応するリスベット・・・

リスベットはまず、刑務所の区画長の弱みを握り、インターネット接続の出来るPCから必要な情報をハッキング、ミカエルに調査を依頼する。

遺伝環境研究レジストリ―という公的機関が画策した科学実験とは?それに翻弄させられた一組の一卵性双生児。リスベットと妹のアニカも研究対象だったとは・・・

前作より更にリスベットの少女時代の謎を掘り下げ、それに絡んだ心理学者に復讐の炎を吐くリスベット。更にファリアの件でベニートは脱走、ファリアの兄弟とタッグを組み、リスペットを急襲。結末は如何に!?

「ミレニアム4」はスティーグ・ラーソンの未完の原稿があった。本書は完全にダヴィド・ラーゲルクランツの手による「5」。「ミレニアム6」ではいまだ解決を見ないアニカとの戦い、本書では触れられていない、はどうなるのだろうか?


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あきない世傳 金と銀8 [book] [高田郁]

sample1.jpg高田郁/角川春樹事務所/お薦め度 ★★★★

シリーズ第八弾

中村座で主役を演じる冨五郎がお練りで、五十鈴屋の江戸紫の小紋染めを纏ったことから、五十鈴屋の小紋染めは江戸っ子の支援を集める。

「吉凶禍福」。江戸の町を麻疹が襲う。五十鈴屋のみではなく、日本橋でも何処でも呉服がまるで売れなくなったのだ。

一難去ってまた一難。お上から上納金、金千五百両、を仰せつかる。何故五十鈴屋が・・・

足掛け三年の「女名前」の猶予期間が迫る中、八代目をどうするのか・・・

小紋染めを町人のものとするための策とは・・・

妹、結、の行く末は・・・

いかなる時も知恵を絞って精進を続ける幸と五十鈴屋であった。


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ミレニアム4 [book] [スティーグ・ラーソン&ダヴィッド・ラーゲルクラン]

sample1.jpgダヴィド・ラーゲルクランツ/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

スティーグ・ラーソンの跡を継いだダヴィド・ラーゲルクランツによる三部作の一作目。昨年末に完結編、ミレニアム6、が刊行されたので手にした一冊。

スティーグ・ラーソンの手によらない続編、なかなか手が出しにくかったが、結論は愉しめた!

経営危機にある「ミレニアム」、ミカエルにもこれといったスクープがない。そんな折り、人工知能研究の世界的権威、バルデル教授が大きな問題を抱えているので会ってほしいというのだ。元アシスタントの話でリスベットが絡んでいると直感したミカエルは行動を起こす。

アメリカのNSA、国家安全保障局、はバルデル教授が犯罪組織と関係する会社から研究成果を持ち出したとして、危険が迫っているという情報を得る。

そのNSAのネットワークにリスベットが侵入していたのだ・・・

リスベットとミカエルが結果として共同戦線をはることになるのだが、なかなか全体像がつかめない。

そこでもうひとりのキーパーソン、バルデル教授の息子、サヴァン症候群の息子、アウグストが登場、特異な才能を活かし教授を殺した犯罪組織の殺し屋を暴きだしたり、リスベットも手に負えない数式を導きだしたり、「レインマン」同様の活躍を見せる。

本書のもうひとつのハイライトはリスベットの少女時代、双子の妹、父親との関係性が語られる件だ。天才ハッカーがどうして生まれたのか・・・

ついつい、キャロル・オコンネルのマロリー、ニューヨーク市警の刑事にして天才ハッカー、を思い浮かべてしまう。

物語は風呂敷を目いっぱい広げ、それを3人の主人公で終結させていく一気読みの続編。第二作、三作でリスベットの双子の妹、カミラ、がどうかかわってくるのかが愉しみだ!?

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殺しの儀式 [book] [ヴァル・マクダーミド]

sample204.JPGヴァル・マクダーミド/集英社/お薦め度 ★★★★☆  

CWA賞受賞作

連続殺人事件発生。共通していることは、犠牲者はすべて男。死体はきれいに洗われ、むごい拷問の跡を残していることだった。市警の副本部長は心理分析官、トニー・ヒルを招集する。トニーとチームを組み捜査にあたるのは女性警部補、キャロル・ジョーダン。犯人は同性愛者か!?

更なる犠牲者が・・・

本書の中にもたびたび登場するプロファイリング。「羊たちの沈黙」のヒット以降、ミステリーの題材として頻繁に取り上げられるようになったが、本書は単なるサイコスリラーではなく、もっと人間臭いドラマに仕上がっている。

日本ではヴァル・マクダーミドの人気はイマイチ?のようだが、イギリスを代表するミステリー作家に間違いない。ぜひ、一読あれ・・・

追伸:本書を読んでから「処刑の方程式」を読むことをお薦めする。★★★★☆→★★★★★の方が・・・

2001/06

タグ:CWA賞 CWA
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刀と傘 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg伊吹亜門/東京創元社/お薦め度 ★★★★

ミステリーズ新人賞を含む連作短編集、「このミス・・・」2020年版国内編5位

尾張藩公用人、鹿野師光、佐賀藩から出京した、後の初代司法卿、江藤新平をホームズとワトソン役に配し、大政奉還から佐賀の乱までの動乱の時代を活かした趣向をそそるミステリー。

特に、最後の「佐賀の乱」は作者としてはしてやったりの一作。新政府内での軋轢で司法卿を辞した江藤新平、そのまま佐賀へ帰せば新政府への不満分子の受け皿になる。それを何とか阻止するよう命じられた鹿野師光がとった武士らしい?驚愕の行動とは・・・

なかなかいけてる一冊、次作を期待したいものです。

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沈黙の少女 [book] [~'23海外編]

sample1.jpgゾラン・ドヴェンカー/扶桑社/お薦め度 ★★★

ありえないドイツ・ミステリー!?

両親の外出中に誘拐された13歳のルチアと弟、2週間後にルチアだけが保護され、それから6年間沈黙を守り続ける・・・

教師のミカはある4人組のグループの一員になるため新しい人格を作り上げ、接触を持ち、グループに加わることに成功する。

ミカの行動は娘をルチア同様誘拐され、復讐の狂おしい執念のみだった。

グループの奇妙な行動、ルチアと弟の2週間・・・4つの物語が意味不明?のまま語られる。

100頁を過ぎるまでこのまま読み進めたらいいのか、と自問を繰り返す。そこから全体像が少しづづ明らかになって行くのだが、フラストレーションはたまるばかり・・・

結末に至ってはありえない!?各紙に取り上げられていたのに「ハズレ」の一冊。


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処刑の方程式 [book] [ヴァル・マクダーミド]

sample199.JPGヴァル・マクダーミド/集英社/お薦め度 ★★★★★  

イギリスとアメリカで評判となった本書、CWA賞、MWA賞ノミネート、ですが、日本での人気はイマイチ!?わたしは大ファンですが・・・

まるで密室状態な閉鎖的な村から13歳の少女・アリスン・カーターが消えた。若きエリート警部・ジョージ・ベネットは少女の捜索に異常な執念を燃やす。アリスンの生存を否定する証拠が次々と出てくる。ジョージは死体なき殺人事件と考え、被疑者を勾留した。

アリスンの死体は発見されることなく公判は維持され、陪審員の出した評決は「有罪」だった。

物語は完結したかのように思えたが、更なる第二部が用意されていた。

35年の歳月が流れ、ジョージは妻の看護のために退官。悠悠自適な生活を送っていた。息子の友人、ジャーナリスト・キャサリンの人柄に惹かれ、35年前の事件の取材を許可することになる。

ここから一挙にクライマックスまでどんでん返しの物語が展開される。もうこれ以上はここでは書けません。

著者の九作目「殺しの儀式」はCWA賞・ゴールドダガー賞を受賞していますが、それをも超えた一冊!?

2001/06


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