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ソロモンの偽証 第Ⅰ部事件 [book] [宮部みゆき]

sample1.jpg宮部みゆき/新潮社/お薦め度 ★★★★

三部作の第Ⅰ部

第Ⅱ部が9月22日、第Ⅲ部が10月12日の発売予定。長編、本書は741頁、だけに発売日をずらした販売戦略。丹念な人物描写ゆえの成せるわざ!?

城東第三中学校、二年A組で起きた自殺?をめぐり、匿名の告発状が校長、担任、父親が刑事の生徒に届く。担任あての告発状は第三者の悪意によりマスコミに流れる。

学校、父母会、生徒、家族、マスコミ・・・を巻き込んだ泥沼状態へ突き進む。本当に自殺だったのか、それとも殺人事件だったのか!?

悪の連鎖、生徒の交通事故死?告発状に名指しにされた生徒宅の放火事件・・・ひとりの女子生徒、父親が刑事、が立ち上がる。自分たちで真実を見つけ出す、と。

to be continue


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おまえさん [book] [宮部みゆき]

sample1.jpg宮部みゆき/講談社/お薦め度 ★★★★

「ぼんくら」、「日暮らし」に続くシリーズ第3弾

盛りだくさんのお話。メイン・ストーリーは、身元不明の死体に続く生薬問屋・瓶屋の主の刺殺事件、源右衛門の見立ては同一犯、しかも遺恨の太刀だと。

捜査に乗り出す井筒平四郎、天才美少年弓之助、政五郎、おでこの三太郎・・・生真面目同心・間島信之輔。加えてサブ・ストーリーには欠かせないお徳、長屋の面々。

瓶屋の大ヒット商品「王疹膏」をめぐる二十年前の事件が大きな影を落とす。

メイン・ストーリーだけを追うとサブ・ストーリーがちょっと煙たいが、そこはミヤベ、サブ・ストーリーの落とし所は流石!

最後の二つの話にからむ弓之助の兄、淳三郎がなかなかいい味を出している。次作でも期待したい。


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あんじゅう [book] [宮部みゆき]

sample2.jpg宮部みゆき/中央公論新社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾・三島屋変調百物語事続

この黒白の間でのお話は、語って語り捨て、聞いて聞き捨てが決まりでございます

表題の「あんじゅう」は、四編収録されているなかの第三話「暗獣」。わたし的には「藪から千本」が気に入っている。

読売新聞朝刊掲載ということで挿絵も一緒になっていることが前作と大きな違い。なかなかユーモラスな挿絵が情景描写をより鮮明にしてくれる。

まだまだ続く三島屋変調百物語、前作はおちかの物語がからめてあったのでプロットは複雑だったが、本書は百物語に終始、次作はもう少し毒気がある物語を期待したい。


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おそろし [book] [宮部みゆき]

sample14.jpg宮部みゆき/角川書店/お薦め度 ★★★★ 

宮部みゆき最新刊!

「百物語」とは百人がひとところに集まって、一人ひとつずつ不思議な話をして、ひとつ終えたら百本の蝋燭をひとつ消して、全部語り終えるとお化けが出るという昔流行った趣向。

本書は「変調百物語」。仕組んだのは三島屋の叔父夫婦、聞き手はひとり、わけあって叔父のもとに預けられた姪のおちか。ある事件で心を閉ざしたおちか、不思議な話が心の殻を一枚づつはがし、複雑に絡んだ真相が明らかになる。

おちかの閉ざしたこころを解き放つための不思議な話と事件、よくよく出来たプロット、さすがミヤベというしかありません。「おそろし」という表題より「かなし」といった物語でしょうか!?

次回紹介する、輪渡颯介「百物語」といい、今年の夏は百物語から目が離せません。


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楽園 [book] [宮部みゆき]

宮部みゆき/文藝春秋/お薦め度 ★★★ 

「模倣犯」から9年

全編を通じ「どんよりと曇った」、憂鬱な空気が流れている

9年前の事件、「模倣犯」、を引きずったままのライター・前畑滋子のもとへ、奇妙な依頼が舞い込む。12歳でなくなった息子が書いた絵が、15年間床下に娘を隠したまま時効を迎えた事件を示唆しているのではないか、と。

15年前の事件にのめり込み形になった滋子のもとに、更に、、殺された姉のことをもっと知りたいと妹からも依頼をうけるはめになる。

ふたりの依頼者からの調査は淡々と進む。殺人事件を起こした土井崎夫婦、弟夫婦、殺害された姉の同級生らの証言から明らかになる事実。物語はクライマックスを向かえる。

「どんよりと曇った」と言ったのは、大きなうねりもないまま、事件が終わったことを指している。やはり9年前の滋子に起因しているのだろうか?

ミヤベは滋子を主人公にもう一冊書くべきかもしれない。ファンなればこそ厳しい評価をつけてしまう・・・


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名もなき毒 [book] [宮部みゆき]

宮部みゆき/幻冬舎/お薦め度★★★★

「誰か」に続くシリーズ第二弾。「名もなき毒」とは、なんとも本書を象徴する題名かな!?

事件の発端は連続無差別毒殺事件。社内報編集者・杉村二郎はトラブル常習者、女性アシスタント、の身上調査のため、私立探偵のもとを訪ねる。そこで偶然にも四人目の犠牲者の孫、女子高生、と出会うことになる。

女性アシスタントの「毒」、殺人事件関係者たちの「毒」、自分のまわりの「毒」・・・どこにでも潜む「毒」、毒に塗れながら生きる、それが人生の証とでもミヤベは言いたいか・・・!?

無差別毒殺事件は三件まで解決をみる。物語は女性アシスタント事件と女子高生の祖父に絞られていく。

サラリーマン杉村がなんで事件に巻き込まれ、それを解決しなければならないのか?少し疑問も感じさせるプロットだが、次作ではサラリーマンを辞め、事件解決を生業にするのだろうか!?


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孤宿の人 [book] [宮部みゆき]

宮部みゆき/新人物往来社/お薦め度★★★★★

「ほう」阿呆のほう。「方」方角のほう。「宝」お宝のほう。

金毘羅詣でにかこつけて捨てられた少女・ほう。丸亀藩にながされてきた罪人・加賀殿。悪霊と恐れられた男と下女として送り込まれた少女の魂の触れ合い。その一方で丸亀藩に渦巻く跡目争い。二本の糸はいつしか絡み合いながらひとつになっていく。

「妖怪」とよばれた鳥居耀蔵だが、丸亀時代のエピソードがある。 最初は耀蔵に関わることを恐れ近づく者とてなかったが、耀蔵は学問だけでなく医学の心得があったため月日がたつにつれ診療に訪れるものがだんだん増えたようである。耀蔵の幽居中、診察者の数は3800人を超えたと言われる。 「妖怪」といわれた陰険無残な男の意外な一面を見る思いがする。

実在の人物をモデルとして書かれたようだが、主人公「ほう」の一途な、けな気な思いが、物語を心温かなものにする。

ミヤベの時代劇、さすがに巧い!!!


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日暮らし [book] [宮部みゆき]

宮部みゆき/講談社/お薦め度 ★★★★★

構成の妙!連作短篇の形をとりながら本編、「日暮らし」へ誘う展開、前作の復習を踏まえ、時間の経過と出演者の生業、心境を紹介するイントロ四編、どちらもいける。「うまい!」、「にくい!」の一言。

前作「ぼんくら」同様、井筒平四郎、養子候補の弓之助、回向院の茂七の手下・政五郎、人間テレコ・おでこ、湊屋総右衛門、佐吉、久兵衛、お徳・・・のレギュラー陣は顕在。

本編は、自由奔放に生きてきた葵が殺された。首にまかれた手ぬぐいで。葵に運命を翻弄された湊屋総右衛門、妻・おふじ、佐吉。昔、幼かった佐吉を連れて、湊屋の世話になっていた時期があった。総右衛門はふたりをメロメロに可愛がり、それが妻・おふじの逆鱗にふれた。そんな事情を知らない佐吉、その佐吉が囚われの身となる。

佐吉の無実をはらすためレギュラー陣総出の真相解明がはじまる。

江戸の人情話を書かせたら、ミヤベは、番付で言えば、東の横綱。ちなみに西の横綱は山本一力。当分番付の変動はないだろう・・・


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誰か [book] [宮部みゆき]

宮部みゆき/実業之日本社/お薦め度 ★★★★☆

財閥会長の運転手・梶田が自転車にひき逃げされ亡くなる。杉村三郎は、義父である会長から、遺された娘ふたりの相談相手にやるように命じられる。

妹の梨子は父親の思い出を一冊の本として出版し、犯人逮捕の役に立たいと思っているが、姉の聡美は妹の出版に反対する。

そんな折、三郎は聡美のトラウマ、幼いころの”誘拐”事件、と父に対する疑念を打ち明けられる。なぜか妹には内緒にしてほしいと。姉妹でありながら相反する思いを抱くふたり。もどかしさをおぼえながらも、梶田の過去を探る三郎・・・

著者、二年ぶりのミステリー、久々のミヤベ節に酔ってください。


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あかんべえ [book] [宮部みゆき]

宮部みゆき/PHP研究所/お薦め度 ★★★★☆

賄い屋、高田屋七兵衛には、彼の代ではかなえることのできない夢があった。それは料理屋をもつことだった。その夢を太一郎に託すことにした。七兵衛の手で料理人に育て上げられた太一郎は、
多恵と所帯を持ち、おりんを得ていた。男としても立派な一人前に・・・

十二歳の春、おりんは高熱で倒れる。三途の川をさまよい目覚めると、枕元に按摩さんが座ってるではないか。半刻ばかり経っただろうか、按摩さんがおりんのおでこをぽんと叩き、「熱は下がる」、と。いつの間にか按摩さんの姿は消えていた。

深川「ふね屋」の旗揚げに忙しく立ち回るお父ちゃんとお母ちゃん。元気になって起きだしてみたら、知らないうちに周囲は一変していた。おりんはちょっぴり寂しかった。

寝る前に、お母ちゃんのところに行こうと、立ち上がるおりんが見たものは、影だけで顔は見えないが、髷の感じでは女のようだった。誰だろう?そうだ、病の枕元であかんべえしていた子。どこの子かわらない女の子。あの子じゃないのか・・・・

ふね屋に住み着き、次々にあらわれる亡者たち。おりん以外には見えないかもしれないが確かにいるんです。おりんと亡者をめぐる、面白くて、可愛い、優しさのあふれた、時代劇仕立てのファンタジー・ミステリー。


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