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刑事に向かない女 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg山邑圭/KADOKAWA/お薦め度 ★★★★

警察小説

椎名真帆、警察行政職員、警察署内の事務の仕事をする職員、を目指していたが、迂闊にも警察官採用試験に申し込み、合格、警察官となった。交通課に配属され特異な才能?を発揮、検挙率アップに貢献、そのことを認められ刑事課へ異動となった。

洋品店を営む叔母と二人暮らし、占いに凝っている叔母の今日の運勢を聞き流しながら出勤する毎日・・・

空家の庭で発見される女性の刺殺体、先輩刑事とコンビを組み付近の聞き込みにあたる真帆。ガイシャは中学時代にイジメにあい、高校を中退、何人かの仲間と遊び回っていた。ある時から真面目になって何だか別人みたいに地味になった・・・そのガイシャの左肩にタトゥーが。

容疑者の陰が見え隠れするなか、真帆は捜査から突然外される!

21年前、警察官の妻が殺された事件にガイシャと容疑者が関係していた!?

休暇届けを出し、単独で捜査を続ける真帆。自身の幼いころの記憶が飛んでいること、両親は交通事故で亡くなり叔母夫婦に預けられたことが事件とどうつながっているのか?

荒唐無稽な部分はあるにせよ、真帆の心意気、諦めるには早すぎる、を応援したくなる一冊。

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女たちのジハード [book] [~'23 国内編]

image02.JPG篠田節子/集英社/お薦め度 ★★★★

第117回直木賞受賞作品。


挫けず、めげない、OLの花道をきわめる、個性豊かな5人の女たちの物語。

有能なOLだが、会社から退職せざるを得ないような立場に追い込まれ、それを逆手にとって出産を果たし、仕事もみつけてゆく、果敢で意欲的な「みどり」。

日本女性にありがちのお愛想や遠慮、ためらい、愚痴などに無縁、かといって冷血や薄情というのではないが、それ以上に、自分を活かしたい思いが熾烈である美貌の「沙織」。

結婚願望が強いが、その作戦はなかなか功を奏さず。ついに理想の夫と結婚を獲得したかに思えたが、その男は発展途上国民族への支援を夢み、情熱をもっていた。自分もその夢を追う決意をする「リサ」。

結婚にもふみまよい、男にも幻滅して、ついに自分の城を持とうと決意する。自分の可能性を発見して、人生と仕事に開眼してゆく「三十四歳のせみしぐれ」「康子」。

最後に例外的な「紀子」。

この5人が織りなす清々しい物語。ヒロインたちに共感し、人生を満たしてくれるものを感じられる作品!

2000/01

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芥子の花 金春屋ゴメス [book] [~'23 国内編]

sample38.jpg西條奈加/新潮社/お薦め度 ★★★★ 

シリーズ第二弾!

若手の作家が時代劇にトライしているのは、わたし的にはうれしい限りです。著者もそうですが、「バッテリー」の”あさのあつこ”も「弥勒の月」でデビュー、ふたりともこれから期待が出来そう・・・

今回のミッションはアヘン探索。アヘンとくれば潜入捜査。辰次郎、松吉がその役を勝手にかってでる。苦労の末、黒幕の正体を見たまではよかったが、脱出に一苦労。そこで真打登場、なんとも大掛かりな救出劇で一網打尽。ゴメスの面目躍如!?

すべてにおいて漫画チックだが、これをファンタジー時代劇と言うのか、読んでいてとてもたのしい一冊です。

2006/11

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金春屋ゴメス [book] [~'23 国内編]

sample6.jpg西條奈加/新潮社/お薦め度 ★★★★★ 

日本ファンタジーノベル大賞

なんともユニークな表題、金春屋、「こんぱるや」、一膳飯屋の屋号。ゴメス、「馬込寿々」って名前の真ん中の三文字を読めばゴメス。まごめすず、でゴメス。ゴメスの親分は女、女奉行。なんともすごい、”技あり一本!”

日本国から江戸国、日本から独立した、へ入国が許された大学生の辰次郎。高い競争倍率の難関を一回で突破出来た理由は、江戸国で蔓延する疫病「鬼赤痢」の謎の解明にあった。

江戸国で生まれた辰次郎、幼い時に「鬼赤痢」にかかり、彼だけが九死に一生を得た。忘れていた記憶をたどることで、「鬼赤痢」の治療法が明らかになるのか?

冒険小説、捕り物帳、ミステリー・・・いろんな要素を時代劇で表現したファンタジーノベル。細かなことには目をつぶって★五つ!


2005/12


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巡査長 真行寺弘道 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg榎本憲男/中央公論新社/お薦め度 ★★★★

趣を異にする警察小説!?

本庁捜査一課の巡査長、ヒラの捜査員、真行寺弘道、53歳、昇進試験を拒否、その理由は<昇進試験を受けて昇給したとしてもらえる年収ー今年の年収=支払った自由の値段>、その差額で俺らしく生きる自由を買った、と・・・

オーディオマニアの真行寺、アンプの真空管が切れたので秋葉原へ、店員と間違えた黒木?と意気投合、高尾の自宅へ招かれる。仕事はと尋ねると、ハッカーだという・・・真行寺がかかわっている事件の手掛かりを黒木からもらい事件は無事解決をみる。

続く元警察官僚の議員変死事件、都心のホテルで政治家が毒殺?ホテルで会っていた女、毒殺のコンドームを渡した俳優志願の男、それを仕組んだ組織、芸能プロダクション、問題解決の下請け暴力団・・・前回の事件同様、黒木とニコイチであってはならない掟破り、盗聴、ハッキング、マルウェア・・・、の捜査が始まる。

事件の全貌ー国民を欺く?監視社会の実現をもくろむ集団の企てーが見えてくるが、証拠のすべては違法に入手したもの。その落とし所に苦慮する真行寺。

真行寺の心情、自由を買った人生、とどう折り合いをつけるのか?

ラスト数十頁はそれまでのエンターテインメントからシリアスに・・・最後の真行寺の「俺はやめません」が心に残る。掘り出し物の一冊!?

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七つの金印 [book] [~'23 国内編]

30897894.jpg明石散人/講談社/お薦め度 ★★★★★ 

歴史ミステリーの最高傑作!?

一、「日本国王之印」の金印。足利義満が、明の皇帝成祖から贈られた。
二、「日本国王之印」の金印。豊臣秀吉が明の皇帝神宗から贈られた。
三、「親魏倭王」の金印。邪馬台国の女王卑弥呼が魏王より贈られた。
四、「漢倭奴国王」の金印。光武帝が倭の奴国王に与えた印綬。
五、「天皇御璽」の金印。
六、「大日本国璽」の金印。
七、「漢倭奴国王」の金印?


物語は男鹿半島の雄山閣という温泉旅館の小さなロビーに展示してある、一辺が十センチほどの正方形で上部に亀が乗っている金印から始まる。

旅館の社長さんが言うには、金印はヘンリー・フォールズ旧蔵で、社長の祖父が戦前東京で、明の成祖が足利義満へ贈った金印ということで購入したらしい、と。

主人公マキの調査が進む中、金印は謎の人物、明石へ六千万円で売却されていた。マキは明石の居場所を突き止め、四つの金印に関する問答を仕掛ける。

日本の歴史には中国から下賜された金印が四つある。国宝として現在福岡市博物館に収蔵されている「漢倭奴国王」の金印、卑弥呼が貰ったとされる「親魏倭王」の金印、それと足利義満、豊臣秀吉が下賜された「日本国王之印」。その四つのうち豊臣秀吉が神宗から下賜された金印はこの世に存在しない。秀吉が鋳潰したからだ。

成祖が足利義満へ下賜した金印は明石の手元にあるし、国宝の「漢倭奴国王」の金印は福岡市博物館に収蔵されている。となれば明石が探し求めているもうひとつの金印ば「親魏倭王」の金印しかない!?

さあ、話が混線してきました・・・「天皇御璽」、「大日本国璽」の金印も絡まり更に更に・・・鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」と双璧の歴史ミステリー!最高傑作を十分に愉しんでください。

2002/01/01

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ブラックペアン1988 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg海堂尊/講談社/お薦め度 ★★★★

テレビドラマ原作本

高視聴率のTBS日曜劇場を見て、慌てて手にする!?

ボタンを外した白衣をだらしなく着た、長身の中年男、渡海征四郎(二宮和也)、食道自動吻合器「スナイプAZ1988」を携えて帝華大学から招聘された高階権太(小泉孝太郎)、オーペン(研修医)の世良雅志(竹内涼真)、外科教授、佐伯清剛(内野聖陽)・・・ひと癖もふた癖もあるキャスト!?

メインストリームは患者の体内に残されたペアン(止血鉗子)の話。ドラマの中でも再三ペアンのレントゲン写真が・・・そのペアンの秘密を渡海が暴く!?

もうひとつのストリームは研修医の世良が魑魅魍魎とした医局で、パチンコ玉のようにあっちの壁、こっちの壁にぶつかりながらしぶとく生き残る様。

原作よりテレビドラマのニノくんの「嫌みさ」、天才外科医でありながら組織を嫌う、が際立っているところがいい。そろそろドラマも最終章、結末や如何に!?

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贖罪 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg湊かなえ/双葉社/お薦め度 ★★★★

祝MWA賞ノミネート!

15年前の少女殺人事件、現場に居合わせた同級生4人、犯人と言葉を交わしたにもかかわらず顔が思い出せない!?事件は迷宮入り・・・

ひとり娘を喪った母親は4人の同級生たちにこう言った。「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい。できなかったら復讐します」、と。

ぬぐい去れぬ後悔の念を引きずって生きてきた15年、そのプレッシャーがもたらす4人の悲劇の連鎖、それが少女の母親への償い?

償い?が何なのかこれ以上はネタばれになってしまうので書けませんが、本当に償い、贖罪なのでしょうか?

「告白」と本書の2作品しか手にしていませんが、「感性の作家」、既成概念にとらわれない、のように思えてしょうがありません。他の作家たちと比較してはいけないということです!?

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狩人の悪夢 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpg有栖川有栖/KADOKAWA/お薦め度 ★★★★

火村英生シリーズ

ミステリ作家、有栖川有栖の対談相手はハリウッドでの映画化も決まったホラー作家、白布施正都氏、氏の口から私の家には必ず悪夢を見る部屋があることを告げられ、招待を受ける。

白布施氏の編集者と一緒に氏の家を訪ねることに・・・そこで待ち受けていたのは殺人事件、殺されたのは2年前に亡くなったアシスタント、渡瀬の恋人?、沖田依子

続いて依子をけまわす男?も殺され、連続殺人の様相を呈する。ここで真打ち、犯罪社会学者の火村准教授、の登場と相成る。

事件当日、落雷により木が倒れ道をふさいだことから作者の代表作「双頭の悪魔」同様、「孤島」もの的展開!?

火村准教授の丹念なロジックの組立で後半一挙に加速!前半の低速運転を挽回!

本格ミステリにあまり縁のない私ですが、結構愉しめました。

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からくり亭の推し理 [book] [~'23 国内編]

sample1.jpgからくり亭の推し理/幻冬舎/お薦め度 ★★★★

本格捕物帖!?

南町奉行所隠密廻り同心・古知屋大五郎が主人公の連作短編集。

現代の捜査用語は、容疑者リスト→「怪しの帳面」、ダイイング・メッセージ→「いまわのきわのお告げ」、アリバイ→「居らずの証」、消去法→「消し寸法」・・・

四編収録、「龍を探せ」はなかなか面白い。

火事太りの常連の材木屋の主人が殺される。主人の手に握られた紙片には「龍」の文字が・・・

「怪しの帳面」には。番頭の龍蔵、出会茶屋の元締め龍次、商売敵の昇龍屋・・・「龍」の文字が一杯!?

材木屋の主人は「ひらがな」しか読めない。これが事件のキーポイント!

作者が愉しんで書いている様子がわかるシリーズ第一弾。


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