悪いうさぎ [book] [若竹七海]
若竹七海/文藝春秋/お薦め度 ★★★★
葉村晶シリーズ第三弾
本シリーズの決まりごと?入院!家出少女の連れ戻しのアルバイトにかりだされ、身内から暴行を受け病院へ・・・
少女、女子高校生ミチル、の友達、同じく女子高校生、美和、が行方不明、その調査を父親から依頼されるが二転三転、父親から契約解除を受け、今度は離婚した元妻が依頼人、元妻からも契約解除を受ける・・・
調査の過程で美和以外に行方不明の少女がいた。事件の裏でうごめく組織・・・
終盤では晶までが拉致監禁されてしまうハードボイルド仕立て、相変わらず一気読みのシリーズ!
事件のあらましが現実味を帯びたドロドロしたものでなくフィクション的でいい。表題の「悪いうさぎ」とはよく言ったものだ。
依頼人は死んだ [book] [若竹七海]
若竹七海/文藝春秋/お薦め度 ★★★★
シリーズ第ニ弾、連作短編集
九編収録の連作短編集。そのなかでも「たぶん、暑かったから」がお気に入り。最後の数行で豹変する様に開いた口がふさがらない。
今年新訳で出版されたマーガレット・ミラーの「まるで天使のようだ」は最後の一行、本当に最後の一行で大逆転する離れ技をもった作品。それを彷彿させる!?
確かに主人公の葉村晶は「変人」かもしれない!?ストイック、禁欲的で厳格に身を持するさま、な部分とシニカル、皮肉な態度をとるさま、ひねくれた、な部分を持ち合わせることでシリーズが成り立っているところがすごい!
しっかりハマってしまったシリーズ、後二冊読破予定・・・
さよならの手口 [book] [若竹七海]
若竹七海/文藝春秋/お薦め度 ★★★★
シリーズ第四弾
失業中のフリーターの探偵、葉村晶、現在、ミステリー専門店でアルバイト中、古書引きとりの最中に白骨死体を発見、その際に負傷、入院するはめに・・・
入院中にもかかわらず、明解な推理?で犯人を言い当てる。その様子を見聞きした同室の元女優が20年前に失踪した娘の安否調査を依頼する。死ぬ前に娘に会いたい、と。
御年40代、農家の離れのシェアハウス暮らし、無趣味、友人はほとんでいない、オトコとも縁なし・・・そんな葉村だが探偵としての力量は確か、納得するまで事件を追う。
娘探しだけでなく小さな事件が複層し、ワークホリックなリーバス警部を彷彿させる働きぶりが実に良い!それにしても運の悪い葉村晶に同情せずにはいられない。
しばらく葉村晶を追ってみることにします。