泥棒は詩を口ずさむ [book] [ローレンス・ブロック]
泥棒バーニイ・シリーズ第三弾
バーネガット古書店を訪れた古書蒐集家、ウェルキンと意気投合?クラブで提案されたのは貿易商アークライト邸にある稀覯本の詩集を盗みだしてくれれば、15,000ドル支払うと・・・
早速請け負うバーニイ、アークライト邸には宝石、毛皮、現金が・・・お宝を以外のものに手をつけなければ発見が遅れるという約束のもと、泣く泣く詩集だけをいただくバーニイ。
指定された受け渡し場所はウェルキンの女友達の部屋、女が出す飲み物に何かが・・・不覚にも昏睡、起きてみたら女は殺され、持参した詩集はなくなっていた。
危機一髪で脱走に成功するバーニイだが、指名手配をされにっちもさっちもいかない。キャロラインの手を借り汚名返上へ・・・
相変わらず愉しめるシリーズ!
追伸:バーニイの旧友?レイ・カーシュマン、鼻薬の効く警察官、は若竹七海の最新刊「殺人鬼がもう一人」の主人公、砂井三琴のモデルか!?
泥棒は図書室で推理する [book] [ローレンス・ブロック]
泥棒バーニイ・シリーズ第八弾
恋人、レティス、とカントリーハウスで愉しい時間を過ごすはずだったのに、「わたし、結婚するの」のひと言でふられてしまったバーニイ、キャロリンとラッフルズを伴ってカントリーハウスに向かう。
なぜ予約をキャンセルしなかったかと言えば、カントリーハウスの図書室にはレイモンド・チャンドラーがダシール・ハメットに贈った稀覯本が眠っているからだった・・・
大雪のなかカントリーハウスに最後に着いたのは、なんと別れた恋人レティスとその旦那、そこで次々と起きる殺人事件、カントリーハウスを繋ぐ橋までが落ちしまいカントリーハウスは孤島状態。
作者の言葉を借りれば、アガサ・クリスティーの「ねずみとり」と「そして誰もいなくなった」を足して二で割ったみたいな感じ!?
電話線も何者かに切断され、閉ざされたカントリーハウスでまたしても探偵の才能を発揮する羽目になるバーニイだった。
珍しく中だるみ気味の中盤だったが、終盤はいつものツイストが効いた展開、いつもいつも感心してしまう!本当に愉しいシリーズ!
泥棒はクロゼットのなか [book] [ローレンス・ブロック]
泥棒バーニイ・シリーズ第二弾
表題の通り、バーニイはクロゼットのなか!
歯医者の依頼は別れた妻の部屋に忍び込み、宝石を取り戻してほしいというものだった。
油断大敵火が亡々、部屋で宝石の品定め?をしているうちに、歯医者の元妻が帰って来た。慌ててクロゼットのなかに隠れるバーニイ。やっとクロゼットから出ることができたバーニイを待っていたのは元妻の死体・・・
しかも宝石をつめたアタッシュケースはきれいに消えていた!
死体に刺さっていたメスから歯医者が逮捕されしまう。遅かれ早かれバーンイまで火の粉が降りかかるのは歴然、またまた殺人の謎を解くことに!
泥棒はライ麦畑で追いかける [book] [ローレンス・ブロック]
泥棒バーニイ・シリーズ第九弾
タイトなジーンズ、男ものの白いドレスシャツ、茶色い髪をポニーテールに結った見目麗しき女性から、正体を隠してきた作家の手紙を盗んでほしいと持ちかけられる。その手紙は出版エージェント宛のもので<サザビーズ>で競売にかけられることになっている、と。
エージェントが住んでいるバディントン・ホテル、あのクマのバディントン、にわざわざ予約を入れ、段取りを整えるバーニイ。いざ部屋へ忍び込むと、お決まりの約束、エージェントは殺されており、手紙も見つからない・・・
警察に逮捕拘留されるが友人の実業家が保釈金を積んでくれ無事帰還!
ここから泥棒探偵バーニイの面目躍如。自身の潔白を証明するためいつものように隠れた才能?を発揮する。
正体を隠し続けてきた著名な作家の手紙に群がる?胡散臭い面々、大学教授、コレクター、舞台女優、作家、<サザビーズ>・・・
ストーリーは水戸黄門なのだが、最後の「落ち」が実に「おしゃれ」!さすがローレンス・ブロックと唸ってしまう。
相変わらず愉しめる一冊!
泥棒は深夜に徘徊する [book] [ローレンス・ブロック]
シリーズ第十弾
水戸黄門的なプロット、本シリーズの場合は、バーニイが泥棒に入ってヘマをし、思いがけず殺人容疑をかけられる。容疑を晴らすため事件を解決する、が読み手にとって愉しい。書き手にとっては大変だろうが・・・
実業家からの依頼?で美容整形医邸へ忍び込みために下見のはずが、職業病か、バーニイのお目に適ったアパートへ忍び込む。品定めの最中、住人が男を連れて?突然ご帰還、逃げ場のなくなったバーニイはベッドの下に隠れ、事件の一部始終を否応なく聞くはめに。
何とか難を逃れたバーニイだったが、忍び込んだアパートの近くで起きた強盗殺人の犯人としてレイ刑事に逮捕される。防犯カメラにバーニイの姿が映っていたがすぐに釈放される・・・
自力でぬれ衣を晴らすため奔走するバーニイ!
軽妙洒脱、大人の遊び心満載、思わずほくそ笑んでしまう・・・そんなオシャレなシリーズ。ラストの関係者ニ十数名を集めた謎解きは圧巻。泥棒探偵の面目躍如!?
泥棒は選べない [book] [ローレンス・ブロック]
泥棒探偵バーニイ・ローデンバー・シリーズ第一弾
バーニイの素性を知る仲介者から半ば強制的に依頼された仕事は、アパートに忍び込み、ブルーの小箱を盗むこと。報酬は5000ドル、やけに気前のいい話だ。
家探しを始めたが指定の机にはブルーの小箱は見つからない、そうこうしているうちに、二人の警官に踏み込まれ、おまけに寝室に死体が・・・
警官を突き飛ばし、アパートから飛び出るバーニイ、自宅には戻れない、ちょっとした知りあい?、講演旅行中、のアパートへ潜り込むことに。翌朝、ルースと名乗る魅力的な女が・・・
ルースの協力を得、犯人探しを始めるバーニイ。犯人探しはもちろん、素性がなぜばれたのか、ルースの正体・・・と泥棒探偵の面目躍如!
野球に例えると、160キロ超えのファストボールはないが、ナックルボールを変幻自在に操るナックラー。軽妙さがたまりません!!!
次も味わいたくなるシリーズです。
泥棒はスプーンを数える [book] [ローレンス・ブロック]
ついに最終巻!?
ある時は古書店主、ある時は泥棒、ある時は探偵、いいとこどりのバーニイ・ローデンバー・シリーズ
「軽妙洒脱」、この言葉がぴったりな本書、小粋な会話が実にいい!
匿名のスミス氏の御所望は手書き原稿、博物館に忍び込み今回はトラブルなしでなんなくゲット、大枚をせしめる。またまたスミス氏からの依頼が、一本のスプーンを御所望、と。
そんなバーニイのもとにニューヨーク市警のレイ刑事が訪ねてくる。ダウンハウスで亡くなった老婦人、その現場を見てほしい、と・・・
ふたつの話が並行して語られるのだが、そこにちょっと割り込む謎のメモ、バーニイが古書店を空ける特に限って来店する謎の人物・・・
最後の決着も洒脱、いいね!
追伸:あとがきに若竹七海が葉村晶シリーズ仕立ての一文を寄せている。ファンにとっては二度美味しい本書!
獣たちの墓 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★
マット・スカダー・シリーズ
5月30日封切り「誘拐の掟」の原作本。その帯に「誘拐犯に告ぐ。殺したら、殺す」、と。
麻薬ディーラー、キーナン、の妻が誘拐され、大金を払ったにもかかわらず、バラバラ死体で帰ってきた。警察に通報することもままならないキーナンはスカダーを雇い誘拐犯に復讐を誓う。
バラバラの死体は既にキーナンの手で灰になっており、殺害された状況はわからない。誘拐される前の妻の足どりが少しづつ明らかになるものの、犯人につながる決定打がなかなか出てこない。
TJの知り合いのハッカーに誘拐電話をかけてきた場所の特定を依頼する。いまでこそ当たり前のことだが、1992年の刊行当時は斬新なストーリーだったのだろう・・・
その結果はすべて公衆電話、それも2度電話をかけて来たのはコインランドリーからだった。
同様の誘拐殺人が2件浮かびあがり、もう1件は被害者から話を聞くことが出来た。スカダーは確信する。犯人は同一犯だ、と。
そんな折、キーナンの同業者の娘が誘拐される。犯人とのネゴーシエイト役をスカダーが買い、犯人と対峙することに。
ハードボイルド作品ではあるが、帯の台詞はちょっと言い過ぎ!?
ラストのスカダーとエイレン、高級娼婦、の会話が本シリーズの長続きの秘訣!
殺し屋ケラーの帰郷 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★
シリーズ第五弾
前作、「殺し屋最後の仕事」、で殺し屋稼業から引退?したケラー。ジュリア、前作でケラーを助けた、と結婚、子どももでき、ニューオーリンズでリフォーム会社の共同経営者に収まっている。
サブプライムローン問題でリフォーム会社も仕事がまわってこない状況。そんななか、身をひそめていたドットから一本の電話が・・・
殺し屋稼業を再開するケラーだが、少々以前とは様子が違う。妻のジュリアに仕事の話をする件はなんとも微笑ましい!?「海辺のケラー」ではジュリアが仕事を手伝う場面も。
全編、切手収集の話と殺しだが、ファンにとってはたまらないシリーズ!
殺しのパレード [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★☆
殺し屋シリーズ第三弾
第一作、「殺し屋」、同様の連作短編集。9編収録されている。そのなかの「ケラーの適応能力」に、9.11の件が出てくる。
わたし的には「ケラー・ザ・ドッグキラー」が好きですね。
犬にまつわる話。少年時代に飼った犬、精神科にかかったことで飼うことになった犬、それらにまつわる話の続き。犬と人間、依頼主、ターゲットが次々にあらわれ、変わる件、そして捻りも最高!
著者は結構な犬好き?
全編、愉しめる作品ばかり。ぜひ一読あれ。