殺しのリスト [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★
殺し屋ケラー・シリーズ第二弾
前作「殺し屋」、連作短編集、に続く長編?長編と言っても連作短編に限りなく近いが・・・
前作「ケラーの治療法」で、精神科医の治療を受けたがなんら効果がなかった。本書では占星術師にみてもらうことに。
それを契機にターゲットが何もしないのに事故死、心臓麻痺と勝手に姿を消してくれる。しかもケラーのコートが盗まれ、それを着た男が殺される。刺客につけ狙われるケラー!?
ドット、殺しの元締め、とともに刺客に翻弄され、堂々巡りのふたりの結末や如何に・・・
取り留めのない長編だが、たまらない一冊。次は「殺しのパレード」がスタンバイ。
殺し屋 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★☆
殺し屋ケラーの連作短編集
新刊に疲れたとき、ふっと読みたくなる作家、シリーズがある。
10編収録、そのなかにMWA賞受賞作が2作、「ケラーの責任」、「ケラーの治療法」、とお得な一冊。刊行は1998年と古いが、実に愉しい!
「ケラーの責任」では殺しのターゲット、大富豪、のガーデンパーティにもぐり込み事前調査中、プールで溺れた大富豪の孫を助ける。なんと殺し屋にあるまじき行為?事態はあらぬ方向へ・・・
「ケラーの治療法」ではオーストラリアン・キャトル・ドックが孤独なケラーをほっこりさせる・・・
どれも筆致とテンポが快い作品ばかり!
18の罪 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロックほか/ヴィレッジブックス/お薦め度 ★★★★
18編のミステリー・アンソロジー
ローレンス・ブロック、ジェフリー・ディーヴァー、マイクル・コナリー、ローラ・リップマン・・・錚錚たるメンバーによる短編集。
ジェフリー・ディーヴァーの「ポーカー・レッスン」は著者だけの短篇集。本書はアンソロジー(選集)。ジェフリーファンには「ポーカー・レッスン」を、幅広いミステリーを愉しみたい方は本書を・・・
アンソロジーの場合、選者がポイント。二冊ともわたしは愉しめましたよ!
償いの報酬 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★
マット・スカダー・シリーズ最新刊
マットの回顧譚。淡々とした語り口、淡々とした物語はファンにとってはたまらない。
禁酒プログラムを実践中のマット、AAの集会でジャック、前科もので幼なじみ、から声をかけられる。ジャックはすでに12ステップのプログラムを9ステップまで進めていた。9ステップは過去に犯した罪を償う、<埋め合わせ>、プログラム。
そのジャックが殺される。ジャックの助言者の依頼で許可証を持たない私立探偵・スカダーが調査を始める。<埋め合わせ>のリストは5人・・・
回顧譚なので、時代は1980年代、ジャズの好きなマット、ライオネル・ハンプトン、ミルト・ジャクソン・・・往年の名プレイヤーが顔を出す。携帯もない、PCもない、そんな時代の物語が心地いい一冊。
殺し屋 最後の仕事 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★☆
シリーズ第四弾
心やさしき殺し屋?ケラー、依頼人の罠にはめられ、オハイオ州知事の射殺犯として指名手配されるはめに。
アイオワからニューヨークへ、少ない手持ち現金、出来るだけ足跡を残さない逃走劇。やっとの思いでニューヨークへたどり着くケラー、自宅は捜査の痕跡がありありと・・・
殺しの請負の元締め・ドットも殺され?意気消沈のケラー。その彼を救うジュリア。濡れ衣をはらすため、罠にはめた男への復しゅう劇が始まる。
殺し屋ケラーの人柄を垣間見る一節、「自分はほんとうにホーマー・シンプソンの帽子を誤ってかぶって店を出た男の帽子を取ってきたのだろうか。帽子をかぶらずに来た男がホーマーを失敬したのだとしたら、自分は腹いせにほかの男の帽子を盗んだことになる」
ジェットコースター・ノベルではないが第一級の面白さ、本年度ベスト10入り間違いなしの一冊!?
やさしい小さな手 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/東京創元社/お薦め度 ★★★★
現代短篇の名手たち
デニス・ルヘインから始まった短篇集の七冊目
物語は3つにわかれる。スポーツ、欲情に関するもの、代表作マッド・スカダーもの。なんとも色合いよく仕分けされている。
一軍半のピッチャーが完全試合ペース、八回表、相手の四番打者が言う、「もう少しでパーフェクトだな」、ピッチャーの放った163キロのストレートが・・・いきなりパンチをおみまいされる第一作からスタート。
締めはマッド・スカダー番外編が三篇も・・・ローレンス・ブロックらしい、愉しめる短篇集!
エドガー賞 全集1990~2007 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック他/早川書房/お薦め度 ★★★★
お宝満載
アメリカ探偵作家クラブ賞(通称エドガー賞)数ある賞の中で毎年最も優れた短篇に対して贈られる最優秀短篇賞、1990年から2007年までを収録。
これだけ綺羅星のごとく揃うと、いちいち御託を並べてもしょうがありません。ぜひ手にとって堪能してください。
エドガー賞受賞作ではありませんが、今を時めくジェフリー・ディーヴァーの短編集「クリスマス・プレゼント」を思い出しました。ちょうど最新刊「スリーピング・ドール」を読んでいる最中なので・・・こちらは長篇、短編、なんでもござれの名手です。
すべては死にゆく [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★
マット・スカダーシリーズ最新刊
シリーズ物の良いところは、時間と共に主人公と主人公をとりまく人間関係が変化をしていくことにあります。主人公だけでなく読者の我々もひとつづつ歳を重ね、自身の変化と主人公の変化を対比しながら読み進むことが出来ます。時間の共有化でしょうか、そんな魅力をたっぷりもったマット・スカダーシリーズ、第十六作!
スカダーのまわりに忍び寄る不吉な影、影だからはっきりしないわけで前半のテンポがいまいち悪い。
猟奇的連続殺人事件の発生、その輪の中心にスカダーが居ようとは知るよしもない。殺人鬼の狙いは復讐にあり。マットとエレインへ忍び寄る影。
ハードカバーじゃなくペーパーバックで読みたいシリーズです。ね!二見書房さん!
殺しのグレイテスト・ヒッツ [book] [ローレンス・ブロック]
ロバート・J・ランディージ/早川書房/お薦め度 ★★★★
殺し屋が主人公の15篇
MWA最優秀短篇賞受賞作、「隠れた条件」/ジェイムズ・W・ホール、収録。その他大物として、ローレンス・ブロック、ジェフリー・ディーヴァーなどが顔を出しています。
最優秀短篇賞受賞作は、殺しの報酬が200ドル、前金で100ドル、終わったときに残金を。疑心暗鬼になってしまう依頼者。
「カルマはドグマを撃つ」/ジェフ・アボットでは、飼い犬をひき殺したやつを殺してほしいと依頼される殺し屋。
結構捻りの効いた短篇が収録されている一冊です。